BLUE LETTERS
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#150 [我輩は匿名である]
昨日ね、智子から電話がかかってきたんだ。可笑しいと思うかい?僕も君の立場ならきっとそう思っただろうな。でも智子からの電話をとったとき、僕はいやに冷静だった。ああ、智子が僕を心配してかけてきてくれたんだなって、本気でそう思ったんだ。智子が僕の名前を呼んでいた。智子が笑っていた。智子がいたんだよ。智子が――

⏰:09/08/07 22:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#151 [我輩は匿名である]
さとうくんは恋人はいるのかい?君は顔も良いし利口だからもてるだろう。彼女も、きっと素敵な子なんだろうな。



…………はい、
料理が上手くて…あ、グラタンが特に得意で、子供好きで、俺が言うのもなんですけど、美人で可愛くて天然で、


 

⏰:09/08/07 22:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#152 [我輩は匿名である]
はは、これは重症だな。ああ、そうだ、これからちょっと付き合ってくれないか。今日は妻の誕生日なんだよ。恥ずかしい話なんだけど女性に花を贈ったことがなくて、こういうのはよく解らないんだ。適当な花をみつもってもらいたいんだ。君も彼女に贈るといい。

⏰:09/08/07 22:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#153 [我輩は匿名である]
 


「ただいまー」


「あ!はるくんおかえりなさいっ」


「うん、ゆう、はいこれ」

「え、どうしたの?今日なんかあったっけ」


 

⏰:09/08/07 22:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#154 [我輩は匿名である]
 


「何かないと駄目なのか」

「そうじゃないけど」


「あのな、ゆう、いつも美味い飯つくってくれてありがとう」


「……はるくんっ!!」


 

⏰:09/08/07 22:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#155 [我輩は匿名である]
君をさがすよ。
あの駅に、あの夏の坂に、あの夢の中に、あの部屋の片隅に、あの約束に、

⏰:09/08/07 22:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#156 [我輩は匿名である]
 

END

 

⏰:09/08/07 22:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#157 [我輩は匿名である]
 



 

⏰:09/08/11 02:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#158 [我輩は匿名である]
 



「青い手紙が届くわ、きっと」



 

⏰:09/08/11 02:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#159 [我輩は匿名である]
 

「……………水道代の請求かなにかかい…?」


「違うわよ」


「よく、解らないよ…」


「でしょうね」


「…」

 

⏰:09/08/11 02:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#160 [我輩は匿名である]
 


「“貴方が好き”」


「…今日の君は言動が少しおかしいよ」


「部屋で寝転んで死ぬのを待ってる貴方程じゃないわよ」


 

⏰:09/08/11 02:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#161 [我輩は匿名である]
 


END


 

⏰:09/08/11 02:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#162 [我輩は匿名である]
 




 

⏰:09/09/27 00:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#163 [我輩は匿名である]
 
片耳の石を無くした事にすら気付かなかった。


無くなるのは、片方だけなのだ。何時だって。

 

⏰:09/09/27 00:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#164 [我輩は匿名である]
 

ちくんと

ピアスの入っていない方の耳が痛んだ。

それが孤独からきた痛みなのか、罪悪感からきた痛みなのかは分からない。

 

⏰:09/09/27 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#165 [我輩は匿名である]
 

とても、とても気に入っていた。
アイスブルーの宝石が白銀の縁にはめこまれた美しいピアスだった。

彼からの初めての贈り物に、柄にも無く少女の様に無邪気に無垢に喜んだのを今でも思い出せる。

 

⏰:09/09/27 00:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#166 [我輩は匿名である]
 


彼は堅くこわばって、うなだれていた。悲観とも絶望ともとれる無表情。否、両方か。


たぶん。
終わってしまうのだ。

この恋が。

 

⏰:09/09/27 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#167 [我輩は匿名である]
 
最後の最後にと私は彼にキスをした。
キスだけは、優しくて暖かだった。このピアスが両方揃って私を飾っていた頃のままのように。

キスが終わったあとも彼は頑に沈黙を続け、それから暫くして私を非難する言葉すら残さずにアパートから出てゆく彼の気配だけを感じていた。

泣いて喚いて、
私を罵って傷つけてくれた方がずっとよかった。
 

⏰:09/09/27 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#168 [我輩は匿名である]
 
一瞬戸惑ったように足踏みをした彼だったが、私はもう何も言わなかった。


こんなとき、可愛い女ならそれこそ愛らしく、いかないで、と男を引き留めることが出来るのだろう。
賢い女なら言葉巧みに誰もが騙されるような言い訳を思いつくのだろう。

でもそのどれも私にできなかった。
 

⏰:09/09/27 00:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#169 [我輩は匿名である]
 
口数の少ない私達は、ありがとうもごめんねもあいしてるも、全てくちづけで伝えあっていた。
優しさも寂しさもおおよそ恋人が分かち合う全てを(いいや、伝わっていると思っていたのは私だけだったのかもしれない。今となっては確かめる術は無いが)。
それが、いつからだっただろう、瞳を見つめあわなくなった。身体を重ねる事も少なくなった。唇を寄せる事すら億劫になった。
 

⏰:09/09/27 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#170 [我輩は匿名である]
 
口数の少ない私達は、

…お互いを繋ぎとめておく術を知らなさすぎた。

今あふれだしたこの涙も、いっそ彼の前で流せたらまた違った未来があったのだろうけど。
 

⏰:09/09/27 00:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#171 [我輩は匿名である]
 


二人で暮らしたこの部屋に独りきりで佇んでいた。


「好き…」


言葉にすれば、

笑えてくるほど簡単な事で

 

⏰:09/09/27 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#172 [我輩は匿名である]
 

「…、…すきだったよ」


言葉が浮かばないのならば、寄り添えば良かった。

壊れた玩具みたいに止まらない涙ばかり拭うこの掌で彼を抱きしめればよかった。

 

⏰:09/09/27 00:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#173 [我輩は匿名である]
 


私の掌にはアイスブルーのピアスが片方だけ残った。

 

⏰:09/09/27 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#174 [我輩は匿名である]
 

ここにはかえらない彼は、

こことは違うどこかで笑っているのだろうか。


 

⏰:09/09/27 00:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#175 [我輩は匿名である]
 
片耳の石を無くした事に気付かなかった。
そんなふうに、私達は私達の恋をなくしてしまった。
片方だけのピアスなんて、もう付けられないではないか。
そんなのは、"無い"のと同じだ。

 

⏰:09/09/27 00:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#176 [我輩は匿名である]
 


ピアスは片方だけがなくなる。

何時だってそう。


 

⏰:09/09/27 00:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#177 [我輩は匿名である]
 


------------


 

⏰:09/09/27 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#178 [我輩は匿名である]
 
最後に見た彼女は、泣くわけでもなく憤るわけでもなく。
ただ宙をぼんやり見つめていた。(もともと、あまり感情を表情や行動に出さない人ではあったけれど)

彼女はひたすらに沈黙を守り立ち上がった僕を、その瞳に映そうともしなかった。

 

⏰:09/09/27 00:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#179 [我輩は匿名である]
 

アイスブルーのピアスは僕の掌で少し毒毒しい程に煌めいていた。

 

⏰:09/09/27 00:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#180 [我輩は匿名である]
 

――僕は愚かだった。

こんな事をして彼女の気持ちを試すより、この掌で彼女を抱き寄せればよかった。

抱きしめて閉じこめて、そして…言ってしまえばよかったのだ。

たった一言、

 

⏰:09/09/27 00:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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