―‥ 殺したいほどに ※BL
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#150 [雪]
「あ?聞こえてんのか?」
「‥だぁ。
納豆やだああぁああぁあ!!!!!」
‥おいこら、くそがき。(笑)
:09/12/22 18:20
:D905i
:DeMeQxvE
#151 [雪]
「あのなぁ‥
別にお前が食べるんじゃないんだ‥」
ってか人の話は最後まで聞けよ!
結はスタスタとキッチンに向かった。
あー今日寝癖やばいわ‥。(笑)
「ったく‥
んな朝っぱらからでけぇ声出すな‥」
って‥
「ごるぁああぁああぁあ!!!!」
:09/12/22 18:23
:D905i
:DeMeQxvE
#152 [雪]
がさごそと冷蔵庫をあさり
乱暴に納豆を取り出し
それを‥‥
「納豆なんか‥
この世にいらないぃいぃいい!!!」
勢いよく腕を振り上げ
ゴミ箱に捨てようとするくそガキ
「てんめぇええぇ!!!!」
後ろから覆い被さるようにして
なんとか納豆を救出(笑)
:09/12/22 18:28
:D905i
:DeMeQxvE
#153 [雪]
両手首を片手で固定。
じたばたするくそチビ
「食べ物を粗末にすんな!!」
朝っぱらから
よくもあんなでかい声がでたもんだ
とりあえず納豆はハヤシの次に
俺の好きなもの。
捨てられてたまるか(笑)
「だって納豆嫌いだもん!
ねばねばだし臭いし!」
あーだこーだ云々。
納豆を悪く言う奴は許さない
:09/12/22 18:32
:D905i
:DeMeQxvE
#154 [雪]
もう片方の手で
思いっきり顔をぶちゅっと
潰してやった(笑)
「なっちょうちゃべちゃら
きゃいがくしゃくなりゅもん
(納豆食べたら海が臭くなるもん)」
「歯を磨けば問題ねぇだろ」
今更ながら思ったより
案外結がちっさいことに気づく。
目線は確かに下へ向く
:09/12/22 18:36
:D905i
:DeMeQxvE
#155 [雪]
こいつぁー‥170ないな(笑)
当たり前のことだが
結は自然と上目遣いになる。
‥くそっ
そこらの女より可愛い‥
なんとなくだんだん
恥ずかしくなってきた。
「まぁ今回は‥ゆ、許してやる」
ぱっと手を離し顔を背けた。
:09/12/22 18:39
:D905i
:DeMeQxvE
#156 [雪]
納豆を片手にため息つきながら
椅子を引いた。
ふと思ったことは、
こんなに賑やかな朝は久しぶりで
結との言い争いは
なんとなく心地よくて‥
うん。‥うん。
「かーいー‥」
声の調子から
かなりしょげてる様子(笑)
:09/12/28 12:37
:D905i
:dWs.vmLM
#157 [雪]
ほんとに
かまってちゃんだなー‥
まぁ、そんなとこも可愛い‥
っておい、俺
もはやコントロール不能な感情。
何だかんだ考えて
悶々としてたら
返事をするのを忘れていた。
:09/12/28 12:44
:D905i
:dWs.vmLM
#158 [雪]
「ねーかいー‥」
あえて返事もせずに
椅子に座ろうとする俺に
‥近づく足音。
「んだよー‥ん?」
仕方なく振り返ったら
結はもう、俺の胸に顔を埋めていた
おいおいおい‥
:09/12/28 12:48
:D905i
:dWs.vmLM
#159 [雪]
もう1年も前のものですが
時間に余裕がでてきたので
また書き始めたいと思います**
読んでくれる方がいらっしゃれば
嬉しいです(^^)
ゆっくりですが、がんばります
:10/11/22 17:51
:D905i
:96rWnzeo
#160 [我輩は匿名である]
読んでました!
続き楽しみにしてます♪
:10/11/22 22:10
:CA003
:KMQketjA
#161 [雪]
>>160さん
ありがとうございます!!
お待たせして
申し訳ありませんでした(´・ω・`)
また読んでいただけるなんて
幸いです**
小説は久しぶりなので
ぐだぐだになってしまいそうですが
一生懸命がんばるので
これからもよろしくお願いします(^^)
:10/11/23 00:09
:D905i
:nXM3hLDM
#162 [雪]
>>158 つづき
少しばかり躊躇いながらも
受け入れてしまう。
なぜか鼓動が忙しくて
結に聞かれていそうで、恥ずかしかった
「んー‥ ?」
離れて欲しいような
欲しくないような
:10/11/23 00:11
:D905i
:nXM3hLDM
#163 [雪]
「納豆臭くても、好き」
胸のあたりが
結の吐息で熱くなる
今の俺には
はいはいと流す他なかった。
自分自身にわかりきった嘘をついて
ブレーキをかけるのに必死だったんだ
:10/11/23 00:12
:D905i
:nXM3hLDM
#164 [雪]
「‥どこも行かないで」
後ろにまわった細い腕は
震えるほどに力がこもってた
「誰にも‥
誰にも取られたくないんだ」
「別に、誰もとりゃぁしないさ」
柔らかい髪をそっと撫でる
:10/11/23 00:14
:D905i
:nXM3hLDM
#165 [雪]
単純なようで
案外複雑なこいつは
一体いくつの苦痛を
独りで背負ってるんだろうか
俺にはそれを
黙って聞くことしかできない ?
:10/11/23 00:15
:D905i
:nXM3hLDM
#166 [雪]
「俺らは、血の繋がった兄弟
‥どんな奴でも
これは変えられない事実‥だろ ?」
いっそのこと‥
この気持ちをぶちまけて
結がどこにもいかないように
俺のだって証を刻んで
何度も何度も溶け合ってしまおうか
:10/11/23 00:16
:D905i
:nXM3hLDM
#167 [雪]
今まで
そんなことを思える相手に
出会えてなかったから
こんなおかしなことを
当たり前のように考える自分が
‥少しばかり怖くなった。
:10/11/23 00:17
:D905i
:nXM3hLDM
#168 [雪]
正しい愛し方がわかんねぇや
そもそも"正しい"って何だ ?
このまま力いっぱい抱きしめて
壊しちまいたいって言うのに
こんなに無防備に
無邪気でいられる結を
恨めしくも思ったりした
:10/11/23 00:19
:D905i
:nXM3hLDM
#169 [雪]
ありがとって笑って
歯磨き粉をホイップクリームのように
たんまりと乗せた歯ブラシを差し出した
「早く歯、磨いてね !」
少し涙目で、愛おしい
俺はもう 終わったのかもしれない
:10/11/23 00:54
:D905i
:nXM3hLDM
#170 [雪]
「はぁ〜〜〜(笑)」
わざと息を吹きかけた
結の前髪がふわっと舞って
眉間にシワが寄って
地獄を見たらしい。納豆地獄
黒目をあっちへこっちへ
ぐらぐらさせていた
:10/11/23 00:57
:D905i
:nXM3hLDM
#171 [雪]
「海‥いじわる !!」
怖くも痒くもなんともない
正直
今にも泣きそうな顔で言われても
笑いをこらえるのに必死だ
「小さいころ
好きな子に、よく悪く言ったなー。
ブスとか、バカとか‥
頭たたいたり、つねったり」
:10/11/23 01:02
:D905i
:nXM3hLDM
#172 [雪]
きょとんとした結
「結は?なかった?そういうの」
「んー‥わかんないや
なんの話?」
「へー。好きな子には意地悪したくなるって
よく聞かない??」
きっと結はわかってる
全部知ってる。
黙っているのは優しさか?
互いに歯止めをかけて
禁じられた遊びに
密かに胸を膨らました。
:10/11/23 01:05
:D905i
:nXM3hLDM
#173 [我輩は匿名である]
気になる!
:10/11/28 03:36
:SH02A
:B0EEeewQ
#174 [雪]
>>173
ありがとうございます ^^*
今ちょっと時間あるので
早速書かせていただきます!!
これからも
よろしくお願いします**
:10/11/28 14:34
:D905i
:wNczvZ9A
#175 [雪]
「さぁーて、買い物行くか?
夕飯何食いたい?」
呼吸すると冷たくなる口内
ミントの葉が今にも目の前に現れそうだ
「え‥海が作るの?」
なんだよその不安たっぷりの目
:10/11/28 14:38
:D905i
:wNczvZ9A
#176 [雪]
「悪いか?」
「‥そんなことない!ありがと!」
ハッとして大きく首を横に振った
目を細めてくしゃっと笑う
こんな可愛いんじゃ
女も寄りつくだろうなー‥
母性本能‥くすぐるってやつか
「何鍋がいい?」
「鍋限定なんだ(笑)」
:10/11/28 14:41
:D905i
:wNczvZ9A
#177 [雪]
外に出ればもう上着なしではいられない
マフラーとか手袋とか
日が暮れれば欲するかもしれない
雲の隙間を縫うようなオレンジ色
それを包むような藍色に白い点
その内雪が降るようになったら
綺麗な夜空はなかなか拝めない
冬の夜空は格別だと思う。
:10/11/28 14:45
:D905i
:wNczvZ9A
#178 [雪]
「キムチもいいけどー‥
カレー鍋とかも美味しそう!」
「カレーなぁ‥
あ、トマトもあるぞ?」
「あー!トマトも捨てがたいねー」
棚に並んだいろんな夕食候補と
結は真剣ににらめっこ
:10/11/28 14:49
:D905i
:wNczvZ9A
#179 [雪]
「ウインナー!ウインナー!」
カートを押しながら、急に走り出した
はしゃぐ姿とか、
ウインナーって言う姿とか
まるで子供な訳で‥
時々俺は保護者みたいに
暖かくもどっしり構えて
見守ってみたりしている。
:10/11/28 14:52
:D905i
:wNczvZ9A
#180 [雪]
「海、たこさんにできる?‥」
「あー‥切ればいいだけだろ?」
俺の雑な返事をよそに
結は何かを目で追っていた
浮ついた唇、泳いだ目
そしてそれを必死で隠すように
またくしゃっと笑う
同じ笑顔なのに
なぜか胸が苦しくなった。
:10/11/28 14:56
:D905i
:wNczvZ9A
#181 [雪]
「トイレ‥ちょっと行ってくる!」
カートを手放し、足早に去った
俺は結の視線の先を追ってみた。
そこには見覚えのある顔
なんで?
:10/11/28 14:58
:D905i
:wNczvZ9A
#182 [雪]
「あ‥海くん♪」
にこにこと、こちらに手を振るのは
間違いなく真由美ちゃんだった
真由美ちゃん‥が?
結は真由美ちゃんを?
何だかよくわからないまま
少しだけ眉間にシワを寄せて
「あぁ‥こんばんはー」
:10/11/28 15:02
:D905i
:wNczvZ9A
#183 [雪]
「海くんってこの辺なの?」
「いや、今日はたまたま‥」
苦手意識が一度生まれてしまうと
俺はどうしようもなくなる
「ふぅん。そっかぁー
あ、デートのことだけどぉ」
すっかり忘れてた‥
:10/11/28 15:48
:D905i
:wNczvZ9A
#184 [雪]
「ごめん‥最近いろいろあってさ」
それは事実。
決して嘘ではない
「ほら、まだ別れたばっかだし
あんまり乗り気じゃなくて」
‥それは嘘かもしれない
女の子が苦手になったのと
真由美ちゃんを苦手になったのと
さすがにそんな事は言えたもんじゃねぇ
:10/11/28 16:22
:D905i
:wNczvZ9A
#185 [雪]
「そっかぁ‥残念
じゃあ、気が向いたら言って?」
真由美ちゃんはにこっと笑って見せ
平気なように振る舞っていたが
微かに聞こえた舌打ちを
俺は聞き逃さなかった
だから女の子は嫌いだ。
:10/11/28 16:26
:D905i
:wNczvZ9A
#186 [雪]
だったら最初から
にこにこしなきゃいいのに
俺みたいに
無愛想でいればいいのに
中途半端に自分を作って
一体彼女たちは何を求めてるのか
作るなら完璧を目指してほしい
男はそこまで鈍くない
‥少なくとも俺は
:10/11/29 20:57
:D905i
:.gyRJ0Eg
#187 [雪]
「結ー?生きてるかー?」
鏡ごしに
一つだけ閉ざされた個室に話しかける
なんか今日、本気の寝癖だなーおい
茶色い髪も徐々に元に戻っていく
人の生命力はすげぇと思う
:10/11/29 21:01
:D905i
:.gyRJ0Eg
#188 [雪]
「あぁ〜ごめんごめん!
納豆の文字見たら‥うってなった(笑)」
へへっと笑いながら
腰を低くして出てきた
鏡ごしに目が合う
なぜか急に愛おしくなって
ついつい体が動き出しそうになって‥
:10/11/29 21:03
:D905i
:.gyRJ0Eg
#189 [雪]
無意識に右手が結のほうに伸びる
このまま腰に腕回して
抱きしめたってよかった
人気なんて全くない薄暗いトイレだ
だけど鏡に映る自分の姿を見て
歯止めがかかった
ぎこちなくそのまま
結の髪を撫でた
:10/11/29 21:06
:D905i
:.gyRJ0Eg
#190 [雪]
「‥?」
直接そんな目で見つめるなよ
受け入れるような柔らかい瞳が
俺にとっちゃ凶器で
「髪‥いい色だな」
「髪?‥お揃いにする?」
「‥ばーか」
「えー何でーっ?いいじゃんお揃いー」
くしゃっと乱暴に撫で回して
背を向けて先を歩いた
:10/11/29 21:11
:D905i
:.gyRJ0Eg
#191 [雪]
結局鍋はトマト鍋になって
真っ赤なスープにたこさんは浮いていた
地獄を見たな、たこさん
あんまりいい絵ではない
「このたこさん足千切れてるー」
「‥ほんとだ」
「この白菜ちゃんと切れてないよー?」
「‥ほんとだ」
:10/11/29 21:15
:D905i
:.gyRJ0Eg
#192 [雪]
「海ー?」
「‥なに」
トマトだしこの色だし
トマトジュースみたいなのを想像してたが
案外甘ったるい味で
個人的には一回食べれば満足なレベル
スープをごくり飲み干せば
そのまま血液になりそうで
貧血気味の俺には何だかありがたく感じる
そんなことは有り得ないけど
:10/11/29 21:18
:D905i
:.gyRJ0Eg
#193 [雪]
「‥すきだよ?」
むせるのも無理はないだろ?
意味わかんねぇこいつ
口を覆った手は真っ赤に染まる
なんとグロテスクなこと。
「ん゛っ‥あ゛ぁ
‥たこさんが?何が?」
内心少しにやけた。
いや、正直、かなり、にやけた
完全にいかれちまった
:10/11/29 21:23
:D905i
:.gyRJ0Eg
#194 [雪]
「‥カイがすき」
「貝?あぁ、そりゃよかったなぁ」
俺は一瞬にして記憶を辿る
貝は買っていない
貝は入っていない
カイは海であって貝じゃない
そしてまた、にやけた。
:10/11/29 21:28
:D905i
:.gyRJ0Eg
#195 [雪]
わかってるくせに、と
結はふてくされてスープに飯ぶっこんで
さらさらっと流し込んだ
そこで同意や肯定の意を唱えれば
このもどかしさは消えたかもしれない
俺は何を恐れているのか
社会の目、常識、血のつながり
凡人の俺には
それらを破れる勇気がなかったのかもな
:10/11/29 21:33
:D905i
:.gyRJ0Eg
#196 [雪]
「かーいー」
きっと結は気付いてる
きっとって言うか、絶対
そんで面白がってる
いつまで俺が我慢できるか試してる
じゃなきゃ‥
「一緒にお風呂入ろー?」
「タオル忘れたー持ってきてー」
「海もベッドで寝ようよー」
こんなこと言うはずない
:10/11/29 21:59
:D905i
:.gyRJ0Eg
#197 [雪]
これがもし無自覚で
これが久々に再開した兄への兄弟愛だとして
そしたら俺は
今にでも襲ってやる
試されてる気がするから
強がりな性格が運良く歯止めをかける
:10/11/29 22:02
:D905i
:.gyRJ0Eg
#198 [雪]
「海ーっ!
シーツに!シーツにっ!」
虫一匹もひとりでヤレないのか
まじで乙女。オトメン(笑)
「穴開いてるよぉお!」
やれやれとティッシュを数枚手に取り
意気込んで向かった俺が
ずっこけそうになったのは言うまでもなく
:10/11/29 22:59
:D905i
:.gyRJ0Eg
#199 [雪]
「穴ぁあ?どこに?」
はぁっとため息をつく
悲しいため息じゃないから
何だか妙に口元が緩んだ
「ここっ!」
ベッドに胡座をかいて
結はそのそばの一点を指差した
「あぁ‥こんなん大したこと‥」
:10/11/29 23:01
:D905i
:.gyRJ0Eg
#200 [雪]
‥ガバッ
視界が一転した
してやられたわけだ。
:10/11/29 23:02
:D905i
:.gyRJ0Eg
#201 [雪]
「海って彼女に甘えたりする?」
上からのぞき込まれるのは
何となく不思議なかんじ
「んや‥しない」
視線をどこにやったらいいのか
‥なんかこっぱずかしい
:10/11/30 17:38
:D905i
:vVPRNFp.
#202 [雪]
「たまにはいいでしょ?(笑)
耳掻きしてあげよっか?」
悪ガキみたいに笑って
髪を撫でられた
小さい頃から母親とは離れて
父親がこんなことするはずもなく
だけど結の膝枕は心地よかった
:10/11/30 17:40
:D905i
:vVPRNFp.
#203 [雪]
言葉がでない。
こんなことされたら
甘えたくなるのも、くっつきたくなるのも
わからなくもないかも‥
「海、僕ね
小さい頃いじめられてたんだー」
頭を撫でる手はリズムを刻んで
この上ない安心感を覚えた
少しだけ眠くなる
:10/11/30 17:43
:D905i
:vVPRNFp.
#204 [雪]
「‥」
特に返事もしないで寝たフリをした
その方が話しやすいだろうって
俺なりの気遣い。
「女の子みたいって‥
見た目も確かにそうだったかもだし
性格も、なよなよで‥今もだけど」
結は自らをあざ笑うかのように
ふんっ、と鼻で笑った
:10/11/30 17:47
:D905i
:vVPRNFp.
#205 [雪]
「お母さんしか知らないから
"男の子"ってよくわかんなくて‥
お絵かきとか、そんなんが好きで」
俺が聞いていようがいなかろうが
関係ないようだった
目をつむって真っ暗なはずなのに
何とも言えないような顔をしてる結が
目に浮かんだ
:10/11/30 17:50
:D905i
:vVPRNFp.
#206 [雪]
「何されてもやり返せなくて
すぐ泣いてた‥うん、ホントすぐ」
今だってそうじゃん‥
ってツッコミたいくらい
安定感をなくした声が耳につく
「それで、そのうち
お母さんにバレちゃってさ‥
そしたらね、お母さん‥言ったんだ」
:10/11/30 17:55
:D905i
:vVPRNFp.
#207 [我輩は匿名である]
更新頑張ってください♪♪♪
見てまーす(^_-)
:10/11/30 20:22
:SH002
:rRTx/a8A
#208 [雪]
>>207
あぁあありがとうございます(;_;)
ホント気まぐれマイペース野郎ですが
今後ともよろしくです!
展開がだらだらぐだぐだですが
楽しんでもらえるように頑張ります**
:10/11/30 22:22
:D905i
:vVPRNFp.
#209 [雪]
>>206 続き
「社会のルールは多数決。
多数派が所謂"普通"で、
‥少数派は拒まれる
僕がいじめられる理由は
僕が"男"の中の"普通"じゃないから」
異見を述べれば非難される時代は
昔も今も、きっとこれからもそう
自由、自由と言われた世界だって
結局は人間の弱さが自由を奪う
:10/12/01 00:19
:D905i
:POlFmNQk
#210 [雪]
「社会の目を恐れて
自分の身を安全なソコへ投げるのも一つの手
だけど、少ないかもしれないけど
理解してくれる人は必ずいる。
見つけるのは難しいけど
‥神様はそんなに意地悪じゃない」
まるで母親が乗り移ったように
優しい口調で結は続けた。
:10/12/01 19:37
:D905i
:POlFmNQk
#211 [雪]
「教室のベランダから
体操着を放り出されて
半べそかきながら取りに行って‥
そしたら、後ろから僕を見てる子がいてね
冷やかしかと思ったら
『大丈夫?ごめんね』って言ったの。
結局その子しか
僕の味方をしてくれる子はいなかった
だけど、お母さんの言うとおりで
神様はそんなに意地悪じゃなかった」
:10/12/01 19:42
:D905i
:POlFmNQk
#212 [雪]
「お母さんね、
お父さんと離婚するときに
『10年後、まだ私を想っていてくれたら
また一緒になろう』って
‥そう言ったんだって。」
10年後‥。皮肉だ
俺は、神様は意地悪だと思った。
:10/12/01 19:49
:D905i
:POlFmNQk
#213 [雪]
結が何でいきなり
そんなことを話し出したのかは解らない
素敵なお母さんだよねって
そう呟いていたが
声質は異様に弱々しかった
俺らが2才の時に離婚
それから10年後は‥12
俺らの母親が命を落としたのは
約束の年の‥たった1年前
:10/12/05 00:27
:D905i
:cy9k1HSQ
#214 [雪]
「なんか‥話がめちゃくちゃだ(笑)
何言いたかったんだろ、僕」
自分に呆れたように笑った
「海‥?起きてるんでしょ?」
「あぁ‥うん」
愛おしそうに大事そうに
母の写真をいつも眺めていた
急に老いぼれだ父の姿が目に浮かんだ
:10/12/05 00:32
:D905i
:cy9k1HSQ
#215 [雪]
愛し合ってたなら
なぜ別れなきゃいけなかったのか
それが神様が決めた運命なら
‥神様は親切か?
理解できない俺は
まだまだ子供なのだろうか。
2人が別れた原因は
後々知ることになった。
:10/12/05 00:39
:D905i
:cy9k1HSQ
#216 [雪]
「僕ね、"一般論"とか嫌いなんだ
多数派を"普通"にして
その他は"異常"扱いでしょ?
もしも"異常"が多数派になったら
今度はそれが"普通"になる。
‥そんなのおかしいよ」
「‥弱いからだろ
みんな弱いから群れたいんだ
自分が所属する場所がほしい
‥安心できる場所が。」
「じゃあ、僕は強い?」
:10/12/05 00:46
:D905i
:cy9k1HSQ
#217 [雪]
苦しそうに聞こえたその声は
いつもの笑顔の裏側の不安だった
「母子家庭で育って、母親が死んで
今時高校行ってなくて、体売って
‥自分の手首切ることしか
生きてる実感が湧かないような僕は
‥異常でしょ?僕は強い?」
きっと見えないところで
ずっと結は助けを求めてた
:10/12/05 00:50
:D905i
:cy9k1HSQ
#218 [雪]
「あぁ‥強いさ」
俯いた結を下から眺めれば
きつく唇を噛んでいて
手を伸ばして軽く頭を撫でれば
呆気なく崩れた
「少なくとも、俺なんかよりずっと」
独り言のようにそう付け足した
:10/12/05 01:03
:D905i
:cy9k1HSQ
#219 [雪]
世間体ばかり気にして
目の前にある愛おしい存在を
認めることができない‥
同性を愛することも
実の弟を愛することも
こんなに躊躇って、
ただただ罪悪感だけが生まれるのは
全部‥この世の中のせいだと
今にも投げ出してしまいそうな‥
「俺なんかより‥ずっと」
:10/12/05 01:08
:D905i
:cy9k1HSQ
#220 [雪]
腕の中にすっぽり収まって
ガキみたいにわんわん泣いて
いつの間にか静かになる
「‥何歳児だよ」
思わず口元が緩む
甘えたい盛りに大して甘えられなくて
子供らしく居られなかった
15、6で大人の裏の世界を見て
まだ未熟だったこの体は
‥一体何を思ったのだろう
:10/12/05 01:13
:D905i
:cy9k1HSQ
#221 [雪]
「ちっせぇなー‥」
一回り小さな体は
細くて繊細な線の集まりで
髪から香る匂いがやけに愛おしい
当たり前だけど
俺と同じ匂いだと思ったら
お揃いに喜ぶ中坊のガキみたいに
はしゃぎたくなった
:10/12/05 01:18
:D905i
:cy9k1HSQ
#222 [雪]
耳元に唇を寄せて
恥ずかしながら愛の言葉を囁いてみた
起きて欲しいような、欲しくないような
"好き"と"愛してる"の使い分け方が
未だによくわからない
何となくしっくりくるから
「‥愛してる」
もう一度囁いた
:10/12/05 01:22
:D905i
:cy9k1HSQ
#223 [雪]
―――――‥
時に神様は残酷で
それを僕らはよく知っている
いつだって僕らは試されてる
‥そんな気がするんだ
:10/12/06 00:23
:D905i
:.1jpaoqQ
#224 [雪]
「いってらっしゃい♪」
「ん、行ってくる」
玄関の段差で
少しだけ目線の高さが近づく
それでも結のがちっさい
さっきまで俺の腕ん中で寝てて
きれいないつもの目も腫れぼったい
:10/12/06 00:29
:D905i
:.1jpaoqQ
#225 [雪]
「海‥」
時々ドアノブに手をかけるあたりで
後ろから呼び止められる
だけどいつも"気を付けてね"って
‥たったそれだけ
「遅かったら、先食べてていいからな」
会話がまるで夫婦
将来俺はこんな生活を送るのだろうか
‥結でしか想像できなかった。まじで
:10/12/06 00:34
:D905i
:.1jpaoqQ
#226 [我輩は匿名である]
あげ!
:10/12/09 01:13
:SH02A
:j2oDi10c
#227 [雪]
>>226
あがってる(´;ω;`)嬉しい!
いつもいつもありがとうございますっ
不定期更新で申し訳ないです(;_;)
励みになりますっ ^^*
>>226さんのためにも
頑張って更新しちゃいます!
:10/12/09 23:26
:D905i
:Y0/4P.Mk
#228 [雪]
西風が吹いていた。
マフラーに鼻下まで顔をうずめる
「さっむ‥」
寒いと言って何になるんだろう
サムサムサムサム言って、
外国で言ったら振り向く人いるんかな?
くだらない事ばかり考える。
寒いのは嫌いなんだよなぁ‥
暑いのも嫌いだけど(笑)
適温が一番。そりゃそうか
:10/12/09 23:32
:D905i
:Y0/4P.Mk
#229 [雪]
駅のホームに立つと、
何人か知り合いを見つける。
だけど、正直めんどい
糞寒いのに、俺には笑顔なんか振りまけねぇ
だから気付かれないように
さらに深く顔をうずめた。
マフラーの温かさと結の温かさは
当たり前だけど、同じではなかった
:10/12/09 23:36
:D905i
:Y0/4P.Mk
#230 [雪]
電車の吊革の向こうの
ピンクのキャピキャピした広告が目に入る
あぁ‥。アイツの大学か。
"入試日程・出願期間"
もうそんな時季かぁ‥
焦りに焦ってる高校生を想像したら
なんだか可笑しくて、
少しだけ口元が緩んでしまった
:10/12/09 23:40
:D905i
:Y0/4P.Mk
#231 [雪]
"〜大学で女性らしさを磨こう!"
女性らしさ‥ねぇ
会いたいとは思わない。
浮気した女なんかに未練はない。
あの時の、許してくれるだろうという
期待に満ちて潤んだ瞳を思い出す。
馬鹿馬鹿しすぎて、笑っちまうよ
:10/12/09 23:44
:D905i
:Y0/4P.Mk
#232 [雪]
噂をすれば何とやら。
駅前の大きな柱の前に
アイツは立っていて、
少しして"アイツ"もやって来た
:10/12/09 23:47
:D905i
:Y0/4P.Mk
#233 [雪]
「修也!遅いよーっ」
「わり、電車遅れててさぁ」
2人は当たり前のように腕を組む
まるで恋人のようだった
"恋人のようだった"だけであって
アイツらは所謂セフレだと言う。
修也がそう言っていた
:10/12/09 23:50
:D905i
:Y0/4P.Mk
#234 [雪]
"彼女ってなると、何かと面倒だし"
一応人の女に手を出したわけで
中途半端に奪われた気がして
なんだかその時はイラついた。
恋人じゃない奴と繋がるって
どういう気分なんだ?
俺には気持ち悪いとしか思えない
:10/12/09 23:53
:D905i
:Y0/4P.Mk
#235 [雪]
友梨からアド変の連絡が来て
ついでに報告を受けた。
"修也と付き合うことになったよ"
惨めで、可笑しかった。
男と女なんて所詮そんなもんだろ?
町でカップルを見かけるたび
俺は嫌悪感と嘲笑したい気持ちで
腹の奥がむずがゆかった
:10/12/09 23:57
:D905i
:Y0/4P.Mk
#236 [雪]
彼女のいる男にアンケートを取ったらいい
"もし今の彼女が妊娠したら
あなたは結婚しますか?"
何%が"イエス"と答えるだろうか
そんなことを考慮して
腰を振る男は果たしているだろうか
そんなことを思う俺は
結婚したくてセックスをしたことはない
ただ快楽だけを求めてた
:10/12/10 00:11
:D905i
:Dx5Kyx0I
#237 [雪]
同じ質問を女にもしてみたら
それは一目瞭然だろうな。
愛されてると錯覚している
めでたい女がうじゃうじゃいる
ひとつの命をかけてまでするんだ。
快楽の欲求の他ないだろう?
愛だなんだと美化する奴に
大抵ろくな奴はいないじゃないか。
:10/12/10 00:15
:D905i
:Dx5Kyx0I
#238 [雪]
"友梨‥愛してる"
簡単に口にして、腰を打ちつけた。
快楽の波に襲われて、満足した。
ろくな奴はいない。俺が実例だ
:10/12/10 00:17
:D905i
:Dx5Kyx0I
#239 [雪]
女の子が嫌いになったわけじゃない
ただ、男女の関係に疲れたみたいだ。
本気で誰かを愛したくなった。
:10/12/10 00:19
:D905i
:Dx5Kyx0I
#240 [雪]
―――――‥
「んっ‥あ、はぁ」
生ぬるい声が響く
潤んだ瞳がこちらを捉えたようだ
「あぁん‥海く、ん‥ひぁ」
手を動かすたびに
ぴちゃぴちゃと水音を立てた
:10/12/10 00:22
:D905i
:Dx5Kyx0I
#241 [雪]
「ん‥んんっ‥はっあぁあ」
演技かと疑うくらいの喘ぎ声と
自分の腕を動かすテンポが徐々に速まる
「海くんっ‥あぁ‥んっ」
二本の指が、
ぎゅっと締めつけられたのがわかった
:10/12/10 00:25
:D905i
:Dx5Kyx0I
#242 [雪]
大きく仰け反った体は
一定感覚でぴくりと跳ねる。
嫌悪感に満たされて
すぐに指をひん抜いた。
指先が気持ち悪かった。
「ねぇ‥真由美ちゃん」
内股をすり合わせて
火照った頬がなぜか懐かしい
:10/12/10 00:29
:D905i
:Dx5Kyx0I
#243 [雪]
「‥っはぁ」
彼女はまだ目を細めて浸っていた
「‥海の名前、呼ぶのやめて?」
ティッシュを数枚取り出して
分泌された液体を丁寧に拭き取る
長時間愛撫したせいか
指はだらしなくふやけていた
:10/12/10 00:33
:D905i
:Dx5Kyx0I
#244 [雪]
「‥ヤキモチ?」
「え‥?」
最初、意味がわからなかった
僕が海を好きだと言うことが
バレているのかと思った
「"結って呼べ"って?」
彼女は体を起こし
何事もなかったかのように
乱れた下着を整える
切り替えが早いのは
男だけじゃないみたいだ‥
:10/12/10 00:37
:D905i
:Dx5Kyx0I
#245 [雪]
「そうじゃな‥」
そこで僕は口を止めた
"そうじゃなくて、
海の名前を呼ばないでほしい"
別に海以外の名前なら
誰の名前だって構わない
だけど、"海"だけは嫌だった
海は‥僕のなのに
:10/12/10 18:26
:D905i
:Dx5Kyx0I
#246 [雪]
「何?」
彼女の手がこちらにのびて
僕のベルトに手をかける
金属の音が情けなく響いた
「‥あ、そう‥うん、海じゃないから」
どっちとも取れないような返事をすると
"そ"とあっさり受け入れられる
妙にもやもやして、胃の辺りが重いよ
:10/12/10 18:32
:D905i
:Dx5Kyx0I
#247 [雪]
真由美ちゃんの手が止まる
少しだけ‥間に合わなかった
思わず「あ‥」と漏らす
躊躇いながらも自らの恥部に目をやると
だらしないままだった
まるで‥
「これじゃぁ、ただのお飾りね」
図星だ。‥急に申し訳なくなった
:10/12/10 18:36
:D905i
:Dx5Kyx0I
#248 [雪]
「ごめんね‥なんか最近‥」
必死に言葉を繕おうとしても
空回りして口元が浮ついた
「‥もういらない?」
「そ‥そうじゃないよ!これは‥」
真由美ちゃん‥泣いてるの?
シーツにぽたっと一粒落ちる
じわり染みを作った
:10/12/10 18:41
:D905i
:Dx5Kyx0I
#249 [雪]
「ただ‥僕ね」
「結まで見捨てるの?」
胸がえぐられるように痛くて
なぜ泣かせてしまったんだろって
僕は自分を責めた
「見捨てないよ!
真由美ちゃんは‥僕の恩人だもん」
女神さまだよって、
昔は無邪気に笑って言ってたな‥
:10/12/10 18:45
:D905i
:Dx5Kyx0I
#250 [雪]
急に彼女は僕の肩を掴み、揺さぶった
強く、激しく揺さぶった
「どうして?!
どうしてみんなそうやって離れるの?!
どうして愛してくれないの?!」
奇声混じりの声は鼓膜を突き破りそうで
脳みそがごちゃ混ぜになりそうだった
「あたし何かした?
ねぇ結‥教えてよ‥
生まれて来なければよかった?」
彼女は、大人に壊されたんだ
:10/12/10 18:50
:D905i
:Dx5Kyx0I
#251 [雪]
僕の視界は一転して、天井が見えた
お腹のあたりに重みを感じる
涙でぐちゃぐちゃになった顔で
彼女は必死に何かを訴えてた
だけど何も聴こえなかった
ただ頬に走る痛みだけが残った
僕も‥壊れちゃいそうだよ
:10/12/10 19:05
:D905i
:Dx5Kyx0I
#252 [雪]
――――‥
鍵‥開いてる。
なんだか泥棒みたいじゃんか、俺
なぜか忙しなくなる心臓を抑えて
明かりのついていない部屋に入る
「‥た、だいま」
明かりをつけて一応言ってみたものの
あの可愛い愛犬は顔を出さなかった
:10/12/10 19:08
:D905i
:Dx5Kyx0I
#253 [雪]
"おかえり〜♪"って吹っ飛んでくるのを
密かに楽しみに帰ってきてるんだなって
自分のあほみたいな本心を知る。
「‥ばか」
自分にそう呟いた
どっか隠れてんじゃないか?
脅かすために、どっかに‥
:10/12/10 19:11
:D905i
:Dx5Kyx0I
#254 [雪]
結の部屋を覗く
なんだ‥やっぱり
入ってドアのすぐ横に
愛犬はうずくまってた。
驚かそうとしてたのに
疲れきって寝ちまった‥ってとこか?
呆れ笑いがでる
想像したら結らしくて、微笑ましかった
:10/12/10 19:14
:D905i
:Dx5Kyx0I
#255 [雪]
「‥い」
何か聞こえる‥
「ごめ‥なさい、ごめん‥い」
自分がお気楽人間すぎて冷や汗をかいた
こいつは、犬じゃない。
感情を持った人間だ
:10/12/10 19:16
:D905i
:Dx5Kyx0I
#256 [雪]
思わず、言葉を失う
ぺたんと壊れた人形のように座り込んで
若い女の子が肌で寝そべってたり
かと思えば、密部だけが撮された写真集を
右手でペラペラと捲り‥凝視している。
左手は‥股間に添えられていた
:10/12/10 21:11
:D905i
:Dx5Kyx0I
#257 [雪]
「‥ごめ、なさい‥ごめ」
なんだ、結も思春期の男子と
何ら変わりはなかったんだ。と
安堵する反面
俺に対する"好き"は
やっぱり兄としてだったのか。と
既にエンジンがかかってしまった俺は
素直肩を落とした
行為中は邪魔しちゃいかん。
男同士の暗黙の了解だろう
:10/12/10 21:15
:D905i
:Dx5Kyx0I
#258 [雪]
しかし、
呪文のように結の口から零れる言葉が
気になって気になって仕方なかった
"ごめんなさい"
確かにそう言っている
:10/12/10 21:16
:D905i
:Dx5Kyx0I
#259 [雪]
俺はバカだ。異常だ。
実の弟の自慰行為から目を放せない
末期だ‥変態だ
しかし添えられた左手は
ぴくりとも動かない。
なんかの宗教か?新しい遊び?
さらに訳が分からなくなり唖然とする
:10/12/10 21:19
:D905i
:Dx5Kyx0I
#260 [雪]
「‥か、海。おかえり」
気付けば目が合っていた。
結にピントを合わせる
「あ、あぁ‥ただいま」
やべ‥。
動揺を隠せない
「あ‥あは、恥ずかしいよっ
見ないで見ないでっ!」
急に照れくさそうに笑い
写真集を閉じて隅に置いた
:10/12/10 21:23
:D905i
:Dx5Kyx0I
#261 [雪]
「あ‥わりぃわりぃ(笑)
物珍しいからさぁ‥ついつい」
つられて笑う、必死の作り笑い
「海、お風呂は?先入っていいよ!」
「あぁ‥さんきゅー」
なぜか急に沈黙が怖くなる
結も同じ気持ちな気がした
:10/12/10 21:29
:D905i
:Dx5Kyx0I
#262 [雪]
"顔どした?"って聞こうとしたら
早く入れと背中を押されてしまった
あの色白のきれいな顔
頬の辺りが赤く腫れていた
1人で全部を抱え込もうとしてる気がして
不安でやるせない気持ちになる
:10/12/10 23:13
:D905i
:Dx5Kyx0I
#263 [雪]
「‥っはぁー」
大きなため息をひとつ。
湯気に混じって昇ってく
この気持ち、どこに向けたらいーのかねぇ
結が俺のこと好きだって言ったから
俺は結を好いてんのか?
好きって言われなかったら
いちいち反応することもなかったのか?
:10/12/10 23:20
:D905i
:Dx5Kyx0I
#264 [雪]
今朝アイツらを見て思ったのは
体の繋がりなんかなくたって
誰かを愛することは可能で
互いが信頼し合えるのも可能だって事
相手が異性だろうが同性だろうが
どっちにしろ俺にはその自信があった
結相手なら、本気で愛せると思った
:10/12/10 23:23
:D905i
:Dx5Kyx0I
#265 [雪]
「結、それ何?」
バスタオルを頭からかぶって
雑に髪を拭きながら
同じようにしてる結を見た
「え?‥真似っこ」
俺にはない八重歯を見せて笑う
「そうじゃなくて、顔」
:10/12/17 15:25
:D905i
:ic0DbgC.
#266 [雪]
「顔?‥何のこと?」
とぼけた面して冷蔵庫に向かい
コーラをコップに注ぐ
プシュウっと情けない音がして
シュワシュワと染みる音がした
「ヤンキーにでも絡まれた?」
明らかに殴られた痕だ
しかも、何回も
:10/12/17 15:29
:D905i
:ic0DbgC.
#267 [雪]
「階段踏み外しちゃって‥」
情けなく眉を下げて
炭酸にやられた目は少し潤んでた
「‥あんま、無理すんなよ」
「別に、無理なんかしてないよ」
「一応‥2人で暮らしてんだから
‥共同生活なんだからさ」
「うん‥そうだね」
結は空のコップを静かに置いた
俺はそれ以上何も言えなかった
:10/12/17 15:34
:D905i
:ic0DbgC.
#268 [雪]
―――――‥
「あんちゃん!あんちゃん!」
学校帰りにその辺をふらついて
変な店を見つけるのが好きだったりする
「ねぇあんちゃん!」
"杏"って名前、
なんとなく可愛らしくて
それも好きだったりする
:10/12/17 15:39
:D905i
:ic0DbgC.
#269 [雪]
「ちょい!」
背後から何かに襲われ
肩を掴まれてやっと気づく
あんちゃんは杏ちゃんじゃない
「あんちゃん、無視よくない!」
あんちゃんは俺を指してた
"そこのあんちゃん"のようで
:10/12/17 15:42
:D905i
:ic0DbgC.
#270 [雪]
「‥」
警戒の目で相手を睨む
その男は不思議な雰囲気だった
「ウチで働かない?」
「いや‥そういうの興味ないんで」
ホストの誘いは何度か受けたけど
みんな派手な長髪でジャラジャラアクセサリー
きつい香水に目が眩んだ
:10/12/17 15:45
:D905i
:ic0DbgC.
#271 [雪]
「え、なんで?」
「え、なんで‥?」
そのくせこのとぼけた奴は
パーマだか天パーだかわからん
寝癖かもしれない黒髪に
放置プレイな髭にひょろい体型
ホームレス?何こいつ
てか、なんで?って何だよ
:10/12/17 15:49
:D905i
:ic0DbgC.
#272 [雪]
アクセサリーと言えば
ポケットからはみ出た
わけのわからん人形のストラップだけ
野暮ったい感じがにじみ出ていた
「何で嫌?何がダメ?」
まるで別れを拒む重い女のように
動揺しながらの質問責め
"あんたが怪しいから"とは
さすがに可哀想で言えなかった
:10/12/17 15:52
:D905i
:ic0DbgC.
#273 [雪]
「何かもうバイトやってんの?」
「まぁ‥パスタ‥」
「パスタ?!」
大学入ってから始めたバイトで
単に給料がいいから始めて
まかないも食えるしうまいし
今はたまに期限切れそうな食材貰って
結に飯作ってもらったり
何かとお得なバイト
:10/12/17 16:01
:D905i
:ic0DbgC.
#274 [雪]
「パスタかぁああ‥」
「パスタです」
うーんと唸る男は
何かぶつぶつと言っていた
‥そろそろ帰りたい
「よし、そこ辞めちゃおう!」
「は?」
あまりにもあっさりすぎて
一瞬頷きそうになっちまった
:10/12/17 16:04
:D905i
:ic0DbgC.
#275 [雪]
実は辞めようかなやんでたとこでもあった
いろんなバイトしてみたいし
最近人間関係に疲れてきたのが本音
だけどいろいろ助かってるし
結のことも考えると
下手に低賃金なのは無理だし
時間とか考えると抜け出せなかった
「‥てか、何の店?」
「セレクトショップ!」
‥無理っぽい
:10/12/17 16:08
:D905i
:ic0DbgC.
#276 [雪]
「雑貨とか服とかーアクセサリーとか
それは1階で、2階はお茶が飲める」
2階建てなんだ‥
だけどやっぱ無理っぽい
「何で俺?」
「イメージにぴったりだから」
「‥」
「特別給料高めにするからさぁ」
現実、世の中は金だと思うわけで
:10/12/17 16:11
:D905i
:ic0DbgC.
#277 [雪]
――‥
「えぇ!いいじゃんいいじゃん!」
真っ白なシーツが宙を舞う
ふわっと膨れて、しぼむ
「お洒落なお店って憧れるなー」
ベッドメイクしてる結は器用にそれをこなす
「給料よくて、お洒落で
店長さんもいい人そうで、うん、いい」
:10/12/17 18:02
:D905i
:ic0DbgC.
#278 [雪]
「いや‥でも食料は貰えねぇよ?」
ちょこまかと動く結を
胡座をかいて眺める俺
「んー‥。」
やっぱり食料は大事だ
こいつは食べ物に目がない
「でも蹴るのは勿体ないよー
試しにやってみたら?」
:10/12/17 18:04
:D905i
:ic0DbgC.
#279 [雪]
「僕もいい加減
ちゃんとした仕事、探そうと思って」
にっと笑う
"ちゃんとした仕事"と言うのはつまり
"ちゃんとしてない仕事"があるのを意味して
結はそれを断ち切ったと取れる
「そっか‥助かる」
できたてのベッドにダイブする
洗剤の香りは妙に落ち着く
:10/12/17 18:09
:D905i
:ic0DbgC.
#280 [雪]
"じゃあ、試しに"と返事をした
先に"合わなかったらすみません"と
断りの言葉も伝えておいた
今のバイトは
少しシフトを減らすとして
あとは、様子見
:10/12/17 18:11
:D905i
:ic0DbgC.
#281 [雪]
「海ー?」
「ん‥」
いつの間にか夢心地で
瞼が重くなり、呼吸もペースを落とす
「デート、断った?」
「ん‥ん」
なんとなく入ってくる声は
ぼやっと輪郭をなくして
受動的に聞くかんじだった
:10/12/17 18:14
:D905i
:ic0DbgC.
#282 [雪]
前に結に聞いた"断り方"のことだ
「どうして?」
「ん‥無理だから」
枕に顔を押し付けて
自分の低い声が少し枕を震えさせる
「どうしても?」
「‥いや、うぅん」
頭がうまく回転しなくて
答えが出てこない
:10/12/17 18:18
:D905i
:ic0DbgC.
#283 [雪]
理由がどうこうじゃなく
体が拒否してた。たぶん
「真由美ちゃん‥」
「‥ん」
休憩中の脳が、その名前に反応した
なんで結が名前知ってんの?
:10/12/17 18:21
:D905i
:ic0DbgC.
#284 [雪]
「知り合い‥だっけ?」
やっとの思いで言葉を引っ張り出す
ちゃんと喋れてない気がした
「え‥あ、
海が、名前言ったんでしょ?」
「‥そっか」
俺が名前出してたんだっけ
妙に納得して、俺の脳は満足したのか
そのまま、また休憩を挟んだ
:10/12/17 18:30
:D905i
:ic0DbgC.
#285 [雪]
―――‥
"海くんには、この事言わないで"
当たり前だよ
‥言えるはずないんだ
こんな関係がもう何年も続いてること
真由美ちゃんは僕の初恋の人だってこと
真由美ちゃんが僕を救ってくれたこと
:10/12/17 18:45
:D905i
:ic0DbgC.
#286 [雪]
本当はこんな関係断ち切りたいこと
だけど、そんな勇気が僕にはないこと
「‥」
隣で静かに寝息を立てて
無防備に寝てる君が好きってこと
そっと髪に触れて、すぐに手をどけた
:10/12/17 18:47
:D905i
:ic0DbgC.
#287 [雪]
まだ何人かの女の子と連絡を取ってること
お金をもらってること
携帯が鳴ると震えが止まらなくなること
ひとりになると手首を切ってしまうこと
自分がすべてに依存して
すべてに存在価値を見いだすのに必死なこと
たくさん黙ってることがある
たくさんありすぎて、辛い
:10/12/17 18:56
:D905i
:ic0DbgC.
#288 [雪]
"共同生活なんだからさ"
この辛さを分け合ったところで
何もいいことがないのは
バカな僕にでも予想はできる
大切な、たった1人のお兄ちゃん
大切な‥大好きな人
大好きだから、その優しさに甘えられない
だけど‥その優しさがたまらなく嬉しい
:10/12/17 18:59
:D905i
:ic0DbgC.
#289 [雪]
僕は、不良品だ。
海と同じ時に、同じ親から生まれたのに
海は、大学にトップで入って
いろいろ免除されるようなエリートで
僕は、高校にも行ってないようなバカで
海は、真面目にバイトして
僕は、体を売って裏の世界に生きて
どうしてこんなにも違うんだろう
こんな不良品を、愛してくれる人なんて
‥いるはずがないんだ
:10/12/17 19:03
:D905i
:ic0DbgC.
#290 [雪]
自分の片割れがいるって知って
救われた気がした
独りじゃないって‥思った
だけど
本当に片割れなのか疑いたくなるほど
生きてる世界が違くて
触れたいのに、抱きしめたいのに
許されない気がするよ
:10/12/17 19:06
:D905i
:ic0DbgC.
#291 [雪]
「海‥」
こちらに向いた顔をみつめる
目の奥が急に熱くなった
「‥変わりたいよ」
君に見合う人間になりたい
できるなら、女の子に生まれて
たくさんたくさん勉強したいよ‥
「ごめんね」
口元に指を伸ばす
生暖かい空気に触れる
:10/12/17 19:09
:D905i
:ic0DbgC.
#292 [雪]
「‥ごめんね」
こんな弟で‥ごめん
僕は社会に背くことしかできない
この世の"失敗作"だ
:10/12/17 19:11
:D905i
:ic0DbgC.
#293 [雪]
涙が零れて我に帰る
伸ばした指を引っ込める
‥明日が来るのが怖いよ
秒針の音に胸が痛む
いつか僕は、
粉々になって壊れてしまう気がした
:10/12/17 19:14
:D905i
:ic0DbgC.
#294 [雪]
――――‥
「いやー、助かる!」
アンティークチックなその店は
どこか懐かしい香りがした
独特の暖かい雰囲気で
どこから仕入れたのかわからないような
不思議な雑貨が並ぶ
服はどうやら女の子向けがメインのようだ
今までにない魅力を感じた
:10/12/17 20:26
:D905i
:ic0DbgC.
#295 [雪]
「冴島みたいなステキ男子が来れば
客も増えるかなぁーって」
小物をきれいに並べながら
いきなり冴島と呼ぶこの男は
なんとなくこの洗練された空間に
似つかわしくない気もする
「看板息子ってやつ?
ほら、そういうクールキャラって
女の子に人気だし、売上向上の予感♪」
こんなアホみたいなのが
こんなお洒落なものを好むのか‥
:10/12/17 20:33
:D905i
:ic0DbgC.
#296 [雪]
「他に‥スタッフ」
「あ?いないよ?君が初スタッフ」
は。
何もかもが唐突で
この人は俺をどうしてくれるんだ
呑気に鼻歌なんか唄ってるなや
:10/12/17 20:37
:D905i
:ic0DbgC.
#297 [雪]
「まだ始めたばっかでさぁ(笑)
やっと夢叶って、浮かれてんの」
眉を下げて呆れたように笑ってた
なぜかそれで
この人はいい人だと悟った
前髪でよく見えなかった目も
優しそうな雰囲気で
何より目尻にできたシワが
それを物語ってた
:10/12/17 20:41
:D905i
:ic0DbgC.
#298 [雪]
「へぇ‥店長いくつなんですか?」
「店長って、なんか格好良くなーい」
マスターがいいだの、オーナーがいいだの
何やかんやとぼやき、
ついでのように"三十路"と答えた
相応だなとも思うけど
もう少し若そうにも見える
:10/12/17 20:45
:D905i
:ic0DbgC.
#299 [雪]
「こうやって自分の店持って
マイペースに平凡に生きたかったわけ」
"あげる"と手渡されたのは
奇妙なあのストラップだった
「なんなんすか、コレ」
「お揃い♪スタッフの証」
どっかのアイドルみたいにウインクして
一服してくると姿を消した
‥変な奴に捕まった
:10/12/17 20:53
:D905i
:ic0DbgC.
#300 [雪]
「2階‥」
階段の前で立ち止まり、見上げた
なぜか秘密基地に行くような
そんなわくわく感に駆られ
一歩、また一歩と踏み出す
ミシっと小さく音がする
その音にまた、俺は盛り上がる
「お‥」
:10/12/17 21:17
:D905i
:ic0DbgC.
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