黒猫の棲むところ
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#151 [イリア]


七「…どうして雨原一族は
人間を裏切ったんですか?」


狐「―…さぁ…それは僕らにも
分かんないな。」



そう言った狐さんの横顔は
何故か少し寂しそうだった。

⏰:09/03/23 14:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#152 [イリア]


狐「うん、でもまたある時
雨原一族は僕ら妖を裏切った。」



七「―――……え?」

⏰:09/03/23 14:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#153 [ちー]
ここ好きー(゚∀゚)
続きまってるー

⏰:09/03/23 14:25 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#154 [イリア]


>>153ちー様

 あわわ(゚д゚)
 もったいないお言葉
 有難うございます(;_;)
 初コメにものすごく
 感動してます(´;ω;`)←

 駄文だし更新もまちまちですが、
 最後まで頑張るので
 また見て頂ければ
 嬉しいです\(^O^)/

 コメントありがとう
 ございました★

⏰:09/03/23 23:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#155 [イリア]


>>152から

⏰:09/03/23 23:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#156 [イリア]


狐「驚いたよ、あれだけ仲良く…
って言っても、
主従関係だけどね。

何故?って思った。
雨原一族と妖で」



雨が本格的に降り出す。
川の表面にあたる雨は
広がり、波音を残し

…また、消える。

⏰:09/03/23 23:54 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#157 [イリア]


狐「…愛し合ってた人も、
いたのにさ。」



狐さんの声はもう、
雨音に混じりかき消され
聞き取りずらい。


猫「…関係なかったんだろ、
結局…雨原も人間だったってことだ
血には逆らえない。」

⏰:09/03/23 23:55 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#158 [イリア]


狐「妖は雨原一族を憎んでる。
新しい君主のもと、雨原の血を
途絶えさせるべく
全国に散らばってる。

だけど雨原だって
黙っては殺(ヤ)られない。
雨を呼び、妖を殺す。

そして、行き場のない
妖たちの憎しみは、
関係のない人間を殺す…
…悪循環だ」

⏰:09/03/23 23:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#159 [イリア]


七「―…私も殺すんですか?」


狐「え?」


七「なら、さっき
助けてくれないで良かったのに。
あのまま鬼に殺されておけば、
少しはあの鬼の憎しみも
取れたかもしれない。」

⏰:09/03/23 23:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#160 [イリア]


狐「…七衣ちゃん…」


七「だって、話だけ聞くと、
雨原一族って何なんですか。
あっち行きこっち行き…

そんなの妖に憎まれたって
文句言えないですよ、ね?」

⏰:09/03/23 23:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#161 [イリア]



猫「…まったく、正論だ」


狐「うん、記憶がないとはいえ
雨原の匂いがする人間に
こんなこと言われると…
不思議な気持ちだねぇ」


⏰:09/03/23 23:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#162 [イリア]


七「…あはは
殺すなら、殺してくれて
かまいませんよ。

…どうせさっきみたいな
鬼がきたら、
逃げられないんだし」

⏰:09/03/24 00:00 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#163 [イリア]


どうせ死ぬなら
今、死にたい。

私は貴方達には
殺されない。




…もう、
貴方達の思い通りには
ならないのよ。

⏰:09/03/24 00:02 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#164 [イリア]


頭の中で、美しい声が響いた。


いつか、どこかで、
誰かに言われた。


美しい人。
美しい唄。


⏰:09/03/24 00:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#165 [イリア]


ずっと前だった気もするし
つい最近のような気もする。





…誰だったかな?


⏰:09/03/24 00:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#166 [イリア]


猫「あんたを殺して、
それでおしまい。
そうしたい。簡単だ。

…ところが、
そうはいかない。」


七「え?」

⏰:09/03/24 00:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#167 [イリア]



黒猫さんは一瞬
私の目を見たあと、

空を仰ぎながら、喉を鳴らす。


⏰:09/03/24 00:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#168 [イリア]




 その揺りかごが風に揺れて
 私は大きくなった


 私は風にさらわれて
 もうあなたは見えない―…


 雨の音 風の声 聴いて
 揺りかごを揺らして
 早く私を迎えにきて――……



⏰:09/03/24 00:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#169 [イリア]



美しい声


この声を聞きながら死ねたら
どれほど幸福なんだろう。
どれほどの痛みで
魂と躯(カラダ)は
別れを告げあうのだろう。


それにこの唄…
さっき私が歌った…?

⏰:09/03/24 00:10 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#170 [イリア]


パチパチパチ


狐さんが拍手をした。


狐「いやあ!流石花形俳優!
美声だね〜思わず聞き惚れた!」

⏰:09/03/24 00:10 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#171 [イリア]



猫「フフン、当たり前。
あんたさ、さっきこの唄
歌ってなかった?

ほら、怪我した俺を洞穴に
連れてってくれたとき。」


⏰:09/03/24 00:11 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#172 [エ]
今めっちゃ読んでました

いいですね★

これからも読みます

⏰:09/03/24 01:03 📱:W51CA 🆔:☆☆☆


#173 [イリア]


>>172e様

(´д`⊂。)
コメントありがとうございます!
もう本当に本当に嬉しいです(;_;)
e様のコメ見て、眠気が
一気に吹っ飛びました。笑

これからも読んで頂けるとか
最高に嬉しい言葉です(;_;)★
今からがっつり(?)更新するので
読みづらいようでしたら
>>2の安価を使って下さい(^ω^)

コメありがとう
ございました(´;ω;`)☆

⏰:09/03/24 01:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#174 [イリア]


>>171から

⏰:09/03/24 01:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#175 [イリア]


七「…歌って…ましたよね…
何となく覚えてたんです。
でも正確な歌詞までは…
この唄、何なんですか?」


猫「この唄が何かなんて
そんなの俺たちが聞きたい。

何でも…雨原一族の血に
受け継がれる
唄らしいけど…」

⏰:09/03/24 01:46 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#176 [イリア]


七「…黒猫さんは
何でこの唄を?」


猫「…俺は…」






あぁ私が目覚めてからの天候は
雨ばかりだな。

⏰:09/03/24 01:47 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#177 [イリア]


猫「―…教えてもらった、昔。
声をくれた人…
…もう何年も前の話だ」



そう言うと黒猫さんは
また、空を仰ぐ。

雨に濡れ、雫が伝う漆黒の髪は
どうしてか、私の鼓動を早める。

⏰:09/03/24 01:47 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#178 [イリア]


狐「君は雨原だ」


狐さんの声が響く。


七「―…私は…雨原…」

狐「ここまでは、いいかい?」

七「…はい」

⏰:09/03/24 01:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#179 [イリア]


狐「妖は雨原一族を憎んでる、
危険だよ…
例え、君に記憶がなくても。
君の体に流れる
その血は、その匂いは…



僕らに雨原の居場所を
教えてくれる」

⏰:09/03/24 01:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#180 [イリア]



危険


そうだろう

あんな鬼が次に私を襲い、
さっきみたいに
黒猫さんが守ってくれなかったら
私なんか、一瞬であの世行きだ。

⏰:09/03/24 01:49 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#181 [イリア]


死ぬなら


もし死ぬなら、私は
黒猫さんの唄を聞きながら
死にたいな。

痛みも苦しみもないだろう。
美しい声は
全てを消し去ってくれる。
何故か、そう感じた。

⏰:09/03/24 01:50 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#182 [イリア]




生きてきた痛みを
死ぬときの唄で



響く

響く

美しい声


⏰:09/03/24 01:50 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#183 [イリア]



さっきから…
頭の中で、声がする


誰?私の中に誰かいる?

教えて、雨原のこと。

私は何?

何故、一人ぽっちなの?

⏰:09/03/24 01:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#184 [イリア]



猫「―…ィ……………オイ!!」


七「…え?あ、はいッ!!」


⏰:09/03/24 01:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#185 [イリア]


猫「はい?じゃねえよ、
あんたさ、何ぼけっとしてんの。
狐の話聞いてる?
こいつにしては結構まともに
話してるんだぜ、これでも」


狐「おーい」

⏰:09/03/24 01:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#186 [イリア]



七「あ、すいません!
なんか…考えること、
いっぱいで…」









猫「―…アスタリスクに、入らない?」


⏰:09/03/24 01:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#187 [イリア]





七「…え?」



猫「だから、俺たちの劇団に
入らないかって聞いてるの。

劇団についての説明は
さっき一通り聞いただろ?」

⏰:09/03/24 01:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#188 [イリア]



狐「ネコくん自ら
スカウトするなんてねー
珍しいこともあるもんだ。

僕は歓迎だよ?
七衣ちゃん、可愛いし…
…ちょっと冗談だよネコくん、
いや七衣ちゃんは可愛いけど…
そんなに睨まないでくれる?

…軽口叩いてごめんなさい!」


⏰:09/03/24 01:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#189 [イリア]


七「…でも…あたし…」


猫「―…何?」


七「貴方達のこと、
何も知らない。」

⏰:09/03/24 01:56 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#190 [イリア]


猫「知ってるよ
俺は黒猫。クロやらネコやら
好きに呼んで。」


七「名前じゃなくて…」





猫「俺は今生きて、
あんたの目の前で呼吸をしてる」

七「………あ」

⏰:09/03/24 01:56 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#191 [イリア]



猫「…そんだけ知ってれば
充分だと思うけど?
仮にあんたがもっと俺のこと
知りたいと望むなら…」



黒猫さんが、私の目を見つめる。

⏰:09/03/24 01:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#192 [イリア]












猫「…これから、知っていけばいい」

⏰:09/03/24 01:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#193 [イリア]



カァァァ


顔が赤くなる

そんな自分を隠すように
私は声を張り上げる。


七「―…で、でもでもでも!!」


狐「なになに?」

⏰:09/03/24 01:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#194 [イリア]



七「…私…
雨原一族なんですよね…?
私は覚えてないけど…
一緒にいて…」


猫「フフン、あんたなんか
一人でほっつき歩いてたら
二秒で鬼の腹の中だよ」

⏰:09/03/24 01:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#195 [イリア]




七「な!何ですかそれ!
どういう意味「俺が守るよ」



⏰:09/03/24 01:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#196 [イリア]



え―……?


私が言葉を終える前に
黒猫さんが言葉を重ねる。

⏰:09/03/24 01:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#197 [イリア]




猫「…俺が、守る。


別に深い意味はないけど」



⏰:09/03/24 01:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#198 [イリア]



ボッ


そのキザだが、
美しい外見に似合う
台詞(セリフ)を言われたとき
私は顔は真っ赤だったらしい。

まぁ後から狐さんに
聞いた話だけど。

⏰:09/03/24 01:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#199 [イリア]



狐「ヒューヒュー」


狐さんが野次を入れる。

⏰:09/03/24 02:01 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#200 [イリア]


狐「駄目だね、落ちたね
いやさ、ネコくんいいよー
今の台詞じゃないもんね?
素のネコくんだもんね?
うんうん、かっこいい!

やっぱアレだ。
次の舞台主役も
君にしてもらおっと♪

狼くんには悪いけど」

⏰:09/03/24 02:01 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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