このスーツを脱ぎたい
ネクタイなんが車乗ってそっこーとったわ。

スーツよりコックコートを愛してます。
辛いものは食べられない。
甘いのと苦いのは好きだよ。

ってゆか、佐藤いないのに居座りすぎかなー。

だって俺がいるといないんだもん。
君はなんかね、猫みたいでいいよ。

ラム酒買ってやろうか？

え？いらん

まずかった？

うん

まだまだガキだな

うるさい




僕とパパの車内会話

そんな僕もガキだと言われながらもう25ですよ。

僕も２５
大人になんかなりたくねぇなりたくねぇ言ってる内にいい大人になっちまった

気付いたら目の前で弟が泣いていた。
僕は泣いていなかった。
僕らは何か交渉事でもめていたのだと思う。弟の鳴き声が親父を呼び寄せた。一見すると僕は圧倒的に不利だった。年下の弟が泣いているからだ。 
近づいて来た父はお互いの話を聞き、ゆっくりと事件の真相を探ろうとする。何の隙間も見逃さない父に僕は嫌な印象を抱いていた事は確かだ。ただしかし、僕の視点でだが、父はこういった喧嘩の仲裁に入り両者を公平に裁くのが本当にうまかった。まるで正義の女神テミスのようだった。テミスは目隠しをして秤と劔を持っている。目隠しは、肌の色、宗教、他の如何なる外的要素を裁判には持ち込まない為に、秤はその罪の重さだけを量る様に、劔は罰を受けるものを裁く為に。父の裁判は何とも言えない優しさと愛が両者に向けられていた。

僕は少し弟の頬をＣＤでトントンと優しく叩いたのだった。恐らくこのＣＤを巡って争いになったのだと思う。本当に記憶があまりない。とにかく圧倒的に僕が不利だった事は確かだった。
 

父は両者の話を両者の前でゆっくりと聞き、一方が話す時他方には発言権を全く持たせない。しかし一方の話が終わると他方の話を聞く。そういったやり方でお互いの話を聞いた。矛盾点を発見するとそこに焦点を当てどちらかが嘘をついていることを発見した。いかにも工学部出身の父だった。話は終盤に差し掛かった。問題の僕がＣＤで弟の頬をトントンとしたところだった。父は末っ子で上に兄が三人もいるから兄のする嫌なことはほぼ熟知していたと思って間違いない。僕は負け必至だった。しかし父が下した判決は僕の勝訴だった。その程度なら許容範囲内だし、こうこうだからこうしたんだろ？と聞いてきた。それが本当にそのままその通りだった。僕は負け必至だったし、自分が完全に悪くて怒られると思っていたから思いつかなかったが、確かにこうこうだからこうしたのだ。それは弟に対して何か悪気があったり憎しみがあってやったことではなかったことを思い出した。弟もある程度納得していた。
僕は父のそんな裁判が大好きだった。勿論僕が負ける事も何回もあった。僕はこの父の裁判が見たいが為に喧嘩を繰り返していたのかもしれない。僕がこの家庭で育ってきて学んだ事はたくさんあった。平等や愛、礼儀や優しさ、沢山のものを学んだ。現時点ではもう学ぶものがない。
だから出て行く事にする。

改行ミスってんなー。
テンション下がるなー。

つか、道混んでるんだけど