悩めるロミオくん★(BL)

俺達はまるで
ロミオとジュリエット。

どんなに恋い焦がれようとも、決して結ばれることはない。

ただ一つ、その物語と違う点があるとするならばそれは、

ロミオの一方的な片思い、ということだけ。

あれは忘れもしない入学式。

新入生代表がコイツだった。

明るい茶色のネコ毛に、大きな瞳。そして長い睫毛。筋の通った小さな鼻とぷっくりした紅い唇。

恋に落ちるのにそう時間はかからなかった。

同じクラスだって知った時は喜びを通り越して固まった。
それくらい嬉しかった。

が、入学当初は自分のコイツに対する恋愛感情を消すのに必死だった。

だって男だし!!!
ありえねーって。
本気で思ってた。

だけど桜咲く４月が過ぎて梅雨が過ぎて夏が過ぎて…

気づけばもう葉が赤く色づく季節になっていた。

それでも俺のこの気持ちは消えることはなかった。

それどころか、

｢そこがうるさいって言ってんの。｣

｢うぅっ!!(泣)
ろみのばかあ～!!!!!｣

萌えるばかり。

あ、失礼。
燃えるばかり。

さてさて。
さっきから読者さん(居るか居ないかは分からないけど)も気になってるとは思いますが、コイツ。

俺のことを『ろみ』と呼びます。

今までヒロと呼ばれることは多々あった。
ヒロくんとかね。

しかし『ろみ』と呼んだのはコイツが初めてだ。

あれは初めて席替えをした時のこと。

─────────
────‥‥

(おっ!!!一ノ瀬の隣!?!?
俺のくじ運最強っ！！)

なんて思いながら俺は椅子に腰かけた。

すると、コイツは満面の笑みを俺に向けた。

｢俺、一ノ瀬樹理！よろしくー♪｣

可愛い///
可愛いすぎるだろ!!//
なんなんだ、この犯罪的な可愛いさは…。

俺は赤くなっていく顔を隠すように目だけを横にやって、｢夏目広海。｣と呟いた。

我ながらアレは無愛想すぎたと今でも少し反省している。

しかしコイツはそんな俺に動じることも無く、さらにその大きな瞳をキラキラと輝かせた。

｢じゃあ俺、『ろみ』って呼ぶなっ♪｣

満面の笑みでコイツはそう言った。

その声の大きさにも驚いたけど、やっぱり一番気になるのは、

｢い､良いけどなんで『ろみ』？｣

と言う質問。

そして俺の問いにコイツはあっさりと笑顔で言ったんだ。

｢だって、みんなヒロって呼んでるだろ？だから！
俺だけの特別っ♪｣

.

俺がその時の笑顔に心の底からときめいたのは言うまでもないだろう。

その日からコイツは俺の事をろみって呼ぶ。

最初はコイツの真似をして他の奴も冗談半分で『ろみ』と呼んだりもした

でもその度にコイツが拗ねた顔で、
｢ろみって呼んでいいのは俺だけーっ!!!!｣
なんて言うもんだから、今じゃ本当にコイツだけの特別になってしまった