太陽と夏の空
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#51 [ラビ]
運命の時…。
そして読みあげられたピッチャーの名前…。
監督「先発〜、宮本ヒロキ」
ヒロキ「っ?!あ、ハイ!!」
…え?
監督…、俺は…?
俺は頭が真っ白になった。
俺が目指した先発は…
ヒロキが手にした。
:06/08/25 23:04 :W32SA :P3BsHtSo
#52 []
:06/08/26 17:43 :SH902i :Zj5YVYWA
#53 [ラビ]
イさん☆頑張りすね(≧∪≦*)b
ちょっと更新します♪
:06/08/27 16:12 :W32SA :0pInSNAI
#54 [ラビ]
「…もと…」
「…かもと!」
「おぃ!坂本!」
達矢「え?あっハイ!?」
監督「何ボーっとしてんだ?お前、ショートな」
達矢「え?あ…はい!」
俺はショートを任命された。
俺…ショートか…
まぁ出れないわけじゃないんだし、いいか。
いよいよグランドに入り、ウォーミングアップが始まる。
:06/08/27 16:20 :W32SA :0pInSNAI
#55 [ラビ]
そして試合開始…。
両校が並んで挨拶をする。
応援の歓声の中、俺はショートの守備位置に立った。
…スパーン!
目の前ではヒロキがピッチング練習をしている。
…相変わらずいい球投げるなぁ…。
確かに…こいつがピッチャーっていうのは納得出来る…。
俺から見ても、“宮本ヒロキ”は本当にスゴいピッチャーだって思う。
:06/08/27 21:30 :W32SA :0pInSNAI
#56 [ラビ]
そんなことを考えていた時…。
「あ!あれ宮本ヒロキ君じゃない?!」
「ホントだぁ!!スゴぉイ!もう先発やってるんだね?!」
「そういえば、桜岡中ってもう一人スゴい人入ったって聞いたよね?」
「あ、坂本達矢君?…あれ?!ショートやってるよ?」
「うそぉ?坂本君も結構スゴいピッチャーなのにねぇ!」
:06/08/27 21:36 :W32SA :0pInSNAI
#57 [ラビ]
…その会話を聞いた時、俺はなんか悔しかった。
長年やってきたポジション。
長い間、監督に信頼され、チームの皆にも頼りにされ、立ち続けて来たマウンド。
今…俺はそこにはいない。
…クソ。
:06/08/27 21:44 :W32SA :0pInSNAI
#58 [ラビ]
ヒロキを見てると悔しくなってきて、ふと目線を応援のほうへやった。
…!!!
そこには父さんの姿があった。
達矢「と…父さん…」
「プレイボール!!」
審判の叫び声に俺はハッとした。
…集中しなきゃダメだ。
そう思い脳みそを切り替えた。
:06/08/27 21:48 :W32SA :0pInSNAI
#59 [ラビ]
…スパーン!!
「ストライク!!」
試合はヒロキの好調な投球から始まった。
周りからは“さすが宮本”と絶賛する声があがる。
…スパーン!!
「ストライク!!スリーアウトチェンジ!!」
あっというまに表の攻撃が終わる。
…おいヒロキ…
ちょっとスゴすぎだろう…
:06/08/27 21:54 :W32SA :0pInSNAI
#60 [ラビ]
順調に試合は進んだと思われたが、相手は守備がピカイチ。
なかなか点を取らせてもらえない。
0対0のまま試合は後半戦へ突入。
8回の裏。
俺達の攻撃で、バッターボックスには4番の村上先輩が入る。
ツーアウト
ランナーなし
状況はキツイが、ここで1点でも入れないと後がキツイ。
:06/08/27 22:07 :W32SA :0pInSNAI
#61 [ラビ]
ベンチから祈るような思いで先輩を見守った。
…スパーン!
「ストライク!!」
どんどん胸が高鳴る。
…頼む…
打ってくれ…!!
そんな時…
カキーン!!
金属音が鳴り響く。
:06/08/27 22:43 :W32SA :0pInSNAI
#62 [ラビ]
…打った…!!
しかし、ボールは空高く舞い上がる。
このままキャッチされて終わりか…。
そう思った次の瞬間。
ワァァァ…
観客の歓声が止まない。
…!!
よく見ると、どんどんボールがのびていく…。
このままいけば…入る!!
相手のセンターは追い掛ける。
:06/08/28 19:32 :W32SA :pZcnvLEM
#63 [ラビ]
入れ…入れ…!!
そしてついに、相手はボールを見送った。
ホームランだ!!!
わあああああああああああああ!!!
歓声は一気に大きくなる。
ベンチの中もお祭り騒ぎ。
俺は胸が熱くなっていくのを感じた。
まだ試合は終わっていないのに、涙が出そうだった。
:06/08/28 19:36 :W32SA :pZcnvLEM
#64 [ラビ]
盛り上がった後、追加点を入れれず3アウトでチェンジ。
8回裏、1対0。
いよいよ最終回。
この回を守りきれば…
俺達の勝ちだ。
俺はまたショートのポジションに立つ。
:06/08/28 19:39 :W32SA :pZcnvLEM
#65 [ラビ]
…スパーン!
「ストライク!!」
よし、ヒロキの調子もまだ大丈夫。
このままいけば…
と思っていたその時だった。
…カキーン!!
第2投目を打たれ、打球は大きくアーチを描く。
そしてセンター前ヒット。
ノーアウト
ランナー1塁。
:06/08/28 23:06 :W32SA :pZcnvLEM
#66 [ラビ]
まぁ1塁にいるくらい大丈夫…。
すぐにアウトに出来るさ!
…そんな俺の気持ちとは裏腹に、ヒロキの球はどんどんキレを失っていった。
…カキーン!
わあああああああ…
今度は反対側のベンチが盛り上がる。
…くそっここで逆転なんかされたらたまったモンじゃねぇ!
:06/08/28 23:10 :W32SA :pZcnvLEM
#67 [ラビ]
俺達は必死でボールに喰らい付き、ようやくツーアウト。
やっとの思いで追い込んだ。
あと1人。
だが状況は厳しい…。
2アウト
ランナー1塁、3塁
このままじゃ逆転はまぬがれても
延長は避けられない。
守備のいいチームを相手に
延長はちょっと体力的にキツイ。
:06/08/28 23:13 :W32SA :pZcnvLEM
#68 [ラビ]
この1人が全てを決める…。
ヒロキもだいぶバテているようで、さっきから肩を揺らして息切れしている。
ヤバイな…。
そしてヒロキは
運命の第1球を
投げた。
:06/08/28 23:16 :W32SA :pZcnvLEM
#69 [ラビ]
…カキーン!!
鋭い金属音。
低めの強烈な打球だ。
打球は真っ直ぐ俺のほうに向かって飛んで来た。
俺がこの球をとれなかったら…
延長決定だ。
俺は精一杯手を伸ばし、思いっ切り飛込んだ。
届け!!!!
ただその思いだけで俺は手を伸ばしていた。
:06/08/28 23:24 :W32SA :pZcnvLEM
#70 [ラビ]
ズサァァァァッ…
俺は地面に転がった。
左手には…
硬いものを握っている感触。
俺は転がったまま
左手を綺麗な青空に向けて高く挙げた。
:06/08/29 11:06 :W32SA :DG9yfLs.
#71 [ラビ]
「アウト!!」
わあああああああああああああ…
観客の叫び声に混ざって、チームの皆も大声をあげる。
―試合終了。
桜岡中学校 対 緑川中学校
1対0
俺達は初の公式試合を勝利で終えることが出来た。
:06/08/29 11:16 :W32SA :DG9yfLs.
#72 [ラビ]
相手の学校と挨拶を交し、グランドを後にする。
ヒロキ「達矢!」
ヒロキが俺のところへ駆け寄ってくる。
達矢「おう」
ヒロキ「最後のナイスプレー!!ホント達矢に助けられたよ☆サンキュ♪」
達矢「お前もよく8回まで無失点で投げたよな。スゲェよ☆お疲れ様!」
俺は試合開始直前に感じていたモヤモヤをすっかり忘れていた。
:06/08/29 11:24 :W32SA :DG9yfLs.
#73 [ラビ]
↑訂正
「8回まで無失点」→「9回まで」
に訂正です(>_<)↓↓
:06/08/29 11:26 :W32SA :DG9yfLs.
#74 [ラビ]
ヒロキ「でもやっぱさ、周りの助けがあってこその無失点だからさ。オレ一人の力じゃねぇよ☆」
そんな会話をしていると、キャプテンの先輩が寄ってきた。
先輩「二人ともお疲れ☆」
ヒロキ・達矢「お疲れ様です!」
先輩「ヒロキ、お前スゴいな☆最後ちょっと疲れてたみたいだけど上出来だ☆」
:06/08/29 11:36 :W32SA :DG9yfLs.
#75 [ラビ]
ヒロキ「ありがとうございます!でも最後はちょっと皆に迷惑かけちゃって…」
先輩「気にすんなよ☆勝ったんだしよ♪あ、それに達矢も最後スゲェナイスプレー♪♪」
達矢「あ、ありがとうございます!!」
先輩「ホント一瞬どうなるかと思ったよ…(笑)とりあえず今日はお前ら後輩に助けられたよ☆マジサンキュな♪」
:06/08/29 11:41 :W32SA :DG9yfLs.
#76 [ラビ]
そう言って先輩は戻っていった。
俺とヒロキは顔を見合わせて
「やったな☆」
と小さな声をあげて喜んだ。
自分達の学校に戻ってくると、ミーティングをして解散した。
俺は帰ろうと校門まで行くと…
そこには父さんがいた。
:06/08/29 11:48 :W32SA :DG9yfLs.
#77 [ラビ]
達矢「と…う…さん…」
父さん「迎えに来た。帰るぞ」
達矢「うん…」
俺は父さんの車に乗り込んだ。
ブーン…
無言で車を走らせる。
俺は父さんが楽しみにしていた俺のピッチャー姿を見せてやれなくて少し悲しくなった。
:06/08/29 13:08 :W32SA :DG9yfLs.
#78 [ラビ]
達矢「父さん…。」
静かな車の中で俺の声は響いた。
父さん「ん?なんだ?」
達矢「俺…今日ピッチャーやれなかった…。ごめん父さん。」
さっきまでピッチャーをやれなかったモヤモヤなんて消えていたのに、急になんだか悔しくなった。
父さん「ナイスプレーだったな」
父さんはそれだけ言った。
:06/08/29 13:11 :W32SA :DG9yfLs.
#79 [ラビ]
達矢「…。」
俺は何も言えなかった。
しばらく沈黙が続く…。
俺が黙っていると、父さんが口を開いた。
:06/08/29 13:16 :W32SA :DG9yfLs.
#80 [ラビ]
父さん「お前、今日は何をしたんだ?」
達矢「…え?何をって…?」
父さん「あのグランドで、何をやったんだ?」
達矢「何をって…野球してたけど?」
俺は訳がわからなかった。
父さん、グランドに見に来てたじゃんか…。
すると、父さんは優しい声で話し始めた。
:06/08/29 15:19 :W32SA :DG9yfLs.
#81 [ラビ]
父さん「野球してたんだろ?ピッチャーじゃなくても、スパイク履いて、グローブはめて、ユニフォーム着て泥だらけになってさ。」
達矢「…。」
父さん「それでいいんだよ。何も謝ることなんかないじゃないか。父さんはお前が元気に野球をやってくれれば、それ以外何も要求しないよ。それに今日はナイスプレーだったぞ。お疲れさん」
:06/08/29 15:43 :W32SA :DG9yfLs.
#82 [ラビ]
父さんの優しい言葉に
思わず俺は涙を落とした。
悲しいとか
悔しいとか
そんなんじゃない。
ただ父さんの温かい言葉に包まれて
嬉しくて…
胸がいっぱいになった。
:06/08/29 16:01 :W32SA :DG9yfLs.
#83 [ラビ]
父さん「着いたぞっ」
後ろを振り返り、涙を流す俺を見て
フッと父さんは笑った。
父さん「何泣いてるんだ(笑)お前は本当に良く頑張った。」
温かくて大きな手で、俺の頭を撫でてくれる。
さらに父さんは優しい笑顔と声で俺に言った。
父さん「早く風呂入って泥落としてこい。母さんがご馳走作ってくれるって言ってたぞ。」
コクリと俺はうなずき、車を降りた。
:06/08/29 16:10 :W32SA :DG9yfLs.
#84 [ラビ]
【俺の過去―忘れられない日】
あの初の公式試合の日は、忘れられない日となった。
初めて試合でマウンドに立たなかったこと…。
父さんの言葉…。
改めて野球の楽しさ、奥の深さに触れた日だった。
だが俺には…
もうひとつ、
忘れられない日がある。
:06/08/29 16:16 :W32SA :DG9yfLs.
#85 [ラビ]
あの公式試合で一応活躍出来た俺は、その日以来、ショートをやるようになった。
もちろんそれなりに投げれるのでピッチャーをやる時もあるし、活躍も出来てたけど…
マウンドに立つ時は必ずヒロキの後。
それに、ショートをやることのほうが多い気がした。
:06/08/29 16:21 :W32SA :DG9yfLs.
#86 [ラビ]
季節が流れ、先輩達は残り少ない夏を迎えていた。
中体連をひかえ、日々練習を重ねていたある日のこと…。
練習中、俺は監督に呼び出された。
…俺、何かしたっけ…。
不安になりながらも監督のもとへ走った。
帽子をとり、一礼する。
達矢「っっします!」
:06/08/29 16:29 :W32SA :DG9yfLs.
#87 [ラビ]
監督「おぉ、坂本。お前、すぐにあがれ。」
達矢「え…?」
監督「すぐ練習あがって帰る準備しろ。今、迎えが来る。」
達矢「どうゆうコトっすか…?」
俺は全く意味がわからなかった。
とりあえず…怒られてるワケではなさそうだ。
:06/08/29 16:34 :W32SA :DG9yfLs.
#88 [ラビ]
…どうゆうコトだ…?
訳がわからずオロオロしていると、グランドの横に車が止まった。
「達矢くーん!!!」
達矢「え?」
振り返ると、フェンスの向こうから俺の名前を呼ぶ男の人。
…あ、あの人は…!!
達矢「は…原口さん!?」
:06/08/29 16:43 :W32SA :DG9yfLs.
#89 [ラビ]
原口さんは近所に住むおじさんで、父さんと年齢が近いことからウチと仲良くなった。
俺は小さい頃から可愛がってもらっていて、よくキャッチボールをしたりしていた。
俺は原口さんに駆け寄った。
達矢「どうしたんですか?!」
原口さんは少し息を切らしながら俺に言う。
:06/08/29 16:52 :W32SA :DG9yfLs.
#90 [ラビ]
原口「せっ…説明は後だっ!早く車に乗ってくれっ」
達矢「あ…はい…」
原口さんの慌てぶりに俺は不安になった。
…一体…何が起こってるんだ?
とりあえず荷物を持ち、練習着のまま車に乗り込んだ。
車での移動中はずっと無言だった。
そして着いた場所は…
病院。
:06/08/29 17:05 :W32SA :DG9yfLs.
#91 [ラビ]
達矢「え…まさか…」
車を止め、原口さんと俺は車から降りる。
原口「こっちだ!」
俺達は急いで病院へ入る。
原口さんに誘導されてある病室にたどり着いた。
:06/08/29 17:12 :W32SA :DG9yfLs.
#92 [ラビ]
…コンコン…
ノックをして扉を開ける。
…ガラガラガラ〜…
…扉を開けて目に映った光景。
俺はその光景をすぐには理解出来なかった。
:06/08/29 17:15 :W32SA :DG9yfLs.
#93 [ラビ]
母さんが泣いている…。
…なんで?
誰かがベッドに横たわっている。
…なんで…
なんで父さんが横たわってんだよ。
:06/08/29 17:19 :W32SA :DG9yfLs.
#94 [ラビ]
達矢「…父さん…?」
俺は恐る恐る声をかける。
予想通り、返事はない。
父さんの顔をのぞきこむ。
真っ白な顔。
顔にはもう血の気がなかった。
:06/08/29 17:23 :W32SA :DG9yfLs.
#95 [ラビ]
達矢「…父さん…父さん!!!」
俺は父さんの肩を揺する。
でも父さんの体は氷のように冷たく…
目を覚ます気配もなかった。
手を握ってみても、もうあの温かい手ではなかった。
:06/08/29 17:27 :W32SA :DG9yfLs.
#96 [ラビ]
俺はようやく
状況を理解することが出来た。
…あぁ…
父さんは死んだんだ…って…。
:06/08/29 17:29 :W32SA :DG9yfLs.
#97 [ラビ]
俺は声をあげて泣いた。
こうやって泣いていても
「何泣いてるんだ」
って
優しく笑って頭を撫でてくれる父さんはいない…。
:06/08/29 17:44 :W32SA :DG9yfLs.
#98 [ラビ]
―父さんの死。
失ったモノはかなり大きい。
俺にとって
忘れられない日になった…。
:06/08/29 18:33 :W32SA :DG9yfLs.
#99 [ラビ]
ちょっと休憩…(>_<)
見てる方いますかね??ι
過去の話が長くなっちゃってごめんなさい↓
ごちゃAになっちゃった人もいるかもしれないですね…ι
これからは高校の話に入っていくので見て下さい☆
:06/08/29 18:53 :W32SA :DG9yfLs.
#100 [麻嘩]
:06/08/29 19:23 :SO902i :MSgzRD/g
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