黒猫の棲むところ
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#48 [イリア]

すると猫は私からまた体を遠ざけ、
タッ と洞穴の外に駆け出す。


「…え?ちょっ!危ないよ!
雨降ってるから!雷も落ちたし!
戻りなよーッ!!」


すぐに猫の姿は視界から消え、
私の声だけ虚(ムナ)しく響いた。

⏰:09/03/22 15:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#49 [イリア]









⏰:09/03/22 15:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#50 [イリア]

数時間経っただろうか。

雨は上がり、
空は元の曇天に戻った。


「…そろそろ私も行くかぁ」

⏰:09/03/22 15:31 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#51 [イリア]

それにしても…


「さっきの黒猫、大丈夫かなぁ?
血は止まってたけど
傷だらけだったし…」


まぁ今更心配しても仕方ない。

それに猫は死ぬとき
誰にも見られない場所に
行くというし…

⏰:09/03/22 15:32 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#52 [イリア]

「…なに物騒なこと
考えてんの私…
とにかく」


あの猫が、生きてますように。


私は足を止め、空を仰ぎ、
いるかも分からない神に祈った。

⏰:09/03/22 15:33 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#53 [イリア]

さっき私と黒猫の体を清めてくれた、
あの川まで戻る。


「…帰ろう」



ガザッ

木の揺れる音がして
後ろを振り返る。

⏰:09/03/22 15:33 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#54 [イリア]



「―…誰?」


誰かいる。
それは分かる。
でも、誰?

⏰:09/03/22 15:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#55 [イリア]




見えない
見えない
見えない



怖い


⏰:09/03/22 15:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#56 [イリア]


「…誰か…ッ…いるの…?!
誰か…キャッ!!」


私の声は、誰か、によって遮られた。

後ろから手のひらで
口を塞(フサ)がれているような
感触はあるが、姿は見えない。

⏰:09/03/22 15:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#57 [イリア]



「…フッ…ン―ッ!!」


必死に声を出し、
手を退かせようと抵抗するが、
まったく力ではかなわない。

⏰:09/03/22 15:35 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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