太陽と夏の空
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#391 [ラビ]
グランドを見守るかのように遺影が置かれ、
スパイク、グローブ、帽子もキレイに置かれていた。
達矢「なぁヒロキ、お前だったらどう投げる?」
俺は思わず声をかける。
:06/09/15 22:05 :W32SA :PHEXLJ0A
#392 [ラビ]
当然、返答はあるわけないが、
“達矢は達矢の投げたいように投げればいいさ”
と、笑って言うヒロキの顔が浮かびあがる。
“達矢のやりたいように”
それは、ヒロキがいつも口癖のように言ってた言葉だ。
:06/09/15 22:08 :W32SA :PHEXLJ0A
#393 [ラビ]
俺が投球のことでヒロキに相談すると、
ヒロキはいつも決まってそう言った。
前までは『アドバイスになってねぇよ』ってコントみたいになってたけど…
今思えばこれ以上ない最高のアドバイスだった。
:06/09/15 22:11 :W32SA :PHEXLJ0A
#394 [ラビ]
達矢「お前に相談しても返ってくる返事は予想出来るからダメだな(笑)」
俺は笑ってヒロキの遺影につぶやいた。
達矢「俺は俺のやりたいように…か…」
俺はヒロキの顔を思い出しながらぼんやりと考えていた。
:06/09/15 22:18 :W32SA :PHEXLJ0A
#395 [ラビ]
こうしたらいいんじゃない?とか
下手に自分の感覚を押し付けて言うよりも
“やりたいようにやればいい”
と、自由な感じで言われると、困ったことは困ったが、
心の緊張は溶けていった。
確かに、「こうしたらいい」というアドバイスは大切だが
悩みやすい俺には、逆に「やりたいように」と言われたほうが良かったのかもしれない。
:06/09/15 22:26 :W32SA :PHEXLJ0A
#396 [ラビ]
きっとヒロキは、そんな俺の性格を知ってて
“やりたいように”と言ったんだ。
ホントに…
お前は俺の一番の理解者だったよ…。
:06/09/15 22:32 :W32SA :PHEXLJ0A
#397 [ラビ]
「バッターアウト!!」
審判の叫び声に俺はハッとした。
スリーアウト…チェンジだ。
俺は立ち上がってグローブをはめた。
達矢「やりたいようにやってくるぜ」
俺はヒロキの遺影に向かって笑い、ベンチを出た。
:06/09/15 22:40 :W32SA :PHEXLJ0A
#398 [ラビ]
試合は進み、後半戦に突入。
7回の裏…
愛川が1点を先制し、そのまま流れをつかみ、もう1点を追加し2対0。
「残り2回を守りきれ」
監督はそうとだけ指示を出し、8回の表に入った。
:06/09/16 14:27 :W32SA :il3exTVU
#399 [ラビ]
2点を追い掛ける高井高校。
「ストライク!!バッターアウト!!」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…
球場が揺れるような大歓声。
俺は高井の攻撃を抑え、またひとつ三振を奪った。
8回の表、高井の得点は0。
そして迎える最終回。
この回を守りきるだけ…。
:06/09/16 15:08 :W32SA :il3exTVU
#400 [ラビ]
さすがに俺もこの回は緊張して体がガチガチだった。
マウンドで足がふるえる。
…情けねぇ…この場面で投げれなかったら
ここに立った意味がねぇ…。
力を入れ緊張をごまかす。
そしてキャッチャー目がけてボールを投げた。
:06/09/16 22:12 :W32SA :il3exTVU
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