アイの意味

｢ねぇ教えてよ｡アイの意味｡どうして私に―…｣

少女のまっすぐな瞳はいつだって一人の男に向けられていた｡

感想板､アンカ
>>2

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―――……

｢んぅ…｣

カーテンの隙間から日の光が薄暗い部屋へそそがれる｡

｢まぶしっ｣

よろよろと立ち上がりカーテンをきっちりとしめる｡

昼間でもカーテンを開けてはいけない｡

そう言いつけられているから｡
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にゃあぁー…

足に絡みついてくる可愛いワタシと"マコト"のペット…

毛むくじゃらで目がまん丸で…あれ､名前なんだっけ｡

｢にゃんこ…？｣

うん､確か､これ｡
真っ白で瞳が青いこの子に､マコトはヒトメボレしたんだって｡
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ワタシに似てるねって笑ったマコトの嬉しそうな顔｡

でもワタシは嬉しくなかった｡

だってこんなに毛だらけで小さくて変な歩き方する生き物に似てるって失礼だもん｡

って言ったら､マコトはまた笑ったんだ｡

そんな事考えながらにゃんこにご飯をあげる｡
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お茶碗に茶色い丸いお菓子みたいなのをいっぱいにいれてあげる｡

美味しいのかな､これ｡

でもマコトがワタシは食べちゃだめだよって言うから､食べないよ｡

起きたらまず､にゃんこにご飯をあげる｡

これも言いつけられているから､やるの｡
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【アイへ】

そう書かれた机の上の手紙を手に取る｡

これも毎日､置いてある｡

【ミーちゃんにちゃんとご飯はあげたか？】

あ､名前ミーちゃんだった｡
にゃんこの方が覚えやすいのに｡

｢うん､ちゃんとあげたよ！｣
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【アイはご飯食べたか？冷蔵庫にいつも通りお弁当が入ってるからな】

ぐぅきゅるるるー…

｢あっご飯食べるの忘れてた｣

鳴ったお腹を押さえながら冷蔵庫からお弁当を持ち出し手紙の続きを読む｡
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【今日はハンバーグと卵焼きとキュウリとレタスとトマトが入ってる｡ちゃんと残さず食べるんだぞ｡おかずだけ食べないでご飯もな｡】

｢これが､ハンバーグ！卵焼き！キュウリ！レタス！………｣

トマトは､嫌いなのに｡
後で捨てちゃお！

【アイが嫌いな物こっそり捨ててるの知ってるんだからな｡食べなかったらお仕置きだ】

｢なんで知ってるのー！｣
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ミーちゃんの事を睨む｡
ワタシが嫌いな物捨ててるの知ってるのはミーちゃんしかいない｡

｢マコトに言ったでしょ！ミーちゃんのばか！｣

ワタシはトマトとにらめっこする｡

これ食べなきゃ､マコト怒るよね｡

目をギュッとつぶってトマトを口に放り込んだ｡
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涙目になりながら大嫌いなトマトを飲み込む｡

｢アイ､偉い偉いの｡マコト､絶対誉めてくれる｣

お弁当を全部残さず食べてお腹一杯になったら眠気が襲ってきた｡

さっきいっぱい寝たのに…

でもそれに逆らう理由もないので大人しくベッドに横になった｡
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