この春ぷ。様デビューしませんか?
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#691 [ぷ。様エブリディ]
カラッと晴れた空に、青い海はよく映え る。
海岸沿いの道に着いた俺は、歩く足を止 めて辺りを見渡した。
人も車も滅多に通らない、道路、海、潮 風の匂い。
:13/05/02 12:21
:ISW11K
:q9ERvNyk
#692 [ぷ。様エブリディ]
10年前と変わらない風景は、ゆっくり と呼吸するように、ただ静かな時間が流 れていた。
俺は思い出を拾い集めるように、一歩一 歩踏みしめて歩く。
「俺の右側には、いっつも美月がい て…」
期末がヤバイだとか、 誰々が誰々に告白しただとか、
そんな他愛もない会話を繰り返して…
「んで人目もはばからずに手ぇ繋い で…」
だけど別れ際のキスはこっそりとして、
し損ねた日は寝る前むしゃくしゃしたり して…。
もちろんいい思い出だけじゃなくて、苦 い思い出もある。
俺は何度も美月を泣かせた。
:13/05/02 12:22
:ISW11K
:q9ERvNyk
#693 [ぷ。様エブリディ]
潮風に紛れて、あの日の光景が胸に甦 る。
…“最低!!”…
目に涙をいっぱいためて、美月が叫んだ 言葉。
やけに鮮明に思い出したけど、いまいち 全てを思い出せない。
:13/05/02 12:25
:ISW11K
:q9ERvNyk
#694 [ぷ。様エブリディ]
あの日の俺は、何であいつを怒らせたん だっけ?
原因自体はくだらなかった気がするけ ど…
「…だめだ、思い出せねぇ」
しばらく考えてみたけど、頭の中がご ちゃごちゃするだけ。
ラチがあかない。
はぁっと息を吐き、防波堤から見える海 を眺めた。
穏やかな波。
キラキラと輝く水面。
横に広がる水平線を眺めていると、心が 洗われるようだ。
:13/05/02 12:26
:ISW11K
:q9ERvNyk
#695 [ぷ。様エブリディ]
――すると突然、
背後から空気を裂くようなブレーキ音が 響いた。
:13/05/02 12:26
:ISW11K
:q9ERvNyk
#696 [ぷ。様エブリディ]
あまりの音に慌てて振り向くと、急停止 しただけの車から太ったおばさんが出て きた。
…ん?誰だ?
おばさんは重みのある足音を立てなが ら、なぜか俺の方へ駆け寄ってくる。
え、え、誰だよっ!
:13/05/02 12:27
:ISW11K
:q9ERvNyk
#697 [ぷ。様エブリディ]
思わず足を一歩後ろに引くと、おばさん は弾けた笑顔で話しかけてきた。
「寺岡くんー!?」
「え…?」
突然名前を呼ばれ、手まで振られたけ ど、おばさんが一体誰だか分からない。
「…え〜っと?」
知り合いにこんな人いたっけ…?
事務員のような制服を着ている女の人 は、年甲斐なく派手な化粧。
つけたてのような香水が強烈に漂う。
言葉を詰まらせていると、おばさんは豪 快に笑いながら元気よく喋り出した。
:13/05/02 12:28
:ISW11K
:q9ERvNyk
#698 [ぷ。様エブリディ]
「やだぁ〜寺岡くん、あたしの事分から ないの〜!?」
…ええ、全く。
だけどこの声、どこかで聞いた事ある。
:13/05/02 12:30
:ISW11K
:q9ERvNyk
#699 [ぷ。様エブリディ]
どこだっけ…?
高校の時の先生?
…いや、違う。こんな先生いなかった。
「すみません俺、人の顔覚えるの苦手 で…。服とか場所とか変わると、もう全 然分かんなくなっちゃって…」
言い訳にならない言い訳を口にすると、 おばさんはまた豪快にアハハと笑った。
「分からないのも無理ないよ〜!あたし 中学の時よりちょっとだけ太ったもん」
――中学!?
て事は…同世代!?
誰ッ!!?
息をのんで答えを待つと、
思いもしなかった名前が、おばさんの口 から飛び出す。
:13/05/02 12:30
:ISW11K
:q9ERvNyk
#700 [ぷ。様エブリディ]
「あたしレイカだよ〜」
丸々と太った顔を指差しながら、確かに 彼女はそう言った。
:13/05/02 12:31
:ISW11K
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