黒猫の棲むところ
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#400 [イリア]



猫「さっき役者が15人、
マネージャーが12人って
言っただろ。あれ、
俺と狼と麗は
マネージャーなんかいらねって言って
つけてなかったんだ。

…でもやっぱ、いたほうが便利かな。
色んな劇を、同時に
練習することもあるし
スケジュールとか覚えんのたるくて。
遅刻したら狐がうるさいし。

――……だから」


⏰:09/03/25 23:14 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#401 [イリア]



そこまで言って猫さんは
一度呼吸をする。



猫「…あんたに任せるわ」



七「…はぁ………えッッ?!!」


⏰:09/03/25 23:16 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#402 [イリア]



猫「フフン、よく考えたらさ。
あんたみたいなひょろっちぃ奴、

大道具になんか回したら
俺が怒られるし。」


⏰:09/03/25 23:16 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#403 [イリア]



喜んでいいのか。
慌てればいいのか。


私が猫さんのマネージャー…?

でも猫さんて確か
この劇団で一番人気じゃ……?


⏰:09/03/25 23:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#404 [イリア]



猫さんがまた、クスッと笑う。


猫「じゃ、よろしく、マネージャー♪」



七「え―――ッッ??!!」


⏰:09/03/25 23:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#405 [イリア]



私の驚きの声も虚しく、
猫さんはヒラリと手をふると

今度こそ本当に
テントから出て行った。


⏰:09/03/25 23:18 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#406 [イリア]




猫さんのマネージャー…
猫さんのマネージャー…??//


できるのかな、私に。

まぁ大道具よりは
向いてるかなあ。


⏰:09/03/25 23:18 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#407 [イリア]



そんなことを考えながら足を進める。

すると 大浴場、と書かれた看板が
前のほうに見えた。


⏰:09/03/25 23:18 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#408 [イリア]



…さっきの川の水を
持ってきてるのかな。

ってゆうか、大浴場て
本当にホテルみたいだなー


⏰:09/03/25 23:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#409 [イリア]



赤いシルクののれんを
くぐり、中に入る。

服を脱ぐと、狼さんの言うとおり
いたるところから
少量の血が出ていた。


⏰:09/03/25 23:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#410 [イリア]



いつの傷だろう。
まったく覚えてない。


初め目覚めたときの
他人の血を体につけていた
自分を思い出し、
今更ながら怖くなる。


⏰:09/03/25 23:20 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#411 [イリア]



全部、全部思い出す日がきたとき、

私は今と変わらず
猫さんや狐さんと
いられるのだろうか。


⏰:09/03/25 23:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#412 [イリア]



服を全部脱ぎ終わると、
タオルだけ持って
浴槽に繋がる扉を開ける。


⏰:09/03/25 23:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#413 [イリア]



湯気であまり見えなかったが
広いことは分かる。

私が扉を開けたことにより
中の温度が下がり、
少しずつ中の様子が
露(アラワ)わになった。


⏰:09/03/25 23:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#414 [イリア]



七「―…うわー広いっ
やっぱ絶対
この劇団お金持ち……」


ガタンッ!!!




浴槽の近くで音がする。
不思議に思いその方向を見ると―…


⏰:09/03/25 23:22 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#415 [イリア]







七「――……あ……」


知ってる人の顔。

だけど、体には無数の痣(アザ)。


⏰:09/03/25 23:22 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#416 [イリア]








七「――…麗さん……?」


麗「――…???!!!」


⏰:09/03/25 23:23 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#417 [イリア]



向こうも突然のことに
相当驚いているようだ。

数秒目を合わせたあと、
私は麗さんの体の痣を見る。


⏰:09/03/25 23:23 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#418 [イリア]



七「―…それ…痣ですよね…?
…大丈夫ですか……?」


麗「―…ッッ!!……黙れ…!!」



やはり怒ってる。


⏰:09/03/25 23:23 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#419 [イリア]



ど、ど、どうしよう。

出たほうがいいかな、でも…!!


⏰:09/03/25 23:24 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#420 [イリア]



七「本当に大丈夫ですか…?
誰か…呼んできましょうか?」



麗「…うるさいッッ!!
私に話しかけるな!!人間!!!!」


⏰:09/03/25 23:25 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#421 [イリア]




タッ



麗さんが走って私の横を通り、

浴室から出ていく。


⏰:09/03/25 23:25 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#422 [イリア]



――……誰か入ってないか
一応確認しろよ―……



今更、さっきの猫さんの言葉が
頭に響く。


⏰:09/03/25 23:25 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#423 [イリア]



あの痣、いつのだろう。

誰かに言ったほうがいいのかな。






…また、麗さんに嫌われちゃった。


⏰:09/03/25 23:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#424 [イリア]



同い年くらいの女の子。

仲良くなりたいけど、
いまいちどうすればいいのか
分からない。


⏰:09/03/25 23:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#425 [イリア]





七「―…波乱万丈な、1日だ。」


私はそう言って、湯船にはつからず

シャワーだけ浴びると浴室を出た。


⏰:09/03/25 23:27 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#426 [イリア]



第一話:opening
>>3-222

第二話:日と陰と[更新中]
>>241-344
>>345-425

安価
>>2

†感想板†
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4322/


感想・アドバイス
お待ちしてます(゚∀゚)★


⏰:09/03/25 23:28 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#427 [める◆z..07vKEZg]
あっがれ〜\(^O^)/

あげときまっす☆゙

⏰:09/03/26 21:32 📱:N906imyu 🆔:☆☆☆


#428 [むー]
あげー

⏰:09/03/27 12:07 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#429 [イリア]


>>427メル様★
>>428むー様★

(´;ω;`)
(´;ω;`)
(´;ω;`)←

あげ有難うございます!
密かにむちゃくちゃ憧れてたので、
もう嬉しすぎて半泣きです!←

携帯のメモ帳に
先に打ち込んでるんですが、
書き出したら
止まんなくなっちゃって(゚∀゚)笑

今から大量(?)に更新します!
あげ有難うございました★★

⏰:09/03/27 12:29 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#430 [イリア]


>>425から

⏰:09/03/27 12:30 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#431 [イリア]



浴室から出ると、
まだ猫さんの姿はなかった。

傷にしみそうで、
お湯には浸かってない。

猫さんと別れてから
まだ15分くらいなので
迎えはまだだろう。


⏰:09/03/27 12:31 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#432 [イリア]



七「勝手に外 出てていいかなー
でも猫さん迎えにきてくれるって
言ってたし……

……それにしても」


⏰:09/03/27 12:32 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#433 [イリア]



自分の着ている服を見る。
着てた服はボロボロだったので、
言われたとおり
置いてある服を借りた。

そこには、アスタリスク劇団☆!!と
大きな文字で書かれてある。


⏰:09/03/27 12:32 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#434 [イリア]



七「…恥ずかしいTシャツだな…
まぁ借りてるし文句は言えないけど」


壁に背をつけ、座りこむ。

ふと、さっきの麗さんを思い出した。


⏰:09/03/27 12:33 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#435 [イリア]



あの痣…舞台の練習でついたのかな?
だとしたら、あんまり
人に言わないほうがいいのかな…

余計なことして…


⏰:09/03/27 12:33 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#436 [イリア]



七「…これ以上、
嫌われたくないしなぁ…」


狼「誰にだ?」


七「誰って、麗さん―…」




――……ん?


⏰:09/03/27 12:33 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#437 [イリア]



上を見上げる。
金髪赤目の、知ってる顔。


七「―…ッッ?!!狼さん??!!」


慌てて立ち上がる。


⏰:09/03/27 12:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#438 [イリア]



狼「―…おい!新入り!!
お前声が大きいぞ!!

俺が何かしたと思われるではないか!」



――いや、狼さんのほうが、大きいし。


⏰:09/03/27 12:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#439 [イリア]



七「…あ、すいません…って、
何してるんですか?
ここ女湯の前ですよ?」


私が問う。

すると狼さんは
腕を組みかえながらこう言った。


⏰:09/03/27 12:35 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#440 [イリア]



狼「いや、何。
あのあと雨が降りそうだったから
すぐ麗をつれて帰ってきたんだ。
まだお前らが入り口で喋くってたから
裏口から入ったがな。

それで、麗はすぐ風呂に行ったんで
もうすぐ飯だし、迎えにきた。」


⏰:09/03/27 12:36 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#441 [イリア]



そう言うと狼さんは
ニカッと笑って、白い歯を覗かせる。


七「……本当に狼さんは、
麗さんが好きなんですねぇ」


狼「ふん!当たり前だ!!
あいつは俺にとっての
運命の人だからな!!」


⏰:09/03/27 12:36 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#442 [イリア]





―…いいなぁ。

こんなかっこ良くて、
一途な人に想われてる麗さんは
幸せものだと思う。


⏰:09/03/27 12:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#443 [イリア]



七「麗さん、綺麗ですもんね」


狼「そうだろうそうだろう??!!
まぁ俺は顔に惚れてるわけじゃ
ないけどな!!
あいつの人間性に惚れてる!!」


口もとがほころぶ。
狼さんて本当、真っ直ぐだ。


⏰:09/03/27 12:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#444 [イリア]



狼「―…ところで、さっきの。
まぁあんまり気にするなよ。
最近麗は…元気ないから」


そう言うと狼さんは
悲しそうな顔をした。


七「…元気がない?」


⏰:09/03/27 12:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#445 [イリア]



狼「あぁ、あいつ本当は
もっと笑う奴なんだ。
でも最近はまったく笑わないし、
食欲も少ない。…心配でな。

過保護かもしれんが、
そういうときは、
出来るだけ離れたくない。」


狼さんが意志ある強い瞳で私を見た。


⏰:09/03/27 12:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#446 [イリア]



狼「新入りも、
最初は大変かもしれんが
必ず仲良くなれる。

まぁ積極的に話しかけることだな!!」


⏰:09/03/27 12:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#447 [イリア]



狼さんが笑う。


……この人だったら、
麗さんの痣のこと知ってるかな?

もし知らないなら、
教えといたほうがいいよね。


⏰:09/03/27 12:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#448 [イリア]



七「――……あの、狼さん……」



麗「狼ッッ!!!!!!」


⏰:09/03/27 12:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#449 [イリア]



遠くのほうで声がした。

その声の持ち主は、ゆっくりと
私たちのほうに歩いてくる。


⏰:09/03/27 12:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#450 [イリア]



七「―…麗さん。」


狼「おぉ!何だ麗!!
もう風呂から出てたのか!!
迎えにきてたんだ、飯にしよう!!」


狼さんが満面の笑みで、
麗さんに話しかける。


⏰:09/03/27 12:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#451 [イリア]



麗「―…狐があんたを呼んでる。
明日からの舞台の台詞(セリフ)で
少し変更があったの。

すぐに裏テント前に来てって。」


⏰:09/03/27 12:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#452 [イリア]



狼「何?!またか!!!
舞台は明日だぞ!!
今更 台詞の変更とは、狐め…

では、先に行っとく!!
ちょうどいい、麗!!
新入りを飯場まで
案内してやってくれ!!

今日もいつも通り
川の近くの広場だ!!」


⏰:09/03/27 12:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#453 [イリア]



そう言って狼さんは
私をチラッと見て微笑むと
走ってテントの外に向かった。


⏰:09/03/27 12:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#454 [イリア]



私と麗さんを、仲良くさせようと
してくれてるのかな?

でも、猫さんが迎えにきてくれるし、
どうしよう…っていうか


⏰:09/03/27 12:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#455 [イリア]










―――……き、気まずい……汗


⏰:09/03/27 12:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#456 [イリア]



麗さんは一言も喋らない。

どうしようどうしよう。
私から喋っていいかな?
でも今さっき
私に話しかけるな!!って
怒鳴られたばっかだし……


⏰:09/03/27 12:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#457 [イリア]



試しに私は恐る恐る、
麗さんに話しかけてみた。


⏰:09/03/27 12:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#458 [イリア]



七「……あの…麗さん?

私は、猫さんが
迎えにきてくれるって言ってて…
入れ違いになったら困るし、
ここで待ちます…だから先に、
どうぞご飯に「喋ったか?」」


麗さんと私の声が重なる。


⏰:09/03/27 12:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#459 [イリア]



七「…は、はい?…何を…?」


麗「私の体の痣のこと、
狼に喋ったのか?」


⏰:09/03/27 12:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#460 [イリア]



いやそれは、喋ろうとしたら
麗さんがきたので…


七「…話してませんけど…」


麗「――…」


⏰:09/03/27 12:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#461 [イリア]



麗さんは不思議な顔をしている。


悲しいような、安堵(アンド)したような。


⏰:09/03/27 12:46 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#462 [イリア]



七「麗さん…?」


麗「…何でもない。
話すなよ、ただの怪我だから。
絶対に、誰にも言うな。」


⏰:09/03/27 12:46 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#463 [イリア]



そう言うと
さっきの表情とは別人のような顔で
私を睨み、歩き出す。


⏰:09/03/27 12:47 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#464 [イリア]



七「…あ、待って!!」

麗「……?何だ……」

七「な、七衣です!!」


麗「……は?」


⏰:09/03/27 12:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#465 [イリア]



七「な、名前!!
七衣って言います!!!!
今日からこの劇団で
お世話になります!!

あ、それから
大道具のはずだったんですけど
今さっき、猫さんの
マネージャーになりました!!」


⏰:09/03/27 12:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#466 [イリア]



一気に喋る私を
麗さんが不思議そうに見つめる。


⏰:09/03/27 12:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#467 [イリア]



麗「―…だから、何なんだ。

お前が大道具だろうと、
猫のマネージャーだろうと…
私には関係ない」


七「そうなんですけど…」


⏰:09/03/27 12:49 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#468 [イリア]



麗「狐がお前を、この劇団に
入れることを認めた。
反対はしない。だけど
私には関わるな」


冷たい麗さんの声が響く。

その目に、顔に、
思わず怯(ヒル)んでしまいそうになる。


⏰:09/03/27 12:49 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#469 [イリア]



最初は大変かもしれんが
必ず仲良くなれる――………


さっきの狼さんの声が頭に響く。


⏰:09/03/27 12:50 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#470 [イリア]



―…ここで諦めたら、
せっかく優しい言葉をくれた

狼さんに申し訳ない!!!!


⏰:09/03/27 12:50 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#471 [イリア]



七「―…!!…麗さんッッ!!!!」


麗「…何だ…まだ何か「私!!」」


麗さんの声に、私の声を被せる。

失礼かもしれないが、今は
この気持ちだけ、早く伝えたい。


⏰:09/03/27 12:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#472 [イリア]



七「―…麗さんに認めて貰えるよう、
頑張りますね!!それでもし麗さんが
私のこと認めてくれたら……」


一度、言葉を切る。
前にいる綺麗な人は、
私を不思議そうに見つめている。


⏰:09/03/27 12:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#473 [イリア]



麗「認めて、くれたら?」


七「……認めてくれたら……

…私と、友達になって下さい!!!!」


⏰:09/03/27 12:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#474 [イリア]



私の声がテント内に響く。

稽古やら食事作りやらで
みんな出払っているらしいので、
気にしない。


⏰:09/03/27 12:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#475 [イリア]



麗「……………は?」


七「えっとえっと!!!
私、本当に何も覚えてなくて!!!!
友達もいなくて!!寂しいんです!!!!

今の私の友達って、
猫さんと狐さんと…狼さんは
まだ分かんないけど…
このくらいで!!!!/////」


⏰:09/03/27 12:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#476 [イリア]



言ってしまったあとに
恥ずかしさが込み上げてくる。


そもそも友達って、
こんな風になるもんだっけ?///


⏰:09/03/27 12:54 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#477 [イリア]



麗「――…」


七「――…」


⏰:09/03/27 12:54 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#478 [イリア]



―…沈黙。


呆れられてる気がする。
そりゃそうかぁ。


⏰:09/03/27 12:55 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#479 [イリア]



七「―…あの、麗さん…?」


麗「―…何故」


七「え?」


⏰:09/03/27 12:55 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#480 [イリア]



麗「何故私に、そこまで拘(コダワ)る?
狼に何か言われたか?それとも狐?

―…私と関わっても
何も得るものはない。」


⏰:09/03/27 12:55 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#481 [イリア]



麗さんが、冷たく言い放つ。
でも、どうしてだろう。

何で、何で。


⏰:09/03/27 12:56 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#482 [イリア]



―…麗さんが寂しそうに見えるのは、

何で?


⏰:09/03/27 12:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#483 [イリア]



七「―…麗さん綺麗だから」


思わず私は、声を出す。


麗「………え?」


⏰:09/03/27 12:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#484 [イリア]



七「…同い年くらいの女の子。
友達になりたいと思うの
そんなにおかしいですか?

それに……麗さん、綺麗だから。」


⏰:09/03/27 12:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#485 [イリア]



笑ってみる。

麗さんが演技してるところ

本当の笑顔でいるところ

見てみたいんです。


言葉には出さない。
だけど心で思う。


⏰:09/03/27 12:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#486 [イリア]



七「…って、駄目ですよね…
とにかく、認めてもらえるよう、
がんばり「綺麗なんかじゃない」」


⏰:09/03/27 12:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#487 [イリア]



七「……え…?」


麗「…綺麗じゃない、私。

―……話はそれだけか?くだらない」


七「……あ……」


⏰:09/03/27 12:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#488 [イリア]



麗「私はお前を認めない。
何かあったら、
すぐにここから追い出す。

覚悟しておけ、雨原。」


そう言って麗さんは、また歩き出す。


⏰:09/03/27 12:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#489 [イリア]



まだ言いたいことはたくさんあるけど…

少しだけ、喋ってもらえた。
今は、それだけで。


麗さんの姿がテントの外に消える。


⏰:09/03/27 13:00 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#490 [イリア]



――……綺麗じゃない。


確かにそう聞こえた。

綺麗じゃない?
麗さんが綺麗じゃなかったら
この世界に綺麗な人なんて
いないんじゃないかな。


⏰:09/03/27 13:00 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#491 [イリア]



口は悪いが、根はいい子。

森の中での狐さんの言葉を思い出す。


⏰:09/03/27 13:01 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#492 [イリア]



確かに口は悪いかも。

でもどこか優しそうで、
立ち居振る舞い、全てが綺麗な人。



……仲良くなれたらいいなぁ。


⏰:09/03/27 13:03 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#493 [イリア]



っていうか、私も麗さんみたく
綺麗になりたいなー




―…そうしたら猫さんとも…

目を見て、話せるのに。


⏰:09/03/27 13:03 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#494 [イリア]



フゥ………


ため息をつく。



少しだけ眠い。

壁に背をつけ、ズルッと座り込んで

瞳を閉じる。


⏰:09/03/27 13:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#495 [イリア]



―――…………

――――……………


暗い、暗い、
ここはどこだろう?

あたり一面に広がる、
闇と、血の匂い。


体がいやに軽い。
これは、夢?


⏰:09/03/27 13:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#496 [イリア]



その揺りかごが風に揺れて

私は大きくなった――……


⏰:09/03/27 13:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#497 [イリア]



七「?」


歌声…



後ろを振り返る。
するとそこには闇の中に
黒く大きい、檻(オリ)が見えた。


⏰:09/03/27 13:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#498 [イリア]



中には誰か、

5歳くらいの男の子と、女の子。


⏰:09/03/27 13:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#499 [イリア]



歌っている。


二人は手を繋ぎ、
暗い暗い檻の中で
あの唄を、歌っている。


⏰:09/03/27 13:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#500 [イリア]



雨の音 風の声 聴いて
揺りかごを揺らして

早く私を迎えにきて――……


⏰:09/03/27 13:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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