絶望少女と人間失格
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#1 [そ] 09/04/17 13:42
 
「ねぇ――私に絶望を見せてくれない?」


この日、
“絶望少女”雀夜シキとの出会いをきっかけに
僕達の周囲は予定調和のように狂い、
絶望的なまでに壊れだした。


あたかも、かみ合わなくなった運命の歯車が絶望へと誘うかのように……。
 
>>2

#476 [我輩は匿名である]
 
今日は選択教科の日……つまり、僕にとっては音楽の授業がある日でもあり、そしてあの時、図書室で僕に告白してきたあの娘と同じ空間で同じ時を過ごす日でもあるのだ……!!


なんて説明すると、まるで今から音楽室という名の戦場にいざ出陣しようとしているように見て取れるが、ぶっちゃけ言うとその時間は無事に過ぎ、今は他のクラスの班の人間達と一緒に体育館でお掃除中だったりする。
 

⏰:09/09/14 13:42 📱:W63CA 🆔:ie7L33eQ


#477 [我輩は匿名である]
 
昼休みが終わってから掃除をするというのが我が高校の決まりとなっており、この体育館はその広すぎる面積を先生方が考慮したのか、他のクラスの班と一緒に掃除することとなっていて、今月は僕らの班がその役割に任命されてしまったりするわけで、こうしてみんな仲良くこの蒸し暑さに愚痴りながらもお掃除中というわけなのである。
 

⏰:09/09/14 13:42 📱:W63CA 🆔:ie7L33eQ


#478 [我輩は匿名である]
 
何かついさっき無事に音楽の時間を過ごしたとか述べたような気がするが、いや確かにこの間の返事を聞かせろといった内容をあの娘は何も口走りはしなかったけど、比較的割と近い所に僕と彼女の席があったわけで、(今日になるまで全然気がつかなかった)やたらと彼女が僕の顔を恥ずかしがるようにチラチラとしきりに見てくるのでかなり居心地が悪かった。


あの分だと、『返事はいつしてくれるのかな? 明日かな? 明後日かな? ひょっとしたら今日にも……きゃっ☆』なんて乙女回路フル回転なことを考えているのはまず間違いないだろう。
 

⏰:09/09/14 13:43 📱:W63CA 🆔:ie7L33eQ


#479 [我輩は匿名である]
 
ああ、面倒くさい。

何が面倒かって、断りでもすればクラス中に噂が広まり、僕の明るくて優しいというイメージに傷が入りかねないことが一番憂慮すべきところだった。


かといって、下手にOKを出して付き合うようなことになってしまったら更に面倒なことになるのは目に見えている。


ああ、頭痛がしてくるぜ。
 

⏰:09/09/14 13:44 📱:W63CA 🆔:ie7L33eQ


#480 [我輩は匿名である]
 
「哀澤君、そこ邪魔よ」

「あ、ごめん」


ホウキを手にした雀夜にそう言われ、さっきからずっと同じ窓を拭いていた僕は逃げるようにその場所から離れた。


――そう。

一緒に掃除をする別のクラスの班というのは、実は雀夜がいる班でもあったのだ。
 

⏰:09/09/14 13:45 📱:W63CA 🆔:ie7L33eQ


#481 [我輩は匿名である]
 
雀夜はあの図書室の一件以来、僕に対してかなり冷たい態度で接してくるようになってしまった。

ていうか、図書室で会っても口を利いてくれなくなってしまった。


とは言っても、僕がいても必ず図書室にはやって来るし帰り道も一緒なので同じ時間帯で共に(お互い、かなり距離を置いてだけども)帰路についてもいるし、今のようにどうしても話しかければならない時は口を開いたりするが、それ以外は僕に声をかけるようなことは一切無かった。
 

⏰:09/09/14 13:45 📱:W63CA 🆔:ie7L33eQ


#482 [我輩は匿名である]
 
いや、もともとそんな図書室以外で喋りあうようなことは少なかったけど、今回は度を越して口数が少なかった。

今でも見て取れるが、こちらに対して常に剣呑なオーラを放ってくるのだ。気分が悪いったらありゃしない。


まだあのことを怒っているとでもいうのだろうか?


だとしたらどんだけ執念深いだよまったく。
 

⏰:09/09/16 13:03 📱:W63CA 🆔:8E4K4oH.


#483 [我輩は匿名である]
 
やれやれ……と、誰にも気がつかれないように小声でため息混じりに呟いた。


僕に告白してきたあの娘といい雀夜といい、女がこれほどまでに頭を悩ませる生物だとは思わなかった。


今までの人生の中でダントツトップクラスで悩まされているのではなかろうか。

なんかもう、日本一悩み王の座を獲得してしまったような気がしてきた。
 

⏰:09/09/16 13:04 📱:W63CA 🆔:8E4K4oH.


#484 [我輩は匿名である]
 
そんな座いらないからなんとかしてくれとガーディアンスピリット(またの名を守護霊)に切実に頼みたくなってきちゃったよ。嘘だけど。


いや、なんかもうホントに……。


「どうしたもんかねぇ……」

「何がどうしたって?」
 

⏰:09/09/16 13:04 📱:W63CA 🆔:8E4K4oH.


#485 [我輩は匿名である]
 
そう声をかけてきたのは、スピリチュアルメッセージを送ってきたガーディアンスピリットというわけではなく、いつもの関西弁といつもと変わらない坊主頭をした、天草小次郎だった。



「どないしたん哀ぽん。なんか悩み事?」


と言いながら僕の首に腕回す天草。
 

⏰:09/09/16 13:05 📱:W63CA 🆔:8E4K4oH.


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