BLUE LETTERS
最新 最初 🆕
#1 [我輩は匿名である]
 
誹謗中傷、荒らしはご遠慮ください。

短編が多いです。
更新は遅めかと。

 

⏰:09/03/28 23:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#2 [我輩は匿名である]
 
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

 

⏰:09/03/28 23:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#3 [我輩は匿名である]
 
BLUE LETTERS
 

⏰:09/03/28 23:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#4 [我輩は匿名である]
 
ある日、世界の果てから一通の手紙が届いた。

空を模したような、青の封筒。

そして窓辺から始まる。

 

⏰:09/03/28 23:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#5 [我輩は匿名である]
 


 

⏰:09/03/28 23:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#6 [我輩は匿名である]
 
その日も、僕は遅れを取り戻そうと金にならない残業をこなしていた。みんなが帰宅した後のオフィスはだだっぴろくて物音ひとつない。何度目かのため息を洩らしたあと、ふいに携帯電話の着信音が鳴り響いた。 

⏰:09/03/28 23:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#7 [我輩は匿名である]
 


僕はその電話を、少しの動揺もなくごく自然にとった。


 

⏰:09/03/28 23:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#8 [我輩は匿名である]
 

「仕事中に電話をしてくるなって何度も言ったろ」


なんて憎まれ口をたたいても、久々の愛しい人からの連絡に僕の口角はすっかり弛みきっていて自然と笑い声になる。

 

⏰:09/03/29 00:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#9 [我輩は匿名である]
 

受話器越しに弾けるような智子の笑い声に疲れなど吹っ飛んだ。

魔法のような人。
魔法のような優しい時間。
 

⏰:09/03/29 00:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#10 [我輩は匿名である]
 

脈絡も、とりとめもない会話がこんなに愛しいものだったなんて思いもしなかった。

智子の笑い声が、

遠くに聞こえている。

 

⏰:09/03/29 00:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#11 [我輩は匿名である]
 

「智子」

なあに


声色で智子の表情や仕草が伝わってくる。

 

⏰:09/03/29 00:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#12 [我輩は匿名である]
 

「そっちの天気はどうだい。もう慣れたかい」


とっても良い天気よ。あったかくて過ごし易いわ。昨日も今日も明日もずっと晴れ。


「そうなのかい?良かったじゃないか。智子は寒がりだから心配してたんだ」
 

⏰:09/03/29 00:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#13 [我輩は匿名である]
 

そう僕が言うと智子は笑う。
彼女の幸せそうな声色に抑えこんでいた僕の感情が弾けた気がした。

 

⏰:09/03/29 00:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#14 [我輩は匿名である]
 

ねえ雅昭さん。


「…なに…?」


愛してる。
ずっと、ずぅっと、よ。

 

⏰:09/03/29 00:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#15 [我輩は匿名である]
 


そう智子が告げるなり、電話は壊れたようにぷつりと途絶えた。


 

⏰:09/03/29 00:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#16 [我輩は匿名である]
 
闇に、
僕はまた独りになってしまった。


「…僕も」


涙よ止まれ。


「ずっとだ。ずっと愛してる」

 

⏰:09/03/29 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#17 [我輩は匿名である]
 

電話が終わったあと僕は涙を禁じ得なかった。

涙などとうに枯れていると思っていたけれど。


あの夜―智子の葬式の夜に。


 

⏰:09/03/29 00:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#18 [我輩は匿名である]
 

僕は静になった携帯電話を掌に乗せ、もう一度見やった。

先刻まで確かに智子と私が繋がっていたと確信させるようにそれはあたたかい。
 

⏰:09/03/29 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#19 [我輩は匿名である]
 


愛しくて、悲しい電話だった。

僕の胸はざわめいた。切なさと、ほんの少しの幸せを僕に残したままに。


 

⏰:09/03/29 00:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#20 [我輩は匿名である]
 

僕と智子を繋いだ電話。


一週間前に事故で死んだ妻からの。

最期の、愛してる。


 

⏰:09/03/29 00:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#21 [我輩は匿名である]
 

END

 

⏰:09/03/29 00:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#22 [我輩は匿名である]
 




 

⏰:09/05/03 16:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#23 [我輩は匿名である]
 

僕は死んでいたのかもしれないし、死ぬのを待っていたのかもしれない。

 

⏰:09/05/03 16:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#24 [我輩は匿名である]
 
ふわふわと浮くような眠りの中にいた。

遠くで君の声が聞こえたかと思った瞬間、狭くて湿気の多い、いつもの部屋で僕は目を覚ました。

 

⏰:09/05/03 16:51 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#25 [我輩は匿名である]
 

無理矢理な覚醒に僕のストローヘッドは一瞬、酷く痛んだ。

 

⏰:09/05/03 16:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#26 [我輩は匿名である]
 

仰向けの状態だったので背中に全体重がかかって少し苦しい。

疲れているとき、よくこうなるから慣れてはいるけど…なんだか床に吸い込まれるようで気分が悪かった。
 

⏰:09/05/03 16:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#27 [我輩は匿名である]
 

僕は眉間に皺を寄せたまましばらく瞼を伏せて、訳もなく秒針の音を聞いていた。

 

⏰:09/05/03 16:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#28 [我輩は匿名である]
 

刻まれて刻まれて。

僕の終りへ近づいてゆくようだ。

僕の終りへ、ずっと奥底まで。

 

⏰:09/05/03 16:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#29 [我輩は匿名である]
 
もしも僕がこの部屋で独り息絶えても、誰にも気付かれずに、朝が夜を押し退けやってくるのだろう。

そうして何事も無かったかのように時を回して僕を置き去りにするのだろう。

 

⏰:09/05/03 16:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#30 [我輩は匿名である]
 

刻まれて、刻まれて。


僕はただひたすらに、


(死ぬのを待ってるみたい)
 

⏰:09/05/03 16:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194