黒猫の棲むところ
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#44 [イリア]
:09/03/22 15:23 :W61P :☆☆☆
#45 [イリア]
ピクッ
猫の私を見る瞳(メ)が変わる。
何も映さなかった漆黒の瞳に、
私が映った。
:09/03/22 15:24 :W61P :☆☆☆
#46 [イリア]
少し私を見つめたあと、
ゆっくりと一歩
猫は私のほうに足を進めた。
「どうしたの…?」
その時
:09/03/22 15:24 :W61P :☆☆☆
#47 [イリア]
ピカッ
「キャッ!」
雷が光った。
すぐに大きな音がする。
「…びっくりしたぁ…
落ちたよね、近そうだな…」
:09/03/22 15:25 :W61P :☆☆☆
#48 [イリア]
すると猫は私からまた体を遠ざけ、
タッ と洞穴の外に駆け出す。
「…え?ちょっ!危ないよ!
雨降ってるから!雷も落ちたし!
戻りなよーッ!!」
すぐに猫の姿は視界から消え、
私の声だけ虚(ムナ)しく響いた。
:09/03/22 15:26 :W61P :☆☆☆
#49 [イリア]
:09/03/22 15:26 :W61P :☆☆☆
#50 [イリア]
数時間経っただろうか。
雨は上がり、
空は元の曇天に戻った。
「…そろそろ私も行くかぁ」
:09/03/22 15:31 :W61P :☆☆☆
#51 [イリア]
それにしても…
「さっきの黒猫、大丈夫かなぁ?
血は止まってたけど
傷だらけだったし…」
まぁ今更心配しても仕方ない。
それに猫は死ぬとき
誰にも見られない場所に
行くというし…
:09/03/22 15:32 :W61P :☆☆☆
#52 [イリア]
「…なに物騒なこと
考えてんの私…
とにかく」
あの猫が、生きてますように。
私は足を止め、空を仰ぎ、
いるかも分からない神に祈った。
:09/03/22 15:33 :W61P :☆☆☆
#53 [イリア]
さっき私と黒猫の体を清めてくれた、
あの川まで戻る。
「…帰ろう」
ガザッ
木の揺れる音がして
後ろを振り返る。
:09/03/22 15:33 :W61P :☆☆☆
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