居場所
最新 最初 🆕
#101 [ゆーちん]
でもとても話す気になれなくて、何から話せばいいのかわからなくなっていた。


「私の友達にシホちゃんって子がいるの。」


ずっと黙っていると、望実さんが話し始めた。

⏰:09/03/05 17:32 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#102 [ゆーちん]
「シホちゃんは親から暴力を振るわれていたの。でもずっと我慢して、いつか自殺してやるって考えてた。」

「…自殺。」

「そう。でもある日、一人の男性に出会った。その男性ってのが、私と亘が入ってるチームの頭。」

⏰:09/03/05 17:33 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#103 [ゆーちん]
へぇ、亘どっかのチームに入ってたんだ。


最近ろくに会話してなかったから、知らなかったよ。


「哲夫さんって言って、すごくカッコよくてね。外見だけじゃなく内面も凄い人なんだ。ちょうど弥生ちゃんと同じ17の時にシホちゃんは哲夫さんに出会って、生きる楽しさを知った。」

⏰:09/03/05 17:41 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#104 [ゆーちん]
「生きる楽しさ…か。」

「自殺しようなんかもう絶対思わない、って。哲夫さんのおかげでシホちゃんは親と話し合いして、今は仲良くやってるみたい。哲夫さんが最後まで味方だったからなんだって。」

⏰:09/03/05 17:44 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#105 [ゆーちん]
「味方…」

「ねぇ、弥生ちゃん。弥生ちゃんには味方はいない?」

「さぁ…」

「少なくとも私と亘は味方だよ。一緒に頑張ろうよ。弥生ちゃんが幸せでいてくれないと、私…寂しいよ。」

⏰:09/03/05 17:44 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#106 [ゆーちん]
初めて会ったのに、とてもよくしてくれるのは、きっと私が亘の妹だから。


…って、思ったけどどうやら望実さんは違うみたい。


誰にでも優しくて、私みたいに性格曲がってないんだ。

⏰:09/03/05 17:45 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#107 [ゆーちん]
亘、素敵な彼女で幸せ者だね。


私も幸せ者になりたい。


幸せになりたいだけなのに…なんでこんなに辛い道を選んじゃったんだろう。


私もシホさんみたいに、哲夫さんみたいな…味方が欲しいよ。

⏰:09/03/05 17:45 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#108 [ゆーちん]
「ねぇ、望実さん。」

「ん?」

「亘とどれくらい付き合ってんの?」

「もうすぐ2年になるかな。」

「そっか。優しい?」

「優しいよ。」

「そ。ならよかった。」

⏰:09/03/05 17:50 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#109 [ゆーちん]
「ねぇ弥生ちゃ‥」

「彼氏の京介にね…」


そこまで言って、泣いてしまった。


泣き崩れた私を、望実さんは迷わず抱きしめてくれた。


人肌が温かく、益々泣けて来た。

⏰:09/03/05 17:50 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#110 [ゆーちん]
「別れたいのに…別れさせて…くれなくて…っ、もうあんな奴、好きじゃない。無理矢理キスとかすんの…嫌がったら殴って来て…やだよ。助けて。」

「ねぇ、弥生ちゃん。イジメとかでこんなアザできたならまだしも、恋人からの暴力…それってDVでしょ?亘に話そうよ。」

「やだ!亘には知られたくない。」

⏰:09/03/05 17:53 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#111 [ゆーちん]
「でも亘も薄々気付いてると思‥」

「話さないって言ったじゃんか。望実さん、嘘つき!」

「…ごめんね。でも弥生ちゃん、これ以上無理だよ。その京介って人、説得さすには亘とかウチのチームの人とかに頼むのが1番だよ。」

⏰:09/03/05 17:55 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#112 [ゆーちん]
そんなオオゴトにしたくない。


だけど、それくらい頼らないと私は助からないのかな。


もう、どうすればいいのかわかんないよ。


誰か助けて…


助けてよ、聖。

⏰:09/03/05 17:56 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#113 [ゆーちん]
その時、頭に浮かんだニタニタ顔の聖のせいで余計に涙が出てしまった。


「望実さん…私、京介のこと好きじゃない…」

「うん。」

「私、本当は聖が好きなの…」

「うん。」

「でも、もう今更遅いの…どうしていいかわかんないよ。」

⏰:09/03/05 17:57 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#114 [ゆーちん]
望実さんを嘘つき呼ばわりして傷つけたのに、やっぱり泣きじゃくりながら抱き着いてしまう。


望実さんの温もりは安心できた。


聖の事、説明してないのにずっと一方通行の私の話を聞いてくれた。


私の、今更気付いた聖への恋心の話を。

⏰:09/03/05 17:57 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#115 [ゆーちん]
京介との事は出来るだけ人に知られたくない話。


だから亘にはまだ話さないでと、念を押した。


「それじゃあ一週間後にまた会おう。それでも状況が変わってなかったら亘に言って、仲間にも頼むから。」


望実さんがそう言てくれたので渋々頷いた。

⏰:09/03/05 19:13 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#116 [ゆーちん]
「ねぇ望実さん。」

「ん?」

「シホさん今、幸せ?」

「うん、とーっても幸せだって。」

「私も幸せになりたいな。」

「…なれるよ。絶対。」

⏰:09/03/05 19:14 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#117 [ゆーちん]
部屋の外にいる亘に会いたくなかったから、望実さんに協力してもらい、うまく逃がしてもらった。


また宛もなく歩いていちゃ誰かに会うと面倒だ。


だから家に帰った。

⏰:09/03/05 19:15 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#118 [ゆーちん]
ベットに寝転がっても心はからっぽで、目を閉じると京介が殴ってきそうな気がしてならない。


どこにいても京介に怯えて…私の居場所はどこだろうって、頭が痛くなった。

⏰:09/03/05 19:15 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#119 [ゆーちん]
自分の気持ちに気付いたけど、今更どうする事もできなくて…聖という居場所には頼れなかった。


あの居場所が1番安らげる場所だったのに、自分から違う居場所を求めた。


それがこの結果。

⏰:09/03/05 19:23 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#120 [ゆーちん]
私はバカだ。


でも過去にクヨクヨしても仕方ない。


だから明日の心配をしなきゃ。


明日、学校に行けば京介に会ってしまう。


会えばまた痛いめにあわされる。


嫌だ、嫌だ、絶対に嫌だ。

⏰:09/03/05 19:24 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#121 [ゆーちん]
携帯電話のリダイヤル。


着信履歴に彼の名前は残っていなかった。


今思えば私からかけた事なんか一度もなく、いつもかかって来るのを待ってただけだった。


発信履歴に名前があるわけもなく、私は電話帳から聖を引っ張り出し、電話をかけた。


発信音が鳴り、すぐに聖の声が響いた。

⏰:09/03/05 20:58 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#122 [ゆーちん]
「んー?」



あ、久しぶりの聖の声。



「…何してんの?」

「何って、学校だけど。」


そっか、私学校飛び出して来たんだっけ。


「何で電話出れんの。」

「サボってんの。数学やだもん。」

⏰:09/03/05 20:59 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#123 [ゆーちん]
「一人で?」

「…ううん。」


聖の声のトーンが落ちた。


「…葉子?」

「…うん。」


もっと元気に返事しろよ、バカ。


「お前も来る?」

「いい、私もう家だし。」

「ブッ。俺らより大胆なサボりだな。」

⏰:09/03/05 21:00 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#124 [ゆーちん]
何も知らない聖は呑気に彼女とおさぼりですか。


何か…泣けてきちゃう。


「それに邪魔しちゃ悪い。」

「…何が?」


言わなくてもわかるくせに。


「葉子と聖の邪魔しちゃ…」


ダメだ、弥生。


泣くな。

⏰:09/03/05 21:04 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#125 [ゆーちん]
「どした?」

「…何でもないよ。ごめん…邪魔して。それじゃ。」


電話を切り、私は壁に携帯電話を投げ付けた。


携帯電話に当たっても意味ないのに。


情けなっ。

⏰:09/03/05 21:05 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#126 [ゆーちん]
もう右も左もわからない状態。


ベットにうずくまって声を上げて泣いた自分がすごく惨めに思えた。


中学の頃、前後左右わからなくて上等だった。


何でも思いのまま過ごして来た。

⏰:09/03/05 21:06 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#127 [ゆーちん]
それなのに今の私ときたら何?


帰って来れる居場所がなきゃ、無茶もできないほど弱虫になったの?


…そう、なったんだよ。


人間ってのは大人なるほど居場所を求めたがる、って昔亘の友達が言ってた。

⏰:09/03/05 21:07 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#128 [ゆーちん]
当時は、何だそれって思った。


だけど今は痛いくらいわかるよ。


弱虫で臆病で意気地無しの私は、体の痛みと心の痛みを抱き、そのまま現実逃避した。


泣き疲れて眠った時に見る夢は、なぜか楽しすぎて…目を覚ますまでは幸せでいられた。

⏰:09/03/05 21:08 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#129 [ゆーちん]
「…い…やよ…おい!弥生!」


あれ。


まだ夢の中かな。


何か幸せなんですけど。


私、どうして聖に手を握られてんだろ。


夢の続きにしては、手が痛い。

⏰:09/03/05 21:11 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#130 [ゆーちん]
「…聖?何してんの。」

「何してんのじゃねぇよ。いきなり電話して来て泣きながら切るから心配したんじゃん!」

「あ…ごめんね。でも何で部屋にいんの。葉子は?」

⏰:09/03/05 21:16 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#131 [ゆーちん]
「おばちゃんがいたから、上げてくれた。葉子はいないよ。」

「そう。邪魔したんだね。ごめん。」

「…別にいいけど。変な雰囲気で息が詰まりそうな時に弥生から電話もらって、こんな言い方悪いけど助かった。」

⏰:09/03/05 21:22 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#132 [ゆーちん]
「え?葉子と喧嘩でもしたの?」


久しぶりに聖と話すね。


昔と変わらない喋り口調は心が弾んだ。


楽しいねって叫びたくなった。


私、変なの…。

⏰:09/03/05 21:23 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#133 [ゆーちん]
「喧嘩よりタチ悪い。」


寂しそうに笑った聖は、私の手をきつく握った。


「…どういうこと?」

「葉子って束縛すごいんだ。女と話すなってうるさいし…特に弥生とは仲良くしないでって言われた。」

「そう。仕方ないよ。」


束縛はどのカップルにもあるもんだから。

⏰:09/03/05 21:26 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#134 [ゆーちん]
「俺、ちゃんと葉子の言う事聞いてたつもりだった。葉子だけ見てた。それなのに葉子は俺なんか見てくれてなかったみたい。」

「…浮気されたの?」

「俺が浮気相手だったのかも。他校にたくさん男いてさ…これからどうする?ってさっき弥生から電話もらった時、話し合ってたんだ。」

⏰:09/03/05 21:27 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#135 [ゆーちん]
「…ひどいね、葉子。こんないい男…浮気相手か。」

「ハハッ。何?慰めてくれてんの?」


あ、いつもの笑顔だ。


寂しそうに笑う聖はいやだ。


やっぱこの笑顔が好きだよ。

⏰:09/03/05 21:28 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#136 [ゆーちん]
「ねぇ、聖。私、京介と別れたい。」

「はぁ?何言ってんだ?」


あぁ、笑顔が消えちゃった。


でもその驚く顔も懐かしくて、何かちょっと心がキュンとする。

⏰:09/03/05 22:04 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#137 [ゆーちん]
枕に埋めていた顔を上げ、ベッドからも起き上がり、さっき望実さんに見せた格好になった。


何いきなり脱いでんだ!って騒がれると思ったけど聖は自分の目に映った私の体を見て呆然としていた。

⏰:09/03/05 22:04 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#138 [ゆーちん]
「顔…腕…腹…足…何だそれ。」

「ヘヘッ。何だろうね。自分でももうわかんないや。」

「京介がやったの?」

「…京介じゃないよ。京介の中にいる、もう一人の人物がこんな事すんの。だって京介、ぼろぼろの私見て、ごめんごめんって謝ってくれる。優しいんだよ、京介は。」

⏰:09/03/05 22:05 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#139 [ゆーちん]
なんて、自分に言い聞かすように京介をかばった。


でも体は正直で…


「だったら何で泣いてんだよ。」


泣きながら京介の話をする私に、聖は切なげな顔を向けていた。


「さぁ?でももう別れたい。」

⏰:09/03/05 22:06 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#140 [ゆーちん]
「今に始まった事じゃないんだろ?どうして相談しなかったの。」

「できるわけないじゃん。こんな惨めな自分…本当情けない。」

「別れなよ。これ以上一緒にいると弥生が辛いだけだよ。まさかこんな事されても、まだ好きだって言うんじゃねぇよな?」

⏰:09/03/05 22:07 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#141 [ゆーちん]
「嫌い。好きじゃない。別れたくても京介が別れてくんない。別れようって言うと…痛い事すんの。」

「何それ…」


聖はため息を付きながら俯いた。


「何で俺に言ってくんな‥」

「葉子と楽しそうに笑ってる聖なんかに言えるわけないじゃん!」

「…そんな風に見えてたんだ。」

「当たり前じゃん!もうやだよ…聖にそんな顔されると泣けてくる。」

⏰:09/03/05 22:08 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#142 [ゆーちん]
「俺、葉子といて幸せだなんて思った事ないよ。葉子といても心底笑えないっつうか。」

「何それ…意味不明!」

「うん、意味不明。あんな綺麗な子より、バカみたいに派手な格好してクラス全員と教師を敵にしてたブスといる方が幸せだったから。」

⏰:09/03/05 22:08 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#143 [ゆーちん]
やめてよ、聖。


そんなドラマみたいな展開はいらないよ。


心臓がドキドキとうるさくなってしまうじゃんか。

⏰:09/03/05 22:09 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#144 [ゆーちん]
「私だって…私だってそうだよ!カッコイイ人よりニタニタ笑うキモイ奴といた方が楽しかった。幸せだった。」

「…俺たち、どこで間違ったんだろうね。」


またため息をついた聖。


ちょっと笑ってた。

⏰:09/03/05 22:10 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#145 [ゆーちん]
「出会った事から間違いだったんだよ。」


笑った聖が、怒った聖になった。


「…そんな事言わせねぇ。」


怒った聖は、泣いてる私を引っ張った。

⏰:09/03/05 22:11 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#146 [ゆーちん]
聖の温もりがくすぐったい。


何抱き締められてんだ私。


カッコ悪。


「フフッ。」

「笑うなよ。」


腫れた頬が、聖の胸元に当たって痛い。


だけど我慢した。


だって幸せだから。

⏰:09/03/05 22:12 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#147 [ゆーちん]
「好きだよ、弥生。」

「私は嫌いだよ、聖。」

「あっそ。」


幸せなハグは体中がズキズキ痛くって…一生忘れらんないな。


「京介とまだ別れてないから聖、浮気相手だよ?」

「またか。所詮、浮気相手レベルの男なんだよ、俺って奴は。」

⏰:09/03/05 22:13 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#148 [ゆーちん]
久しぶりに笑った気がした。


「聖こそちゃんと別れたの?」

「おう。」

「私だらしないね。ちゃんと別れなきゃ。」


亘、望実さん。


私、大丈夫だよ。


聖がいるんだもん。


きっと乗り越えられる。

⏰:09/03/05 22:14 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#149 [ゆーちん]
私には聖っていう居場所がある。


もう大丈夫、大丈夫だよ。


体の傷が治る頃には、昔の私に戻ってるといいな。


なんて、夢見ながら、本当に今、夢じゃないのかを聖のほっぺを引っ張って確かめた。

⏰:09/03/05 22:15 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


#150 [ゆーちん]
「いてぇ。」

「聖、好きだよ。」

「俺は嫌いだけどね。」

「あっそ。」


夢じゃないみたい。



よかった。



やけに遠回りして痛い目にあったけど、私の居場所は聖なんだってやっとわかったよ。

⏰:09/03/05 22:16 📱:SH901iC 🆔:kAM/AC..


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194