黒猫の棲むところ

猫「…狐…」

狐「ｺﾎﾝ！
えー話が大分ズレましたが！
僕らｱｽﾀﾘｽｸ劇団の主な仕事は
昼間は人間、たまに妖の
心のオアシスともなりえる
大人気！移動劇団！！」

七「…はぁ」

狐「しかし！もう一つの姿は
最近、罪なき人間を
襲うようになった
怖ぁ～い妖を退治する
ハンター集団！

…さっきの、
ネコくんみたいにね♪」

七「…ハンター…」

狐「そう♪かっこいいでしょ★
って言っても、
悪い妖ばっかじゃないんだよ？
ちゃんと人間と共存しようと
努力してる妖もいる。」

七「…あの…それで…
さっきの鬼が言ってた、
アマハラ…？って、
何のことですか…？」

ﾋﾟｸｯ

空気が変わる

狐さんからは
おちゃらけた笑みが消え、
黒猫さんは私から目をそらす。

七「…あの…？汗」

何か…聞いちゃいけない
ことだったかな？

でもでもでも！
鬼は間違いなく
私のことアマハラ一族だって…

七「あ、あの！
言いづらいことだったら
ごめんなさい！
でも私…さっきも言ったけど
自分のこと…何も覚えてなくて…」

猫「―……何も…？」

どもりながらも必死に言うと、
黒猫さんが、私に話しかけてきた。

七「何も！本当に何も！！
あ、名前と…あと、
日本語は一応喋れますけど！
なんていうか…どこに」

どこに

誰が

マッテル？

七「…どこに…行けばいいか…」

狐「―…ふぅ…ネコくん、
どう思う？本当にこの子、
雨原の子かい？」

猫「ﾌﾌﾝ、頭だけじゃなく、
ついに嗅覚まで
イカれちまったか、狐。

お前は匂わないのか？
この血は…」

黒猫さんは私の腕を掴み
自分のほうに寄せた。

七「ｷｬｯ!」

猫「――……間違いなく、
雨原の血だ」