１８歳。

『ちくしょぉお！』

「落ち着け、蒼一」

で、今。
フラれたのを友達に
慰めてもらってるところです。

普段奢んねーくせに
こういう時だけみんな気を使って奢ってくれる。

その気遣いが更に俺を落ち込ませんだぞ…

『俺、やっぱ遊ばれてたんかな？』

「元気出せよ蒼一！」

「彼女いただけ幸せだと思え！」

みんなが慰めてくれんのは嬉しい。
こいつらいい奴だなーってしみじみ思う。

でも、やっぱり元気にはなれねーよ。

ずっとこの関係が続いて、結婚するんだって当たり前に思ってた。

…だっせーな、俺。

２年も付き合ってれば、“慣れ”は出てくる。

少しくらいほっといたって大丈夫。とか、
いつの間にか思うようになっていた。

「あいつは俺から離れない。」
そんな自信があったんだ

それが見事に
打ち砕かれて、
俺は唖然としてしまった。

“ほっといても大丈夫”そう思っても、
彼女に尽くしてたよ、俺。

好きだったし
一緒にいたいって思ってたし。
なのに、あいつはそうは思ってくれてなかったのかな。

よりによって２年目の記念日にフラれるなんて、俺かっこ悪すぎ…。

１人になったら、
やっぱり落ち込んでしまう。

彼女とは同じ学校。
そして同じクラス。
前までは最高だった状況が、今では最悪な状況になり逃げ出したい気分だ。

学校では目が合う事もなく、話す事もなく。
いや、むしろ完全避けられている。

…好きな人に避けられるって結構きついな。

そんなんだから、
俺から話しに行く事もなければ、連絡する事もない。

何で俺嫌われたのかな？
考えてみるけど
全く分からない。

別に喧嘩をした訳でもないし、ほんとにいきなりだったから。

あぁ、分かんね。

俺は好きという気持ちよりも、イラつくようになった。

何もしてねーのに
いきなり別れを告げられて避けられて。

そう思うと、
イライラして仕方がなかった。

もうあいつの事は
忘れよう。
そう思った。

「今日ヤろ！」
『いいよ。』

軽いノリの約束。
女を抱いてる時だけ、あいつを忘れられる。

あいつに見せつけてやりたい。お前の事なんてもう好きじゃないんだと。

矛盾しまくりの俺は、ひたすらたくさんの女と寝た。

１ヶ月そんなことをしていたら、俺は“チャラい”だの“ヤリチン”だの言われるようになった。

もちろん、元カノの耳にも入っている訳で。

ちょっとした優越感にひたった。

忘れられない。
だから他の女に逃げる。
そしてお前は俺の事をもっと嫌いになればいい。

「蒼一、今日はあたしとヤろ」

猫なで声で俺を誘う女。
名前は分かんね…

もともと自分で言うのもなんだけどモテてた俺。

でも付き合ってた時は彼女一筋！ってかんじで
他の女なんて眼中になかった。

だから名前分かる奴も
少ないな。