<<来栖>>
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#1 [nanoka] 09/10/18 00:08

怖い話を観たり聞いたりするのは好きですか?

――はい。

では、あなたは霊感がある方ですか?

――いいえ、全く。


#500 [nanoka]

(この人…ほんとに幽霊だよな?いわゆる)

数珠が反応していなかったら普通のおばさんにしか見えない。

どうしたものかと悩んでいるうちに彼女に手を握られた。

⏰:09/11/12 17:17 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#501 [nanoka]

氷みたいに冷たく冷えきった手だった。

「というわけで宜しくね」

途中から全く彼女の話を聞いていなかった俺は何のことだかわからなかった。

⏰:09/11/12 17:19 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#502 [nanoka]

「よ…宜しくって?」

「だから腕時計!探してくれるんでしょ?あれがないと私カズに会いに行けない…」

怒ったような口調だった彼女はカズという名前を口にした途端暗い表情になった。

⏰:09/11/12 17:21 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#503 [nanoka]

「私がもう死んでるってことはわかってるんでしょ?カズも一緒に死んだの。事故だった」

恐らくさっき一度したであろう話を彼女はもう一度してくれた。

「カズが誕生日にプレゼントしてくれた腕時計がないの」

⏰:09/11/12 17:25 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#504 [nanoka]

「車の事故だった」

「デジタルじゃなくてアナログの時計。ベルトのとこが茶色い革で凄く気に入ってたの」

「事故にあった日の朝、家を出る時にはつけてた」

脈絡のない話だったけど、大体の内容は理解できた。

⏰:09/11/12 17:27 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#505 [nanoka]

とにかくその腕時計が見つからないことには、彼女はカズに会わせる顔がないらしい。

「探せって言われてもどうやって…」

「朝はあったのよ。確かに腕にはめたから」

⏰:09/11/12 17:33 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#506 [nanoka]

「じゃあその日に行った場所を探せば見つかるかもしれないってことですね」

俺の言葉に彼女は笑顔を見せた。

「探してくれるの!?」

「今あなたが探せって…」

⏰:09/11/12 17:35 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#507 [nanoka]

言い終えないうちに彼女が俺の言葉を遮った。

「待ち合わせしたのは駅前の喫茶店。ほらあそこの」

彼女が指差した喫茶店は、俺も何度か行ったことのある店だった。

⏰:09/11/12 17:37 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#508 [nanoka]

「それから…パチンコ!」

彼女の言葉に俺はほんとに幽霊なのかという忘れかけていた疑問を再び抱いた。

「そこにはカズの車で行ったの。デルジャン777って隣の市のお店」

⏰:09/11/12 17:39 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


#509 [nanoka]

「すごい名前ですね」

幽霊と話しているというのに不覚にも笑ってしまった。

「笑ってないでメモとかしなくて大丈夫?」

彼女に指摘され、俺は携帯の新規メールの本文のところにその店名を打ち込んだ。

⏰:09/11/12 17:42 📱:P906i 🆔:RPC8pAAU


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