君の為､僕は男に成る｡

貴女が教えてくれた優しさとか悲しみとか人を愛すると言う事は、貴女が側に居たから実感したもので。貴女じゃない誰かの隣だと其の記憶すら無くなって。貴女へ届かぬ手軽を何十通書いても満たされる訳じゃ無くて。悲しく成って、寂しく成って、貴女の名前を何度も何度も呼んでみても聞こえたのは私の声の残響で。あまりに其れが耳障りで私はそっと耳を塞いだの。聞きたくなくて何も聞きたくなくて貴女の声すら遮断して。気付いた時には何も聞こえなくて独りポツンと置き去りにされた事にすら気付かず…其れに気付いた頃にはもう手遅れで。いっそ孤独に生きようと決めたの、可哀相な女ね、私って。自分が惨め過ぎて汚くて汚くて汚くて。死に神よ、私は此処で待ってるよ。