太陽と夏の空
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#385 [ラビ]
…ここが甲子園。



…ここが甲子園のマウンド。



いつもいつもテレビでしか見れなかった。


いつも誰かが投げてるのを見てるしかなかった。


でも…


今投げるのはこの俺だ。



甲子園のマウンドは


すごく居心地が良かった。

⏰:06/09/15 21:33 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#386 [ラビ]
父さんも



何年か前、ここに立っていたんだ…。


そう思うと同時に


ヒロキのことが頭に浮かんだ。



…ここは…



…本当はヒロキが立つ場所だった。

⏰:06/09/15 21:36 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#387 [ラビ]
…俺が立ってていいのか?



いつも後ろ向きに物事を考えてしまう俺の悪い癖。


でも、この日は違った。




達矢「俺じゃなきゃダメだろ」


ボソッとつぶやき、胸を押さえた。



…ヒロキに変わって投げれる奴は俺しかいねぇ。



そう自分にいい聞かせて白球を握りしめた。

⏰:06/09/15 21:44 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#388 [ラビ]
…5回の裏。


試合は両者一歩も引かず、0対0のまま5回を迎えた。


そして愛川高校の攻撃。



相手の長身ピッチャーから振り降ろされる速球に


愛川はなかなか手が出なかった。


それに、相手高校の守備はハンパなかった。

⏰:06/09/15 21:51 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#389 [ラビ]
さすが守備の上手さが有名なだけある。


いいとこに打ったと思っても


ファインプレーの連続。



あっというまにアウトにされてしまう。



「さすがだな…」



俺は全国のレベルの高さを改めて実感した。

⏰:06/09/15 21:54 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#390 [ラビ]
ツーアウト ランナー無し。


…この回も得点0で終わりそうだ。


そう思い守備の準備をしようとベンチ内を見回していると…


ヒロキのユニフォームが目に入った。



ヒロキのユニフォームはキレイにたたまれ、


ベンチの隅に置かれていた。

⏰:06/09/15 21:59 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#391 [ラビ]
グランドを見守るかのように遺影が置かれ、


スパイク、グローブ、帽子もキレイに置かれていた。




達矢「なぁヒロキ、お前だったらどう投げる?」



俺は思わず声をかける。

⏰:06/09/15 22:05 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#392 [ラビ]
当然、返答はあるわけないが、



“達矢は達矢の投げたいように投げればいいさ”



と、笑って言うヒロキの顔が浮かびあがる。



“達矢のやりたいように”



それは、ヒロキがいつも口癖のように言ってた言葉だ。

⏰:06/09/15 22:08 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#393 [ラビ]
俺が投球のことでヒロキに相談すると、


ヒロキはいつも決まってそう言った。



前までは『アドバイスになってねぇよ』ってコントみたいになってたけど…



今思えばこれ以上ない最高のアドバイスだった。

⏰:06/09/15 22:11 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


#394 [ラビ]
達矢「お前に相談しても返ってくる返事は予想出来るからダメだな(笑)」


俺は笑ってヒロキの遺影につぶやいた。



達矢「俺は俺のやりたいように…か…」



俺はヒロキの顔を思い出しながらぼんやりと考えていた。

⏰:06/09/15 22:18 📱:W32SA 🆔:PHEXLJ0A


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