この春ぷ。様デビューしませんか?
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#462 [ぷ。様エブリディ]
小説
ゆず恋より
『52枚の写真』
:13/04/27 22:39
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#463 [ぷ。様エブリディ]
その瞬間まで 忘れていた事なのに、
ひょんな事から突然、気になり始めたり する。
そのきっかけは、 彼女からの素朴な質問。
ねぇ、純也の前の彼女ってどんな 人?」
決して悪気ではなく、彼女の真由子が聞 いてきた。
この夏に俺たちは結婚する。
:13/04/27 22:41
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#464 [ぷ。様エブリディ]
だから真由子は、その前に知っておきた かったんだと思う。
「前の彼女?」
「うん」
夫婦になるからには、隠し事は厳禁…。 だよな。
だけど、俺の口から出てきた言葉は…。
「……さあ?…」
の、一言。
はぐらかした訳でも、ごまかした訳でもない。
:13/04/27 22:46
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#465 [ぷ。様エブリディ]
なぜか記憶に薄くて、この言葉しか出て こなかった。
あれ?俺の前の彼女って
どんな人だったっけ…??
:13/04/27 22:59
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#466 [ぷ。様エブリディ]
気になった俺は、当時を良く知るサトル に電話をかけてみた。
『――おっまえ、サイテーだな!!』
突然電話口に響く、親友の怒鳴り声。
:13/04/27 23:00
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#467 [ぷ。様エブリディ]
ケータイを耳から離しても既に遅く、カ チ割れるような頭痛に襲われる。
「サトル…あんま怒鳴るなよ、俺今日二 日酔いで…」
だけど再び、サトルの怒鳴り声が電話口 に届く。
『7年ぶりに電話してきて“結婚する”だ あ!?
それはいいとして“俺の元カノどんなだっ け”!?って何だよテメー!!』
:13/04/27 23:02
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#468 [ぷ。様エブリディ]
あまりの声の大きさに、ケータイがビ リッと響いた。
…ていうか、“テメー”って…。
正直、サトルがここまで怒る理由が俺に は分からない。
誰にだって思い出せない事の一つや二つ あるだろ?
:13/04/27 23:05
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#469 [ぷ。様エブリディ]
正直、サトルがここまで怒る理由が俺に は分からない。
誰にだって思い出せない事の一つや二つ あるだろ?
理不尽にキレるサトルに疑問を感じなが ら、自分の気持ちをポツリポツリと口に する。
:13/04/27 23:06
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#470 [ぷ。様エブリディ]
あっミスった
ごめん
:13/04/27 23:06
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#471 [ぷ。様エブリディ]
『なにぃーーッ!??』
更に怒りを引き出してしまったらしく、 このあと延々と俺は怒られた。
25歳にもなって友達に叱られるなん て……。
:13/04/27 23:07
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#472 [ぷ。様エブリディ]
そしてサトルは、最後にこう言った。
『つーかさ、たまには地元に帰ってこい よ!東京に行ったっきり俺ら会ってねー じゃん』
確かに俺は東京の大学に行って以来、地 元の奴らと会ってなかったりする。
サトルの怒りの一因は、これかもしれな い。
だけど俺の地元は中国地方で遠いし、絵 に描いたような田舎町で、はっきり言っ て足を運ぶ気になれない。
:13/04/27 23:10
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#473 [ぷ。様エブリディ]
居るだけで窮屈に感じるあの町は、いま だに好きになれないんだよな。
だけど連絡すらしないのは、さすがに悪 い事をしたかも…。
「あ〜…悪い、でも実はこれからそっち に帰るんだよ。ちょうど実家に用あるか らな…」
そう、まさに今、駅のホームに立ってい る。
思いのほか電話が長引いてしまって、新 幹線を一本目の前で逃したところ。
:13/04/27 23:11
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#474 [ぷ。様エブリディ]
帰る”と告げると、サトルの態度はガラリ と変わる。
『マジっ!?じゃあ帰ってきたら絶対言 えよ!?じゃーなー!!』
――ブツッ、
怒鳴るだけ怒鳴って、サトルは一方的に 電話を切った。
ツー、ツーと終話を告げるケータイを、 俺は複雑な思いで見つめる。
【通話時間41分07秒】
:13/04/27 23:15
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#475 [ぷ。様エブリディ]
「―…なんか、ドッと疲れたな…」
相変わらずなサトルのテンションに、一 気に体力が奪われた気がした。
だけど7年ぶりの親友の声は、それなり に俺を懐かしくさせる。
電車に乗り込む足が、いつもより軽く感 じた。
:13/04/27 23:18
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#476 [ぷ。様エブリディ]
2008年8月11日―
山と海しかない、地元の田舎町。
久しぶりに足を踏み入れてから、2日が 経過していた。
俺は今日、朝から物置で探し物をしてい る。
:13/04/27 23:24
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#477 [ぷ。様エブリディ]
それは…
「…お、あったあった!うわ、すげー懐 かしい!」
すっかりほこりをかぶった、中学時代の 卒業アルバム。
元カノは同じ中学だったから、卒アルに 載っているはず…。
微妙に緊張しながら、ぶ厚い皮の表紙を 開く。
:13/04/27 23:24
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#478 [ぷ。様エブリディ]
懐かしい顔ぶれ、
ボロい校舎、風景。
薄れかけていた記憶が少しづつ甦ってく る。
お世話になった先生、
悪い事しか脳が働かない、気の合う奴 ら。
そして、
当時付き合っていた彼女の、篠原美 月…。
「いた…」
その顔と名前を目にした瞬間…胸がチ クッと痛んだ。
:13/04/27 23:26
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#479 [ぷ。様エブリディ]
その顔と名前を目にした瞬間…胸がチ クッと痛んだ。
どうして今更になって胸が痛むのか、自 分でもよく分からない…。
あれから10年もたって、記憶なんて曖 昧なのに…。
あの恋が初恋で、とにかく大好きだった のは覚えてる。
だけど終わり方は覚えていない。
気付いたら美月は、俺の目の前からいな くなっていたんだ…
:13/04/27 23:26
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#480 [ぷ。様エブリディ]
「“美月”、かぁ―‥」
個人写真の美月は ピンク混じりの色白で、髪が長くて、飾 らなくても十分輝いている。
そういえば男達の憧れの的で、かなりモ テたっけ。
:13/04/27 23:31
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#481 [ぷ。様エブリディ]
どんなにすました野郎でも、美月を目の 前にしたらみんなだらしなく鼻の下をの ばす。
本当にイイ女だった。
付き合えた俺は、ある意味ラッキーだっ たと思う。
美月はもう25歳になったんだよなぁ …。
:13/04/27 23:33
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#482 [ぷ。様エブリディ]
無理もないか。
あれから一度も会ってないもんな。
そのせいで俺の中の美月は、15歳のま ま記憶が終わっている。
あいつは今頃、どこで何をしているのか な…。
:13/04/27 23:35
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#483 [ぷ。様エブリディ]
「じゅ〜んやぁ〜〜!!」
一階から、なまり声で俺を呼ぶ声が聞こ えた。
…母親だ。
思わずガクッと肩の力が抜ける。
せっかく思い出に浸っていたのに、一気 に現実に引き戻されてしまった。
はぁ、とため息をつき、階段を下りる。
:13/04/27 23:40
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#484 [ぷ。様エブリディ]
「何ー?呼んだー?」
階段の下まで降りると、母親は
「電話、サトル君から」
と言って、俺に受話器を差し出した。
…サトル!?
「――やっべぇ!!」
連絡する約束しといて、すっかり忘れて た。
:13/04/27 23:49
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#485 [ぷ。様エブリディ]
長く鳴っている保留音を切り、恐る恐る 電話に出る。
「もしもし…?」
当然サトルのデカイ声が、電話口いっぱ いに響く。
『つか純也さぁ!もうこっち着いてんだ ろー!?駅で見かけたって噂で聞いた ぞー!』
:13/04/27 23:56
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#486 [ぷ。様エブリディ]
さすがは狭い町だよな。
情報が早すぎる。
どんな噂もすぐに回って、小さな事でも 悪目立ちして…。
俺はこの町のそういう所が嫌いで、高校 卒業と同時に逃げるように出たんだよ な。
:13/04/27 23:57
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#487 [ぷ。様エブリディ]
『誰が教えてくれたんだっけなぁ〜? あ、そうだ、山崎商店のオバチャンが教 えてくれたんだ!』
山崎商店のオバチャン…?
「誰だよっ!」
知らない名前に、思わず鋭いつっこみを いれた。
自分の知らない人が、自分を知ってい る。
:13/04/27 23:59
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#488 [ぷ。様エブリディ]
田舎によくある光景だけど、またひと つ、この場所が嫌になってしまった。
『つぅかさぁ、帰ってきたのにまた連絡 ナシって冷てぇんじゃねぇ〜の〜!?』
受話器から、ふてくされた声が聞こえ た。
「悪い、少しバタバタしてて…もう用事 済んだし、今からサトルんち行くわ!」
『今から?お〜いいよ!ちょうど渡した い物もあるし』
「渡したい物?」
:13/04/27 23:59
:ISW11K
:T3rHlu5Y
#489 [ぷ。様エブリディ]
『おう。じゃあ純也、今度こそちゃんと 来いよ?』
「あぁ、分かってる。また後でな〜」
会う約束をし、受話器を戻した俺は足早 に階段を駆け上がる。
そして2階にある母親の部屋の前で立ち 止まった。
「おかん?俺出かけるから」
ドアの向こうに向かって話しかける。
「‥‥‥」
:13/04/28 00:00
:ISW11K
:4fzWLTxo
#490 [ぷ。様エブリディ]
やっぱり、返事がない。
ドアの向こう側は、人の気配がしないほ ど、静まり返っている。
嫌な予感が頭の中をよぎった。
まさか―‥!
:13/04/28 00:01
:ISW11K
:4fzWLTxo
#491 [ぷ。様エブリディ]
「おい、おかん!」
バン、と大きな音を立ててドアを開け る。
だけどそこに母親の姿はなく、タンスと テレビだけの殺風景な和室があった。
あれ…?
すると後ろから、タン、タンと、階段を 上がってくる足音が聞こえた。
:13/04/28 00:02
:ISW11K
:4fzWLTxo
#492 [ぷ。様エブリディ]
「なにー?純也、大きな声出して」
てっきり部屋にいると思っていた母親 が、すぐ後ろに立った。
「…おかん、どこ行ってたの?」
「ん?納屋よ」
「…納屋?」
「うん、そう」
「――…んだよ、マジでびびった…」
:13/04/28 00:17
:ISW11K
:4fzWLTxo
#493 [ぷ。様エブリディ]
全身の力が抜けて、ヘナヘナとその場に 腰を落とす。
びびった。本気で冷や汗かいた。
うなだれる俺を見て、母親はクスッと 笑った。
「なに純也…また私が倒れたとでも思っ たぁ?」
:13/04/28 00:18
:ISW11K
:4fzWLTxo
#494 [ぷ。様エブリディ]
バカにしたような態度にムッときた俺 は、強い口調で言い返す。
「本気で心配したわ!笑うなや!」
…おととい、朝イチで地元に戻ってきた 理由は、「倒れた」と病院から電話がき たからだ。
結果的にはたいした事なく、一日の入院 で済んだんだけど…。
:13/04/28 00:21
:ISW11K
:4fzWLTxo
#495 [ぷ。様エブリディ]
いつもこの瞬間だけは背筋がヒヤッとす る。
俺の母親は身体が弱い。
仕事を頑張りすぎては、たびたび身体を 壊す。
その度に俺は有給休暇をとって、新幹線 で帰ってくる。
俺の真剣な顔を見ると、母親はシュンと 眉を下げた。
「ごめんね…?」
「…無事ならいー」
:13/04/28 00:22
:ISW11K
:4fzWLTxo
#496 [北野]
ぷ。様、今日も
いぱい絡んでくれて
ありがとう ٩(๑>∀<๑)۶
:13/04/28 00:22
:F-03E
:jEZpNnvg
#497 [ぷ。様エブリディ]
怒りの残る声で言い、ヒザを伸ばして立 ち上がる。
「あ、俺今からちょっと出かけるから」
それでも用件はきちんと伝え、玄関に行 く。
<
:13/04/28 00:29
:ISW11K
:4fzWLTxo
#498 [ぷ。様エブリディ]
きたのーん
いつでも絡むぜ(●´ω`ノまたのぉーん
:13/04/28 00:30
:ISW11K
:4fzWLTxo
#499 [ぷ。様エブリディ]
履きつぶしたスニーカーに足を入れる と、後ろから母親が追ってきた。
「ねぇ純也、私は本当に平気なんだか ら、わざわざ帰ってこなくてもいいの よ?」
おずおずと話すその口調は、説得力に欠 けるものだった。
「“平気”…?」
本当に平気な人間が、たびたび倒れたり しない。
そして病院から直接きた連絡に、心配し ない息子はいない。
何より母親の弱さは、俺が一番よく知っ ている。
「おかん、今更俺の前で強がんなくてい いよ」
:13/04/28 00:34
:ISW11K
:4fzWLTxo
#500 [ぷ。様エブリディ]
俺はもう25歳の大人。
親に守ってもらうような、弱い子供時代 はとっくに過ぎた。
…と言うより、おかんがあのクソ親父と 離婚した13年前から、俺は守ってもら うのをやめた。
逆に、精神的に参ってしまった母親を、 どうにかして守らないと、って思った。
結局家を出た俺に、そんな事を言う資格 はないけれど。
:13/04/28 00:36
:ISW11K
:4fzWLTxo
#501 [ぷ。様エブリディ]
“強がんなくていい”
と言われた母親は、少し困った顔をし た。
「でも…そんなしょっ中仕事休ませる訳 にもいかないしねぇ…カメラマンの仕 事って厳しいんでしょ?」
「…そんな事気にしなくていいんだよ。 今回はちょうど夏期休暇とぶつかって たし…それより、」
俺は少し間をあけてから、続けて話す。
「本当にいいの?一緒に住まなくて…真 由子は同居してもいいって言ってんだ し、おかんさえよければ…」
:13/04/28 00:40
:ISW11K
:4fzWLTxo
#502 [ぷ。様エブリディ]
一緒に、住もう。
そう言おうとした時、おかんの声によっ て遮られた。
「何言ってんの、嫌よ、東京なんて」
「けど、一人じゃ…。 おかん自分の身体の事分かってる?また いつ倒れるか分かんないんだよ?」
これは電話で何度も交した会話。
だけどおかんは、俺の婚約者の真由子に 遠慮してか知らないけど、
首を一度も縦に振ってくれない。
:13/04/28 00:40
:ISW11K
:4fzWLTxo
#503 [ぷ。様エブリディ]
「純也は真由子さんと二人で、自分達だ けの家庭を築きなさい」
いつも、これだ。
次におかんが何を言うか、もう分かる。
「“家庭をダメにした私が言えたセリフ じゃないけど”?」
母親が言う前に、俺が代わりに口にし た。
:13/04/28 00:42
:ISW11K
:4fzWLTxo
#504 [ぷ。様エブリディ]
母親は少し驚いた後、苦笑いを浮かべ た。
「そうよ…、私は本当に純也にはあたた かい家庭をイチから作って欲しいの。
そうしたらきっと、私の一番の幸せにな るから」
…これはたぶん、強がりではなく、おか んの本音の気持ち。
息子の俺には分かる。
そして一度言ったら100%曲げない、 頑固な性格も分かっているつもり。
俺はため息をつく。
:13/04/28 00:44
:ISW11K
:4fzWLTxo
#505 [ぷ。様エブリディ]
「分かった、任せてよ。言われた通り温 かい家庭作ってみせるよ」
そう言うと、母親は安堵の表情を浮かべ る。
「じゃあ、行ってくるわ」
玄関のドアノブに手をおいて、押し開け た。
真夏ならではの強い日差しが、全身に降 りそそぐ。
あぁ、夏だ。
単純な事を思いながら、サトルの家まで ひたすら歩く。
日陰がないせいで、めちゃくちゃ暑い。
セミの声がバカみたいにうるさい。
「――…あ、」
:13/04/28 00:52
:ISW11K
:4fzWLTxo
#506 [ぷ。様エブリディ]
なぜかこの瞬間…
美月の事をふっと思い出した。
そういえば今歩いてるこの道、よく美月 と手を繋いで歩いた道だ。
その時の光景がうっすら甦り、くすぐら れたように胸の中が懐かしくなった。
:13/04/28 00:52
:ISW11K
:4fzWLTxo
#507 [ぷ。様エブリディ]
サトルの家に着くと、挨拶もそこそこ に、写真の束を渡された。
「は?写真?」
よく見ると、中学時代の美月が写ってい る。
「返す」
「返す、って…サトルのだろ?これを俺 に渡してどうしろっていうんだよ?」
そう言って突き返そうとすると、サトル は首を横に振った。
「俺のじゃない。卒業するとき、お前が 俺に預けたんだろ?」
:13/04/28 00:55
:ISW11K
:4fzWLTxo
#508 [ぷ。様エブリディ]
「俺のじゃない。卒業するとき、お前が 俺に預けたんだろ?」
「…そうだっけ?」
まったく記憶にないけど…。
「そうだよ。だから燃やすなり保管する なり好きにしろよ。もうお前の自由だ」
そう言われても…。
写真を一枚、一枚、確認すると、俺と美 月のツーショットばかりだった。
ほとんど俺が撮ったもの。
:13/04/28 00:56
:ISW11K
:4fzWLTxo
#509 [ぷ。様エブリディ]
でも当時中学生の俺は、なぜこの写真を サトルに渡したんだ?
写真の中の美月は卒業アルバムと同様 に、やっぱり綺麗な顔立ちをしている。
「美月…今頃何してるんかな?」
素朴な疑問が、無意識に口からこぼれ出 た。
「…なに?気になんの?」
飲み物を注いでいたサトルは、ピタリと 動きを止めて俺を見た。
:13/04/28 00:58
:ISW11K
:4fzWLTxo
#510 [ぷ。様エブリディ]
「気になるっつーか、こんなに写真見せ らんたら気にもなるだろ」
さっきのサトルの反応が気になり、少し ごまかすようにして言った。
するとサトルは不機嫌そうな表情を見せ る。
「振ったお前が今更気にするなよ、散々 冷たくしといて都合よすぎ」
え‥?
「俺が美月を振ったの?」
「どう考えても終わりにしたのはお前だ ろ?」
:13/04/28 00:59
:ISW11K
:4fzWLTxo
#511 [ぷ。様エブリディ]
そうだっけ…?
何でだろう、全然覚えてねぇや。
思わず黙り込むと、サトルは深刻そうに 口を開く。
「‥純也、覚えてねぇの?」
「曖昧にしか…、もう10年も前だし」
「マジ…?時間が過ぎたからって、そん なに薄れるもんじゃねぇだろ?」
「いや、でもマジで考えれば考えるほど 分からなくなる。 何で俺ら別れたん だっけ?
気付いたら美月が目の前からいなくなっ てた事しか覚えてねぇ…」
:13/04/28 01:01
:ISW11K
:4fzWLTxo
#512 [ぷ。様エブリディ]
そう言うと、サトルは長いため息をつい た。
「そういうのは俺に聞くな。てゆうか俺 も全部知ってる訳じゃねぇし…なんなら 本人に聞け!」
サラリと口にするサトルに、俺は耳を 疑った。
「はぁ?本人に?」
:13/04/28 01:03
:ISW11K
:4fzWLTxo
#513 [ぷ。様エブリディ]
「だってお前、今日の同窓会のために 帰ってきたんじゃねーの?
さすがに美月ちゃんも来るみたいだし、 話しちゃえよ。
これを逃したらもう会う機会なんてない だろうしな」
「え、同窓会?あるの?しかも今日っ て…」
すっかり地元の奴らと疎遠の俺は、同窓 会がある事すら知らなかった。
:13/04/28 01:06
:ISW11K
:4fzWLTxo
#514 [ぷ。様エブリディ]
「あるある。お前引越し繰り返してるか らな〜ハガキもこなくなるか」
サトルは本棚から同窓会を知らせるハガ キを取り出し、俺に見せた。
確かに今日、中学校の同窓会があるみた いだ。
「でも何でこんなに始まる時間はえー の?午後の3時って…」
:13/04/28 01:07
:ISW11K
:4fzWLTxo
#515 [ぷ。様エブリディ]
しかも集合場所は中学校の裏にある山と きたもんだ。
田舎らしさ満点。
「それはあれだよ、10年前にタイムカ プセル埋めたじゃん?それを掘り返すん だよ」
「あー…そういえば、埋めたような、埋 めてないような…」
「…それすら覚えてねぇか、重症じゃ ね?お前」
サトルはすでに呆れ気味だった。
俺も何でこんなに中学時代の記憶が薄い のか分からない。
まぁもともと記憶力は乏しい方だけど。
:13/04/28 01:14
:ISW11K
:4fzWLTxo
#516 [ぷ。様エブリディ]
たいてい記憶は、頭の中で反芻しないと 薄れていくもんだけど…
俺にとっての中学時代は、思い出したく ないほど嫌なものだったのか…?
気になった俺は、自分の中に眠る思い出 を探す事にした。
いったんテーブルに置いた写真を無造作 に手に掴み、立ち上がる。
「なんだよ純也、もう帰んのかよー?」
すかさずサトルは引き止めてきた。
:13/04/28 01:17
:ISW11K
:4fzWLTxo
#517 [ぷ。様エブリディ]
だけど俺は出されたお茶を一気に飲み、 帰り仕度をする。
「また午後にゆっくり話そうぜ、俺 ちょっと行く所あるんだわ」
「おっ、純也も来る気になったか!みん な喜ぶよ。あ、午後3時だからな!」
俺の気が変わらないようにと、念を押す サトル。
「分かった、分かった。3時な」
片手を挙げ、サトルの部屋から出た。
:13/04/28 01:23
:ISW11K
:4fzWLTxo
#518 [ぷ。様エブリディ]
手に持った写真を数えてみると、51枚 もあった。
写真の中の風景は、 学校がほとんどで、
あとは俺の家だったり、 公園だったり、 帰り道だったり、
この狭い町のほとんどが写っていた。
こんなにも思い出があったんだと、改め て気付かされた。
デジカメで撮影された写真は、左下に小 さく日付が書かれている。
:13/04/28 01:24
:ISW11K
:4fzWLTxo
#519 [ぷ。様エブリディ]
俺は写真を全て道端に並べ、 日付の古いものから順に手に取っていっ た。
すると汗が一滴、ポタ、と写真に落ち た。
「――げ!」
慌てて手で写真をこする。
だけどアスファルトに反射した強い熱 が、次々と汗を引き出す。
こぼれ落ちる汗を無視しながら、全て日 付け順に写真を揃えた。
一番古い写真の日付けは、
【1997年5月17日】
だった。
:13/04/28 01:25
:ISW11K
:4fzWLTxo
#520 [ぷ。様エブリディ]
写真の中の俺と美月は、学校の屋上で、 ぎこちない笑顔をしている。
確かこの写真は『付き合った記念』とか 言って、撮ったものだ。
まだ手すら握らない、ぎこちなく新鮮な 二人。
最初に『好き』って告白したのは美月の 方だったんだよな。
出会いは、確か―…。
:13/04/28 01:28
:ISW11K
:4fzWLTxo
#521 [ぷ。様エブリディ]
第一章
おわり(●´ω`)どうでしたか?
需要あるかな?(´ω`)
まぁやることないなので
第二章やります
:13/04/28 01:31
:ISW11K
:4fzWLTxo
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