BLUE LETTERS
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#101 [我輩は匿名である]
普通の生活に、貴方がいなかったのよ。貴方だけが。でも私、夢を見てたとき貴方がいないことに気付かなかった。なにかが足りなくて、胸がモヤモヤしてたけど、何が足りないのかがわからなかった。目が覚めて、それで初めて気付いたの。ああ、貴方がいなかったんだって。
:09/05/23 23:16
:SO903i
:☆☆☆
#102 [我輩は匿名である]
貴方のいない世界に、私、平然と生きてた。生きていけてたの、貴方がいなくても。
ねぇ、まさあきさん、もし私が死んだら一緒に死んでくれる?
んー死ねないな。
あら酷い。
:09/05/23 23:18
:SO903i
:☆☆☆
#103 [我輩は匿名である]
僕には仕事もあるし、部下のこともある。
…この仕事大好き冷徹夫っ!
:09/05/23 23:19
:SO903i
:☆☆☆
#104 [我輩は匿名である]
でも、そのかわり、君のためだけに生きていくよ。
さとこだけを思って、僕は生きていく。一生、君に恋してくんだ。
それって…
:09/05/23 23:20
:SO903i
:☆☆☆
#105 [我輩は匿名である]
そう、つまり、結婚しようってこと。
:09/05/23 23:21
:SO903i
:☆☆☆
#106 [我輩は匿名である]
―――――
:09/05/23 23:22
:SO903i
:☆☆☆
#107 [我輩は匿名である]
ねえ、さとこ。
今になってあの約束の重さを思い知らされるよ。
君がいない、この世界がこんなに生き苦しいだなんて。こんなにも僕はからっぽだったんだ。
:09/05/23 23:25
:SO903i
:☆☆☆
#108 [我輩は匿名である]
君がいってしまうというあの時に残した言葉、
「貴方のために生きて」
一度、僕の手を強く握って、それっきり止まってしまった君を前に、確かに僕のなかで何かが壊れる音を聞いたんだ。
:09/05/23 23:26
:SO903i
:☆☆☆
#109 [我輩は匿名である]
掌に君が生きていた証を刻んで
:09/05/23 23:29
:SO903i
:☆☆☆
#110 [我輩は匿名である]
END
:09/05/23 23:30
:SO903i
:☆☆☆
#111 [我輩は匿名である]
:09/07/19 16:35
:SO903i
:☆☆☆
#112 [我輩は匿名である]
古い窓辺に青い手紙が忘れられたように凪いでいる。
開け放された窓から吹き抜けた和かく陽気な風に誘われて春嘉は校庭を覗いた。
:09/07/19 16:36
:SO903i
:☆☆☆
#113 [我輩は匿名である]
とたんに春嘉の視界を満たす昼下がりの明るさと、
彼の後ろ姿、
あまりの眩しさに、思わず目を伏せた。
:09/07/19 16:38
:SO903i
:☆☆☆
#114 [我輩は匿名である]
彼は明日、この街を去る。
:09/07/19 16:39
:SO903i
:☆☆☆
#115 [我輩は匿名である]
彼が春嘉にその旨を伝えたとき、彼の瞳に躊躇は一切なかった。
悔しいかな切ないかな、その凛とした姿は春嘉が思いを寄せた姿そのものだった。
:09/07/19 16:40
:SO903i
:☆☆☆
#116 [我輩は匿名である]
「そう、東京、か…遠いねぇ。もうこっちには戻らいの?」
もう僕の所に帰らないつもりなのかい?
聞いてしまえば、いっそ楽になれたのだろうか。
それっきり二人して黙り込み、そして先に教室を出たのは春嘉のほうだった。
ごく自然な足取りで、まるで明日またこの街で会えるかのように。
:09/07/19 16:42
:SO903i
:☆☆☆
#117 [我輩は匿名である]
――そもそも、春嘉は密かに彼に抱いたその切ない気持ちを明かすつもりは甚だなかった。
:09/07/19 16:44
:SO903i
:☆☆☆
#118 [我輩は匿名である]
いつも遠くから――この教室から走る彼を見ていた。
はじめて彼が春嘉の視線に気付き、手を振ってきたときは胸が痛いほど打ったのを憶えている。
いつも一方方向だった視線が交わり、いつしか互いを優しく意識するようになっていた。
知らない彼を見つける度に愛しい、この人でよかったと思った。彼の笑顔が見られたときには春嘉も幸せだった。
:09/07/19 16:46
:SO903i
:☆☆☆
#119 [我輩は匿名である]
愛していると、
いっそのこと、かき抱いて身を寄せて、言ってしまえばよかったのだろうか。
:09/07/19 16:48
:SO903i
:☆☆☆
#120 [我輩は匿名である]
だが別れを泣いて惜しむつもりはない。
春嘉は覚悟をきめていたのだ。
彼がいなくとも、彼が微笑みかけなくとも、例え彼が春嘉以外の誰かのものになってしまったとしても。
彼を思い続ける、覚悟。
彼に恋をし続けることを。
:09/07/19 16:52
:SO903i
:☆☆☆
#121 [我輩は匿名である]
「はるよし――」
ああ、
名前を呼ばれただけで、心の輪郭が溶けてしまいそうだ。
僕は初めて手を振替した。
視線を絡めたときのような、この恋心に芽生えた焦れるような切なさと泣き出しそうな愛しさを押し込めて、とびきりの笑顔をむける。
これを愛と呼ばすになんと呼ぼう?
:09/07/19 16:55
:SO903i
:☆☆☆
#122 [我輩は匿名である]
春嘉は彼を失い、愛を知った。
幼くても、ちっぽけでも、これは恋で愛だった。
春嘉の小さな小さな宝物だった。
:09/07/19 16:57
:SO903i
:☆☆☆
#123 [我輩は匿名である]
彼は明るい光の中に薄れて消えていった。
強い光に目の奥が鈍く痛んだ。
笑いたいのに春嘉は少し泣いた。
:09/07/19 17:01
:SO903i
:☆☆☆
#124 [我輩は匿名である]
はるよし――僕を呼ぶ声が今も
:09/07/19 17:03
:SO903i
:☆☆☆
#125 [我輩は匿名である]
END
:09/07/19 17:03
:SO903i
:☆☆☆
#126 [ちみ]
正直意味が分かんないです(・ω・)
:09/07/21 13:25
:SO906i
:☆☆☆
#127 [我輩は匿名である]
>>126だと思います。
お目汚し申し訳ありません。
覗いて嘘偽りの無いコメントをくださっただけでも光栄です。ありがとうございました。
:09/07/21 17:27
:SO903i
:☆☆☆
#128 [我輩は匿名である]
:09/08/07 21:49
:SO903i
:☆☆☆
#129 [我輩は匿名である]
その日も彼は夢を見た。
夢の中だけは彼も、彼の妻も笑っている。
:09/08/07 21:49
:SO903i
:☆☆☆
#130 [我輩は匿名である]
最近の彼は、この夢を見ない朝は妙に胸がざわついて、堪らなく不安になる。
自分の中の妻が、稀薄してしまっているのではないか、と。
:09/08/07 21:51
:SO903i
:☆☆☆
#131 [我輩は匿名である]
もしかしたらそれは夢なんかではなく、彼の記憶そのものなのかもしれない。
:09/08/07 21:52
:SO903i
:☆☆☆
#132 [我輩は匿名である]
彼にとって自分が夢の中にいるかどうか見極めるのは至極容易だった。夢の中では彼の腕時計の音だけが聞こえないのだ。
:09/08/07 21:56
:SO903i
:☆☆☆
#133 [我輩は匿名である]
彼が愛用する腕時計――ベルトは重厚な黒の皮革があしらわれた彼の一番のお気に入りのそれ――は彼の妻が彼の誕生日に贈った物だった。
:09/08/07 21:57
:SO903i
:☆☆☆
#134 [我輩は匿名である]
誕生日を祝うという習慣が無かった家庭に育った彼は、少し戸惑いながら不器用に微笑んだ。
そして、これまた不器用に包装を解き、その時計の美しさに息をのみ今度は屈託の無い笑顔を妻に向けた。
:09/08/07 21:58
:SO903i
:☆☆☆
#135 [我輩は匿名である]
顔を上げ妻へと視線を移した彼は、その時はじめて、自分以上に妻が嬉しそうに微笑んでいることに気が付いたのだった。
:09/08/07 21:59
:SO903i
:☆☆☆
#136 [我輩は匿名である]
「――」
:09/08/07 22:01
:SO903i
:☆☆☆
#137 [我輩は匿名である]
目覚めたら、そこは仕事場の机の前だった。
何人かの部下達が、慌てて視線を自分達の仕事へと戻して縮こまった。
以前は仕事に関して他人にも、また自分にも厳しかった彼。
ばつが悪そうに、一度髪を乱暴にかいて机に直った。
:09/08/07 22:02
:SO903i
:☆☆☆
#138 [我輩は匿名である]
ふ、と。
彼は自分に向けられる視線に気付いた。
真っ黒な瞳が印象的な、凛とした雰囲気の青年がこちらをじっと伺っている。
そして青年は彼に恭しく近づいた。
:09/08/07 22:03
:SO903i
:☆☆☆
#139 [我輩は匿名である]
びっ、と冷たくて強い風が彼と青年の頬を叩くようにふいた。
二人は仕事場の屋上にいた。
:09/08/07 22:05
:SO903i
:☆☆☆
#140 [我輩は匿名である]
誘ったのは青年のほうだった。
しかし青年は何も話さず握った缶コーヒーを徒に玩んでいる。少し緊張しているようでもある。
「佐藤君――」
堪らず口を開いたのは彼のほうだった。
勿論寒さに、ではない。
:09/08/07 22:07
:SO903i
:☆☆☆
#141 [我輩は匿名である]
「俺、辞めませんから。頼まれたって、先生の傍から離れたりしませんから」
名前を呼ばれ、青年は弾けるように堰を切ったように言った。
:09/08/07 22:08
:SO903i
:☆☆☆
#142 [我輩は匿名である]
「…この事務所を閉める気はないよ。僕と妻の夢だったんだからね」
その旨を伝えると青年は幾分か安心した表情を浮かべた。
可愛いな、彼は素直にそう感じたが口にはしなかった。
:09/08/07 22:09
:SO903i
:☆☆☆
#143 [我輩は匿名である]
「でも、君も知っているだろう?今月に入って6人の辞表を受け取った。…先月は4人だ」
「…先生のせいじゃ、」
「僕のせいさ。僕はここの責任者だ。なにがあっても君や部下を守る義務がある」
彼の瞳は、いつもの穏やかな彼からは想像もつかないほど強く頑なものだった。青年は一瞬怯み、そしてまた言葉を失った。
:09/08/07 22:12
:SO903i
:☆☆☆
#144 [我輩は匿名である]
――青年は昔からそうだった。
議論になると、決まって口を閉ざす。しかしそれは青年が臆病で頭の回りが遅いからではない。寧ろその逆で、青年は実に聡明で、そして心優しい。
青年は探しているのだ。
人を傷付けない言葉、人を慈しむ言葉を。
:09/08/07 22:13
:SO903i
:☆☆☆
#145 [我輩は匿名である]
彼にも、そんな青年の不器用な気遣いはきちんと伝わっていて。
「…これから人数が減った分、忙しくなる。君はまだ学生で自分の事だけでも大変なのは理解しているつもりだ。――それでも、僕についてきてくれるかい?」
青年は弾かれるように顔を上げ彼を見た。
黒闇の瞳が一瞬輝き、そして青年は大きくゆっくりとうなづいた。
:09/08/07 22:15
:SO903i
:☆☆☆
#146 [我輩は匿名である]
それから彼と青年はみんなが帰宅した後も仕事場に残り、仕事を続けていた。
以前の彼は悲しみを仕事をすることで紛らわしていた。
妻を失った、大きすぎる悲しみを。
しかし今は違う。全てを割りきったわけではなかったけれど、少なくとも今、隣にいる青年の存在は彼にとって大きな支えになっていた。
:09/08/07 22:16
:SO903i
:☆☆☆
#147 [我輩は匿名である]
そして彼はぽつりぽつりと自分と妻の事を語りだした。
青年は曖昧に相槌を打つことはせずに、しかし熱心に耳を傾けた。
青年は、自分は言葉を探すよりこっちのほうがむいているな、と思った。
:09/08/07 22:18
:SO903i
:☆☆☆
#148 [我輩は匿名である]
……罰があたったんだよ。何にかえたって、僕は妻を守るべきだった。仕事にしたって、僕の代わりはいくらでもいたんだ。でも妻の――智子の夫は僕しかいなかったのに。ねえ佐藤君、ひとりぼっちになるのはどんな時だと思う?誰からも忘れられてしまった時さ。それが僕ときたら、寝ても覚めても、仕事仕事の毎日。妻のためにはじめた仕事だったのに、いつからか妻の笑顔より仕事を優先するようになっていた。夜遅くまで起きて帰りを待ってくれてる妻に見向きもしないで。
:09/08/07 22:21
:SO903i
:☆☆☆
#149 [我輩は匿名である]
僕と妻の間には子供がいなかった。妻はそれを自分のせいだと思っていたんだろうね…遺品を整理してたら産婦人科の通院書が出てきたんだ。何枚も何枚も…。智子はいつも僕を支えてくれていた。見えるところでも、見えないところでも。僕は愚かだ。智子がいなくなってはじめて、彼女の存在がこんなにも大きなものだって気付くなんて。
:09/08/07 22:22
:SO903i
:☆☆☆
#150 [我輩は匿名である]
昨日ね、智子から電話がかかってきたんだ。可笑しいと思うかい?僕も君の立場ならきっとそう思っただろうな。でも智子からの電話をとったとき、僕はいやに冷静だった。ああ、智子が僕を心配してかけてきてくれたんだなって、本気でそう思ったんだ。智子が僕の名前を呼んでいた。智子が笑っていた。智子がいたんだよ。智子が――
:09/08/07 22:25
:SO903i
:☆☆☆
#151 [我輩は匿名である]
さとうくんは恋人はいるのかい?君は顔も良いし利口だからもてるだろう。彼女も、きっと素敵な子なんだろうな。
…………はい、
料理が上手くて…あ、グラタンが特に得意で、子供好きで、俺が言うのもなんですけど、美人で可愛くて天然で、
:09/08/07 22:27
:SO903i
:☆☆☆
#152 [我輩は匿名である]
はは、これは重症だな。ああ、そうだ、これからちょっと付き合ってくれないか。今日は妻の誕生日なんだよ。恥ずかしい話なんだけど女性に花を贈ったことがなくて、こういうのはよく解らないんだ。適当な花をみつもってもらいたいんだ。君も彼女に贈るといい。
:09/08/07 22:28
:SO903i
:☆☆☆
#153 [我輩は匿名である]
「ただいまー」
「あ!はるくんおかえりなさいっ」
「うん、ゆう、はいこれ」
「え、どうしたの?今日なんかあったっけ」
:09/08/07 22:30
:SO903i
:☆☆☆
#154 [我輩は匿名である]
「何かないと駄目なのか」
「そうじゃないけど」
「あのな、ゆう、いつも美味い飯つくってくれてありがとう」
「……はるくんっ!!」
:09/08/07 22:30
:SO903i
:☆☆☆
#155 [我輩は匿名である]
君をさがすよ。
あの駅に、あの夏の坂に、あの夢の中に、あの部屋の片隅に、あの約束に、
:09/08/07 22:33
:SO903i
:☆☆☆
#156 [我輩は匿名である]
END
:09/08/07 22:35
:SO903i
:☆☆☆
#157 [我輩は匿名である]
:09/08/11 02:54
:SO903i
:☆☆☆
#158 [我輩は匿名である]
「青い手紙が届くわ、きっと」
:09/08/11 02:55
:SO903i
:☆☆☆
#159 [我輩は匿名である]
「……………水道代の請求かなにかかい…?」
「違うわよ」
「よく、解らないよ…」
「でしょうね」
「…」
:09/08/11 02:56
:SO903i
:☆☆☆
#160 [我輩は匿名である]
「“貴方が好き”」
「…今日の君は言動が少しおかしいよ」
「部屋で寝転んで死ぬのを待ってる貴方程じゃないわよ」
:09/08/11 02:57
:SO903i
:☆☆☆
#161 [我輩は匿名である]
END
:09/08/11 02:58
:SO903i
:☆☆☆
#162 [我輩は匿名である]
:09/09/27 00:16
:SO903i
:☆☆☆
#163 [我輩は匿名である]
片耳の石を無くした事にすら気付かなかった。
無くなるのは、片方だけなのだ。何時だって。
:09/09/27 00:17
:SO903i
:☆☆☆
#164 [我輩は匿名である]
ちくんと
ピアスの入っていない方の耳が痛んだ。
それが孤独からきた痛みなのか、罪悪感からきた痛みなのかは分からない。
:09/09/27 00:19
:SO903i
:☆☆☆
#165 [我輩は匿名である]
とても、とても気に入っていた。
アイスブルーの宝石が白銀の縁にはめこまれた美しいピアスだった。
彼からの初めての贈り物に、柄にも無く少女の様に無邪気に無垢に喜んだのを今でも思い出せる。
:09/09/27 00:21
:SO903i
:☆☆☆
#166 [我輩は匿名である]
彼は堅くこわばって、うなだれていた。悲観とも絶望ともとれる無表情。否、両方か。
たぶん。
終わってしまうのだ。
この恋が。
:09/09/27 00:23
:SO903i
:☆☆☆
#167 [我輩は匿名である]
最後の最後にと私は彼にキスをした。
キスだけは、優しくて暖かだった。このピアスが両方揃って私を飾っていた頃のままのように。
キスが終わったあとも彼は頑に沈黙を続け、それから暫くして私を非難する言葉すら残さずにアパートから出てゆく彼の気配だけを感じていた。
泣いて喚いて、
私を罵って傷つけてくれた方がずっとよかった。
:09/09/27 00:26
:SO903i
:☆☆☆
#168 [我輩は匿名である]
一瞬戸惑ったように足踏みをした彼だったが、私はもう何も言わなかった。
こんなとき、可愛い女ならそれこそ愛らしく、いかないで、と男を引き留めることが出来るのだろう。
賢い女なら言葉巧みに誰もが騙されるような言い訳を思いつくのだろう。
でもそのどれも私にできなかった。
:09/09/27 00:28
:SO903i
:☆☆☆
#169 [我輩は匿名である]
口数の少ない私達は、ありがとうもごめんねもあいしてるも、全てくちづけで伝えあっていた。
優しさも寂しさもおおよそ恋人が分かち合う全てを(いいや、伝わっていると思っていたのは私だけだったのかもしれない。今となっては確かめる術は無いが)。
それが、いつからだっただろう、瞳を見つめあわなくなった。身体を重ねる事も少なくなった。唇を寄せる事すら億劫になった。
:09/09/27 00:29
:SO903i
:☆☆☆
#170 [我輩は匿名である]
口数の少ない私達は、
…お互いを繋ぎとめておく術を知らなさすぎた。
今あふれだしたこの涙も、いっそ彼の前で流せたらまた違った未来があったのだろうけど。
:09/09/27 00:30
:SO903i
:☆☆☆
#171 [我輩は匿名である]
二人で暮らしたこの部屋に独りきりで佇んでいた。
「好き…」
言葉にすれば、
笑えてくるほど簡単な事で
:09/09/27 00:33
:SO903i
:☆☆☆
#172 [我輩は匿名である]
「…、…すきだったよ」
言葉が浮かばないのならば、寄り添えば良かった。
壊れた玩具みたいに止まらない涙ばかり拭うこの掌で彼を抱きしめればよかった。
:09/09/27 00:34
:SO903i
:☆☆☆
#173 [我輩は匿名である]
私の掌にはアイスブルーのピアスが片方だけ残った。
:09/09/27 00:36
:SO903i
:☆☆☆
#174 [我輩は匿名である]
ここにはかえらない彼は、
こことは違うどこかで笑っているのだろうか。
:09/09/27 00:37
:SO903i
:☆☆☆
#175 [我輩は匿名である]
片耳の石を無くした事に気付かなかった。
そんなふうに、私達は私達の恋をなくしてしまった。
片方だけのピアスなんて、もう付けられないではないか。
そんなのは、"無い"のと同じだ。
:09/09/27 00:38
:SO903i
:☆☆☆
#176 [我輩は匿名である]
ピアスは片方だけがなくなる。
何時だってそう。
:09/09/27 00:39
:SO903i
:☆☆☆
#177 [我輩は匿名である]
------------
:09/09/27 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#178 [我輩は匿名である]
最後に見た彼女は、泣くわけでもなく憤るわけでもなく。
ただ宙をぼんやり見つめていた。(もともと、あまり感情を表情や行動に出さない人ではあったけれど)
彼女はひたすらに沈黙を守り立ち上がった僕を、その瞳に映そうともしなかった。
:09/09/27 00:41
:SO903i
:☆☆☆
#179 [我輩は匿名である]
アイスブルーのピアスは僕の掌で少し毒毒しい程に煌めいていた。
:09/09/27 00:43
:SO903i
:☆☆☆
#180 [我輩は匿名である]
――僕は愚かだった。
こんな事をして彼女の気持ちを試すより、この掌で彼女を抱き寄せればよかった。
抱きしめて閉じこめて、そして…言ってしまえばよかったのだ。
たった一言、
:09/09/27 00:45
:SO903i
:☆☆☆
#181 [我輩は匿名である]
最後のキスを贈られたとき。
彼女は精一杯になけなしの愛情を僕へ傾けてくれていたのだ。
拒絶しなかったのも、
黙っていたのも、
キスをかえさなかったのも、
全部全部、僕が臆病だったから。
:09/09/27 00:46
:SO903i
:☆☆☆
#182 [我輩は匿名である]
このピアスがもう二度と彼女を飾らないように、
僕も彼女のもとにはかえれない。
だからせめて、もう、僕がどこにいても、僕を探すことなんかしないで幸せになってほしい。
きっと笑っていてほしい。
:09/09/27 00:48
:SO903i
:☆☆☆
#183 [我輩は匿名である]
「好き」
囈のような響きだった。
受け取ってくれる相手がいないこの言葉は、徒に虚に舞って消えた。
「好きだよ、いまだって」
:09/09/27 00:50
:SO903i
:☆☆☆
#184 [我輩は匿名である]
END
:09/09/27 00:52
:SO903i
:☆☆☆
#185 [我輩は匿名である]
二人はまだ互いを好き。でも両方とも相手はもう自分を好きではないと思っている。
好きだけど、すれ違いやマンネリや、いろいろな理由で互いが互いの気持ちを危ぶんでいる状態。
ピアスを片方だけ盗んだのは彼。自分が贈ったピアスを彼女(文章内では"私")に探して欲しかった。彼女は彼女で、彼はもう自分を好きではなく、理不尽に縛るくらいならいっそ自由にしてあげたくて、ピアスの件についてあえて言い訳はしない。去ってゆく彼を止める資格すら自分には無いと思っている。
:09/09/27 00:56
:SO903i
:☆☆☆
#186 [我輩は匿名である]
愛してるとさえ言えないふたり
♪ by TsukikoAmano/Lion
:09/09/27 01:00
:SO903i
:☆☆☆
#187 [我輩は匿名である]
:09/10/12 15:48
:SO903i
:☆☆☆
#188 [我輩は匿名である]
※ATTENTION PLEASE※
ここから掲載する文章に、悪意・他意また過去の出来事及びそれに関与なさった全ての方を軽蔑し侮辱する旨は一切ございません。
主自体、日本の教育をそこそこにしか受けていないので知識に誤りが多々あると思います。読み終わったあとの誹謗中傷はどうかご遠慮ください。
またこの話は自己責任でご覧ください。変なやつが、また意味不明なの書いてるわーぐらいに思っておいてください。
:09/10/12 15:52
:SO903i
:☆☆☆
#189 [我輩は匿名である]
黒く冷たく、
光って堕ちた、小さな男の子。
時計の針は歩みを止め、暑い夏をさらなる灼熱で焼き付けた。
:09/10/12 15:54
:SO903i
:☆☆☆
#190 [我輩は匿名である]
負の連鎖を直に断ち切るためには、これがどうしても必要だったのだ。
"she"は思ったが、直ぐに頭を振った。
それは自分以外の誰が聞いても、言い訳に過ぎないだろうから。
:09/10/12 15:55
:SO903i
:☆☆☆
#191 [我輩は匿名である]
あの出来事は"she"の胸に真っ黒なわだかまりを残していた。
驚異的な威力と毒性と絶望を与えるそれ――まさに脅威になりうる力が圧縮された銕(くろがね)の悪魔――
それを小さな小さなあの身体へとめがけて――
:09/10/12 15:57
:SO903i
:☆☆☆
#192 [我輩は匿名である]
空高くを見上げていた榛の瞳は一瞬見開かれ、その身に何が起こったのか理解する間すら無しに身体を襲う閃光と激痛、そして悲しみに身悶えていた。
酷い渇きと灼熱にあえぎながら誰もが終わりを連想し絶望した。
:09/10/12 16:01
:SO903i
:☆☆☆
#193 [我輩は匿名である]
その光と風がえぐったのはあの小さくも豊で美しい身体と、
荒みきった"she"の心そのものだった。
:09/10/12 16:02
:SO903i
:☆☆☆
#194 [我輩は匿名である]
それは悲しくも、皮肉なまでに神々しい白光。
ほんの一瞬、
神をも凌駕する力。
:09/10/12 16:04
:SO903i
:☆☆☆
#195 [我輩は匿名である]
嘘つき。
同じ事が起きれば、また何度だって引金を引くくせに
そう言ったのは誰だっただろう。
:09/10/12 16:06
:SO903i
:☆☆☆
#196 [我輩は匿名である]
言われた時、
"she"は心臓が一瞬止まる思いだった。
あの頃"she"に届いた手紙には世界の言葉を尽した辛辣な誹謗中傷が綴られていた。
そしてその手紙達は何れも真っ青だったのを記憶している。
:09/10/12 16:08
:SO903i
:☆☆☆
#197 [我輩は匿名である]
青い手紙達を"she"は机の深くにしまいながら、その一文一句残さず胸に刻みつけた。
そして立ち上がり、空を見める。
過去に戻ることは絶対にできないから、それなら進まないといけない。
どうしても叶えたい未来があるのだから。
:09/10/12 16:19
:SO903i
:☆☆☆
#198 [我輩は匿名である]
END
:09/10/12 16:21
:SO903i
:☆☆☆
#199 [我輩は匿名である]
:09/10/12 16:24
:SO903i
:☆☆☆
#200 [我輩は匿名である]
"she" is ・・・
:09/10/12 16:28
:SO903i
:☆☆☆
#201 [我輩は匿名である]
:09/11/21 23:34
:SO903i
:☆☆☆
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