BLUE LETTERS
最新 最初 🆕
#162 [我輩は匿名である]
 




 

⏰:09/09/27 00:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#163 [我輩は匿名である]
 
片耳の石を無くした事にすら気付かなかった。


無くなるのは、片方だけなのだ。何時だって。

 

⏰:09/09/27 00:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#164 [我輩は匿名である]
 

ちくんと

ピアスの入っていない方の耳が痛んだ。

それが孤独からきた痛みなのか、罪悪感からきた痛みなのかは分からない。

 

⏰:09/09/27 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#165 [我輩は匿名である]
 

とても、とても気に入っていた。
アイスブルーの宝石が白銀の縁にはめこまれた美しいピアスだった。

彼からの初めての贈り物に、柄にも無く少女の様に無邪気に無垢に喜んだのを今でも思い出せる。

 

⏰:09/09/27 00:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#166 [我輩は匿名である]
 


彼は堅くこわばって、うなだれていた。悲観とも絶望ともとれる無表情。否、両方か。


たぶん。
終わってしまうのだ。

この恋が。

 

⏰:09/09/27 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#167 [我輩は匿名である]
 
最後の最後にと私は彼にキスをした。
キスだけは、優しくて暖かだった。このピアスが両方揃って私を飾っていた頃のままのように。

キスが終わったあとも彼は頑に沈黙を続け、それから暫くして私を非難する言葉すら残さずにアパートから出てゆく彼の気配だけを感じていた。

泣いて喚いて、
私を罵って傷つけてくれた方がずっとよかった。
 

⏰:09/09/27 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#168 [我輩は匿名である]
 
一瞬戸惑ったように足踏みをした彼だったが、私はもう何も言わなかった。


こんなとき、可愛い女ならそれこそ愛らしく、いかないで、と男を引き留めることが出来るのだろう。
賢い女なら言葉巧みに誰もが騙されるような言い訳を思いつくのだろう。

でもそのどれも私にできなかった。
 

⏰:09/09/27 00:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#169 [我輩は匿名である]
 
口数の少ない私達は、ありがとうもごめんねもあいしてるも、全てくちづけで伝えあっていた。
優しさも寂しさもおおよそ恋人が分かち合う全てを(いいや、伝わっていると思っていたのは私だけだったのかもしれない。今となっては確かめる術は無いが)。
それが、いつからだっただろう、瞳を見つめあわなくなった。身体を重ねる事も少なくなった。唇を寄せる事すら億劫になった。
 

⏰:09/09/27 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#170 [我輩は匿名である]
 
口数の少ない私達は、

…お互いを繋ぎとめておく術を知らなさすぎた。

今あふれだしたこの涙も、いっそ彼の前で流せたらまた違った未来があったのだろうけど。
 

⏰:09/09/27 00:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#171 [我輩は匿名である]
 


二人で暮らしたこの部屋に独りきりで佇んでいた。


「好き…」


言葉にすれば、

笑えてくるほど簡単な事で

 

⏰:09/09/27 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#172 [我輩は匿名である]
 

「…、…すきだったよ」


言葉が浮かばないのならば、寄り添えば良かった。

壊れた玩具みたいに止まらない涙ばかり拭うこの掌で彼を抱きしめればよかった。

 

⏰:09/09/27 00:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#173 [我輩は匿名である]
 


私の掌にはアイスブルーのピアスが片方だけ残った。

 

⏰:09/09/27 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#174 [我輩は匿名である]
 

ここにはかえらない彼は、

こことは違うどこかで笑っているのだろうか。


 

⏰:09/09/27 00:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#175 [我輩は匿名である]
 
片耳の石を無くした事に気付かなかった。
そんなふうに、私達は私達の恋をなくしてしまった。
片方だけのピアスなんて、もう付けられないではないか。
そんなのは、"無い"のと同じだ。

 

⏰:09/09/27 00:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#176 [我輩は匿名である]
 


ピアスは片方だけがなくなる。

何時だってそう。


 

⏰:09/09/27 00:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#177 [我輩は匿名である]
 


------------


 

⏰:09/09/27 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#178 [我輩は匿名である]
 
最後に見た彼女は、泣くわけでもなく憤るわけでもなく。
ただ宙をぼんやり見つめていた。(もともと、あまり感情を表情や行動に出さない人ではあったけれど)

彼女はひたすらに沈黙を守り立ち上がった僕を、その瞳に映そうともしなかった。

 

⏰:09/09/27 00:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#179 [我輩は匿名である]
 

アイスブルーのピアスは僕の掌で少し毒毒しい程に煌めいていた。

 

⏰:09/09/27 00:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#180 [我輩は匿名である]
 

――僕は愚かだった。

こんな事をして彼女の気持ちを試すより、この掌で彼女を抱き寄せればよかった。

抱きしめて閉じこめて、そして…言ってしまえばよかったのだ。

たった一言、

 

⏰:09/09/27 00:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#181 [我輩は匿名である]
 

最後のキスを贈られたとき。
彼女は精一杯になけなしの愛情を僕へ傾けてくれていたのだ。

拒絶しなかったのも、

黙っていたのも、

キスをかえさなかったのも、


全部全部、僕が臆病だったから。

 

⏰:09/09/27 00:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#182 [我輩は匿名である]
 


このピアスがもう二度と彼女を飾らないように、
僕も彼女のもとにはかえれない。

だからせめて、もう、僕がどこにいても、僕を探すことなんかしないで幸せになってほしい。

きっと笑っていてほしい。
 

⏰:09/09/27 00:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#183 [我輩は匿名である]
 



「好き」


囈のような響きだった。

受け取ってくれる相手がいないこの言葉は、徒に虚に舞って消えた。




「好きだよ、いまだって」 

⏰:09/09/27 00:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#184 [我輩は匿名である]
 


END


 

⏰:09/09/27 00:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#185 [我輩は匿名である]
 

























二人はまだ互いを好き。でも両方とも相手はもう自分を好きではないと思っている。
好きだけど、すれ違いやマンネリや、いろいろな理由で互いが互いの気持ちを危ぶんでいる状態。

ピアスを片方だけ盗んだのは彼。自分が贈ったピアスを彼女(文章内では"私")に探して欲しかった。彼女は彼女で、彼はもう自分を好きではなく、理不尽に縛るくらいならいっそ自由にしてあげたくて、ピアスの件についてあえて言い訳はしない。去ってゆく彼を止める資格すら自分には無いと思っている。

⏰:09/09/27 00:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#186 [我輩は匿名である]
 
愛してるとさえ言えないふたり


♪ by TsukikoAmano/Lion

⏰:09/09/27 01:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#187 [我輩は匿名である]
 




 

⏰:09/10/12 15:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#188 [我輩は匿名である]
 
※ATTENTION PLEASE※
























ここから掲載する文章に、悪意・他意また過去の出来事及びそれに関与なさった全ての方を軽蔑し侮辱する旨は一切ございません。
主自体、日本の教育をそこそこにしか受けていないので知識に誤りが多々あると思います。読み終わったあとの誹謗中傷はどうかご遠慮ください。
またこの話は自己責任でご覧ください。変なやつが、また意味不明なの書いてるわーぐらいに思っておいてください。

⏰:09/10/12 15:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#189 [我輩は匿名である]
 

黒く冷たく、
光って堕ちた、小さな男の子。


時計の針は歩みを止め、暑い夏をさらなる灼熱で焼き付けた。



 

⏰:09/10/12 15:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#190 [我輩は匿名である]
 

負の連鎖を直に断ち切るためには、これがどうしても必要だったのだ。
"she"は思ったが、直ぐに頭を振った。
それは自分以外の誰が聞いても、言い訳に過ぎないだろうから。

 

⏰:09/10/12 15:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194