黒猫の棲むところ
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#300 [イリア]



カァ…―


言ってすぐ、恥ずかしくなる。

別に恥ずかしくなる必要は
ないのかもだけど、
大道具にスカウトされた私って…涙


⏰:09/03/25 13:16 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#301 [イリア]



猫「アハハハハハハ!!」


狐「ぎゃーはっはっはっ!!!
いいねーいいねー七衣ちゃん★
あ、ちなみに僕は
監督 兼 脚本家だから♪」


⏰:09/03/25 13:16 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#302 [イリア]



伏せていた目線を上げる。

黒猫さんはいつの間にか
私の前から横に移動してて、
麗さんともろに目があった。


⏰:09/03/25 13:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#303 [イリア]



麗「―…大道具……?」


七「…あ…はい、私演技とか…
やったことないし…」


猫「そう、大道具…クスッ
いいだろ?ちょうど
人出も足りてないし。」


⏰:09/03/25 13:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#304 [イリア]



麗「――……」


狼「何だ、大道具か。
どうりでオーラがないと思った。」



あ、何かこの人 素で失礼。

⏰:09/03/25 13:18 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#305 [イリア]



狼「しかし!猫!お前はいつから
大道具のスカウトマンになった??!!」


猫「フフン、こいつ記憶がないんだ
自分のこと、名前しか覚えてない」



七「あ、七衣です。」

⏰:09/03/25 13:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#306 [イリア]



狼「え、そんなわざわざ…
俺は狼だ。好きに呼んでくれ!!

―……じゃ、なく!!!!!!!!」



キ――ン…


この人、声大きいよ…


⏰:09/03/25 13:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#307 [イリア]



狼「だ、そうだ!麗!!
やはりこの劇団の
トップ女優はお前しかいない!!
当たり前だがなッ!!!!」


猫「どう?麗。
雨原だけど、よく
働いてくれるみたいだよ」



そんなこと一言も
言った覚えありませんけど。


⏰:09/03/25 13:20 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#308 [イリア]



麗「…でも…雨原…」


猫「俺たちもこいつも、
妖に嫌われてる点では同じだ。
面倒は俺が見る。」


⏰:09/03/25 13:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#309 [イリア]



狐「ほらほら!ネコくんが
ここまで言ってるんだし、
いいじゃない別に。

それに雨原一人抱えたところで
潰れるほど、
うちの劇団は弱くないよ♪」


⏰:09/03/25 13:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#310 [イリア]



みんなの視線が麗さんに
向けられる。


…色々あって、今初めて
ちゃんと顔見るけど…

綺麗な人だなぁ。


⏰:09/03/25 13:22 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#311 [イリア]



狼さんだって
黒猫さんとは違うタイプの
美男子だし。

この劇団には
美男美女しかいないのかな。


⏰:09/03/25 13:23 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#312 [イリア]



猫「――…麗?」


黒猫さんがまた
綺麗な声を響かせる。



―…みんなが演技してるとこ、
見てみたいな。


⏰:09/03/25 13:24 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#313 [イリア]



麗「――……ッッ!!

…好きにしろ………」




ザッ

そのまま私たちを追い越し、
麗さんは
林のほうに歩いて行く。


⏰:09/03/25 13:24 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#314 [イリア]



狼「おい!麗!待て!!

…それじゃあな、新入り!
そこの悪魔に喰われない用、
注意しろよ!!」


⏰:09/03/25 13:25 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#315 [イリア]



猫「何それ?俺のこと?」


狼「お前以外に誰がいる、この性悪。

ふっ、まぁいいさ。お前はせいぜい
この女のお守りでもしてるんだな。

次の舞台の主役は、
必ずや俺と麗が頂く!!!!!!」


⏰:09/03/25 13:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#316 [イリア]



そう言うと狼さんは
麗さんの後を追い
林の中に走って消えた。


⏰:09/03/25 13:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#317 [イリア]



猫「ほざいてろ、カス。」

黒猫さんがその言葉を
いい終わると同時に、
テントの中から
大きな拍手が聞こえた。



中から続々と人が出てくる。


⏰:09/03/25 13:27 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#318 [イリア]



「いやぁ凄かったね!」

「今日の麗ちゃん機嫌悪いから
 気にしないほうがいいよっ」

「狼は相変わらず、
 馬鹿だよな〜」

「ね〜本当に雨原一族なの〜?」

「大道具!おもしろ〜い///」



一斉にみんなが私に話しかけてきた。


⏰:09/03/25 13:29 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#319 [イリア]



七「え?え?…え?」


猫「…そんな一斉に
喋るなよ、話は聞いてたな?」


⏰:09/03/25 13:30 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#320 [イリア]



「聞いてた聞いてたっ★
僕らは別に、雨原一族
敵だとは思ってないしねー」

「裏切り上等☆
一緒に悪い妖を
退治しましょ♪」


予想外の反応に
思わず笑みがこぼれる。


⏰:09/03/25 13:31 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#321 [イリア]



狐「ね♪とりあえず、
雨原ってだけで
君を嫌いになるような人は、
ここにはいないよ☆」


七「…み、みなさん
半妖なんですか?」


「そーだよ〜ん♪」


⏰:09/03/25 13:31 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#322 [イリア]



狐「あ、そうそう」

狐さんが言う。


⏰:09/03/25 13:31 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#323 [イリア]



狐「僕やネコくんみたいに、
動物の名前で呼ばれてる子もいるし

麗ちゃんみたいに
普通の名前で呼ばれる子もいる。

まぁそこら辺は適当だけど、
とりあえずみんな半妖なんだ」


⏰:09/03/25 13:32 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#324 [イリア]



難しい…

みんな動物名で呼ばれてるかと
思ってた。
あぁでも狐さんにしても
狐の半妖なんて
たくさんいるだろうし、
名前がなくて不便じゃないのかな?


…でも今は、そんなことより…


⏰:09/03/25 13:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#325 [イリア]



…そっか、みんな半妖か…



―…ちょっと不安。


⏰:09/03/25 13:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#326 [イリア]



猫「…フン、まぁ人間は
あんただけだけど、
雨原一族なんて妖に近いもんだし
気にしなくていいんじゃない?」


慰めてるつもりなのか、
黒猫さんが私に言う。


⏰:09/03/25 13:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#327 [イリア]



狐「そうそう!
ぶっちゃけ能力一族なんか
見た目以外は妖だよね〜」

七「能力一族?」


⏰:09/03/25 13:36 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#328 [イリア]



狐「うん。あ、知らないか。

雨原一族みたいな
特殊な力を持つ一族のこと。

雨を呼べたりするなんて
もう普通の人間じゃないもんね〜」


⏰:09/03/25 13:36 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#329 [イリア]



「他にも炎を操れる火日谷一族や
風を操れる風宮一族なんかがあるよ」


―…なんか、改めて

凄い世界に
来ちゃったな。


⏰:09/03/25 13:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#330 [イリア]



狐「はいはいはい!」


パンパンパン


声に合わせて狐さんが
手を叩く。


⏰:09/03/25 13:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#331 [イリア]



狐「お喋りはそこまで!
みなさん明日が何の日かお忘れ?

…明日から一週間、この街で
講演するんでしょ!
練習しなくていいのかな?

それとも台詞(セリフ)全部
覚えたのかなあ…?」


⏰:09/03/25 13:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#332 [イリア]



全員「―…ッッ!!ま、まだ……汗」



狐「じゃあ、早く練習!
雨も上がった!!
10分後に裏テント前集合!」


全員「は、はい!団長!!」


⏰:09/03/25 13:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#333 [イリア]



その声と同時に
みんなバタバタと
テントの中に入っていく。


⏰:09/03/25 13:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#334 [イリア]



猫「フフン、あいつらに
覚えるような台詞、あったっけ?」


狐「君は本当に毒舌だねぇ。」


⏰:09/03/25 13:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#335 [イリア]



七「…狐さんて、
本当に団長だったんですねぇ…」


何気なく言った私の一言に
狐さんが泣きそうな声をあげる。


⏰:09/03/25 13:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#336 [イリア]



狐「七衣ちゃん?!
それ、どういう意味??!
僕、団長に見えない??!涙」


七「あ、ごめんなさいごめんなさい!
見えました!今、見えました!

―…ところで」


⏰:09/03/25 13:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#337 [イリア]



林を見つめてみる。

帰ってくる気配はない。


⏰:09/03/25 13:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#338 [イリア]



七「―…麗さん、戻ってきませんね。

狼さんも追いかけてったままだし…」


⏰:09/03/25 13:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#339 [イリア]



猫「フン、まぁあんたが
気にすることないよ、
麗は人間が嫌いなだけ。」


狐「そしてロウくんは、
麗ちゃんが好きなだけ。

大丈夫あの二人なら
明日の台詞も完璧だろうし、
もしさっきみたいな鬼が出ても
ロウくんがいれば何とでもなる」


⏰:09/03/25 13:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#340 [イリア]



七「…はぁ」


猫「ほら、それより狐。10分だ。
さっさと行け、来い七衣。
一通りテントの中説明しとく」


⏰:09/03/25 13:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#341 [イリア]



狐「あーはいはい。
そんなに僕が邪魔ですか。
いいもん、いいもん。

じゃあ後でね七衣ちゃん♪
気楽にね…これからは」




⏰:09/03/25 13:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#342 [イリア]






狐「…ここが君の、家なんだから。」



家…
狐さんのその一言に、
自然と顔がほころぶ。

⏰:09/03/25 13:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#343 [イリア]



狐「僕のことは兄だと思って
何でも相談してくれたまえ、妹よ!!」


猫「父の間違いじゃないの?
行くぞ、七衣」


⏰:09/03/25 13:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#344 [イリア]



私は狐さんに軽く会釈し、
黒猫さんの後を追った。


⏰:09/03/25 13:46 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#345 [イリア]



第一話:opening
>>3-222

第二話:日と陰と[更新中]
>>241-275
>>279-344

†感想板†
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4322/

感想・アドバイス
お待ちしてます(゚∀゚)★


⏰:09/03/25 13:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#346 [イリア]


>>344から

⏰:09/03/25 22:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#347 [イリア]



赤く滑らかな布をめくり
黒猫さんがテントの中に入る。

私も後を追い、入ってみる。

七「―…うわぁ…」


⏰:09/03/25 22:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#348 [イリア]



見えたのは、本当にテントの中かと
疑いたくなるほど、広い空間。

ちゃんとたくさんの区切りもある。


⏰:09/03/25 22:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#349 [イリア]



七「――…広いんですね…」


猫「普通の家みたいだろ?
うちの劇団の大道具、
腕が良くてさ。
何でもできるんだよな。
ほら、この仕切り。
1人1人個室が与えられるんだ。」


⏰:09/03/25 22:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#350 [イリア]



コンコン…

黒猫さんが、仕切りを軽く叩く。
廊下のようなものがあり
左右に扉が見える。


七「―…移動劇団、でしたよね…?」


⏰:09/03/25 22:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#351 [イリア]



猫「そう、滞在期間は
短くて一週間。
長くて一月くらいかな。
同じとこにずっといるのは」
危険だし。」

七「…毎回こんな
ばかでっかい
テント建てるんですか?」


⏰:09/03/25 22:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#352 [イリア]



猫「建てなきゃ、寝るとこないけど?」

黒猫さんがクスッと笑う。


⏰:09/03/25 22:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#353 [イリア]



猫「…って、言っても
俺たち役者はノータッチだけどな。
大体は稽古してる間に、
大道具の奴らが建てる。」


七「―…大道具…」


猫「あんたも次から、頑張って?」


黒猫さんがまた笑う。


⏰:09/03/25 22:46 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#354 [イリア]



…てか、無理でしょ!
だってもうテントじゃないもん!
家だよ、家!!

こんなの移動するたびに
建ててる大道具の人って一体……


⏰:09/03/25 22:47 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#355 [イリア]



猫「そうそう、
アスタリスク劇団はあんた入れて56人。
そのうち15人が役者で
12人が役者のマネージャー。

んで、狐が監督 兼 脚本家。
後はみんな大道具だけど、
男ばっかだから気をつけろよ」


⏰:09/03/25 22:47 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#356 [イリア]



―…いや、男ばっかって!

力仕事だからな〜と言う
黒猫さんの声が聞こえる。


何で私スカウトされたんだろ?
力とかないんですけど…
しかも、男の人ばっかって…


⏰:09/03/25 22:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#357 [イリア]



無意識に半泣きになった私を見て
黒猫さんが目を細める。





猫「―…ねぇ、七衣?」

七「え?あ、はい?」


⏰:09/03/25 22:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#358 [イリア]



少し上を見上げ、
黒猫さんと目を合わせる。



猫「…大道具って、大変だと思わない?
女の子がする仕事じゃないよ」


⏰:09/03/25 22:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#359 [イリア]



そう言うと黒猫さんは
私の横の壁に手をつけ、
私は黒猫さんと壁に
挟まれた感じになった。


⏰:09/03/25 22:49 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#360 [イリア]







―……って、近い近い近い!!!!///


⏰:09/03/25 22:49 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#361 [イリア]



すぐ目の前にある綺麗な顔に

鼓動が速まり、
頬が熱くなるのが分かる。


⏰:09/03/25 22:49 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#362 [イリア]



赤くなっているだろう顔を
見られたくなくて、

私は自分の顔を慌てて下に向けた。


⏰:09/03/25 22:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#363 [イリア]



猫「…クスッ…何で下見るの…?」

七「―…ッッ////べ、別に?
そ、それより近いんですけど。」


⏰:09/03/25 22:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#364 [イリア]



猫「――……2回」

七「え?な、何がですか?」

猫「……3回」

七「だ、だから何の回数ですか?!//
全然意味が…」


⏰:09/03/25 22:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#365 [イリア]



猫「…4回。

あんたがどもった回数。
あんた、よくどもるよね、
役者には向いてないかな」


そう言って黒猫さんはまた笑う。


⏰:09/03/25 22:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#366 [イリア]



カァ―


今度こそ本当に顔が赤くなった。

七「べ、別に私だって
いっつもどもってる訳じゃないし!
てゆーか、誰がどもらせてると…」

猫「―…誰?」

七「……//」


⏰:09/03/25 22:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#367 [イリア]



綺麗な顔が覗き込んでくる。

上を見れば、唇が
触れてしまいそうな距離。


⏰:09/03/25 22:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#368 [イリア]



七「だ、誰でもありませんよ!//

それより近いです!!近い!!!//」






猫「――……失礼、姫」


⏰:09/03/25 22:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#369 [イリア]



黒猫さんが私から少し離れる。

…少しだけ、寂しく感じた。


⏰:09/03/25 22:54 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#370 [イリア]



猫「――…何?」


私の顔を見て、黒猫さんが言う。


⏰:09/03/25 22:55 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#371 [イリア]



七「あ……その!!
姫っていうのやめてくれません?!

私に姫に似合いませんし…///」


少しでも寂しくなったなんて
知られたくなく、
私は慌てて
今思っただけのことを言う。


⏰:09/03/25 22:55 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#372 [イリア]



>>371

×私に姫に〜…
○私に姫は〜…

 すいません(´;ω;`)


⏰:09/03/25 22:56 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#373 [イリア]



猫「―…なら、あんたも
俺のこと黒猫さん、っての
辞めるくれる?」


七「…え?」


予想外の返答に、思わず聞き返す。


⏰:09/03/25 22:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#374 [イリア]



猫「―…なんていうか、
他人行儀だよね。
そりゃ確かに
好きに呼べとは言ったけど。

猫、でいいよ」


七「…え…いや、
呼び捨てはちょっと…」


⏰:09/03/25 22:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#375 [イリア]



猫「何で?」


七「だって私のほうが年下っぽいし…」


⏰:09/03/25 22:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#376 [イリア]



猫「あんた、何歳だっけ?」


七「…よく覚えてないけど…
16くらい……?」


猫「本当だ、俺は18だから。
まぁ、別にいいよ?」


⏰:09/03/25 22:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#377 [イリア]



七「私がよくないです!!//
………じゃあ」


また、目をそらしてしまう。

私が麗さんみたいに綺麗だったら
ちゃんと目を見て話せるのかな?


⏰:09/03/25 22:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#378 [イリア]



七「―…猫さん、って呼びます。」


黒猫さんは少し不満そうに
鼻を鳴らしたが、
まぁ今はいっか、と言うと
私を置いて歩き出した。


⏰:09/03/25 23:00 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#379 [イリア]



七「あ、待って下さい!!」


猫「これが言いたかっただけなんだ。
黒猫さんて、呼びづらそうで。

あんた、風呂入ってきなよ。
そこを左にずっと行くと
大浴場があるから。
着替えは劇団の服が
置いてあると思うし。」


⏰:09/03/25 23:02 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#380 [イリア]



何で移動テントの中に
風呂があるんだよというつっこみは
とりあえず置いておいて…

歩き出す黒猫さんに質問をする。


⏰:09/03/25 23:03 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#381 [イリア]



七「…あの!!
ずっと気になってたんですけど!!」


猫「?」


七「―…何で初めて会ったとき、
あんなに傷だらけだったんですか??」


⏰:09/03/25 23:03 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#382 [イリア]



黒猫さんが足を止める。

ゆっくりと私のほうに振り向いた。


⏰:09/03/25 23:03 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#383 [イリア]



七「…あ…言いたくなかったら、
いいんですけど……」


風が吹く。

あ、やっぱりここは
テントの中なんだ。
自然なままの、風を感じる。


⏰:09/03/25 23:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#384 [イリア]



七「…………?」




猫「―…何でだったかな。

まぁ、あんたには関係ないよ」


⏰:09/03/25 23:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#385 [イリア]



関係ない



その言葉を聞いたとき、
何故か懐かしい感じがした。

その後すぐ、さっきよりも
ずっと大きい寂しさを感じ、
思わず下を向く。


⏰:09/03/25 23:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#386 [イリア]



分かってる。私と猫さんは
さっき会ったばっかりで。

まだお互いのこと
ほとんど知らなくて。


私は猫さんのこと

もっともっと知りたいけど、

猫さんはそんなこと、望んでなくて。


⏰:09/03/25 23:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#387 [イリア]



私と猫さんは

関係あることより

関係ないことのほうが



ずっと、ずっと多くて。


⏰:09/03/25 23:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#388 [イリア]



ポン


私の頭の上に、手が置かれる。


⏰:09/03/25 23:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#389 [イリア]



猫「―…悪い、言い方きつかった?
そんな顔すんなよ…」


どんな顔をしてるんだろう。

そういえば私の顔って、
どんなんだったっけ?


⏰:09/03/25 23:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#390 [イリア]



猫「…あの怪我は、
もう大丈夫なんだ。
あんたが川で癒やしてくれたから。
気にしなくていい…


…そういう意味だよ」


⏰:09/03/25 23:08 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#391 [イリア]



もう、大丈夫。

今はそれだけ知ってれば
十分なのかも知れない。


⏰:09/03/25 23:08 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#392 [イリア]



七「…うん…」


そう考えると、少し寂しさが消える。

口元を緩めた私を見て、
黒猫さんもクスッと笑う。


⏰:09/03/25 23:08 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#393 [イリア]



猫「ほら、さっさと風呂行け。
結構広い大浴場だけど
誰か入ってないか
一応確認しろよ?」


七「…はいっ!」


⏰:09/03/25 23:09 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#394 [イリア]



猫「じゃ、俺も稽古見てくるわ。
いま大道具の奴らが飯作ってるから
今から風呂入れば丁度いいよ。」


七「大道具って…
…ご飯もつくるんですか?汗」


猫「クスッ 別名、何でも屋」


大変そうだ…


⏰:09/03/25 23:10 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#395 [イリア]






猫「まぁ、まだ何も
分かんねーだろうし、

姫君が湯浴みを終えられた頃に
お迎えに上がりますよ」



七「また、姫って言った。」


⏰:09/03/25 23:11 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#396 [イリア]



猫「今度は、姫君だよ」


猫さんが笑う。


じゃ、後で
そう言って猫さんがまた歩き出す。
私も言われたとおり
左ひ向かって歩く。


⏰:09/03/25 23:11 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#397 [イリア]



>>396

×左ひ向かって歩く。
○左に向かって歩く。

 すいません(・ω・`)


⏰:09/03/25 23:12 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#398 [イリア]







猫「――……七衣!」


七「?」


猫さんは入り口の布をめくりながら
私の名前を呼んだ。


⏰:09/03/25 23:13 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#399 [イリア]






猫「―……やっぱあんた、
俺のマネージャーにするわ。」


七「……ふぇっ?」


⏰:09/03/25 23:13 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#400 [イリア]



猫「さっき役者が15人、
マネージャーが12人って
言っただろ。あれ、
俺と狼と麗は
マネージャーなんかいらねって言って
つけてなかったんだ。

…でもやっぱ、いたほうが便利かな。
色んな劇を、同時に
練習することもあるし
スケジュールとか覚えんのたるくて。
遅刻したら狐がうるさいし。

――……だから」


⏰:09/03/25 23:14 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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