【流星群】

教室に入ると駆け寄ってくる女子達。

『大丈夫？』
『ホント最低だよね…』
『信じられない』

あぁ…昨日の事か…
噂が広まるのって早い…

作り笑いを浮かべて『大丈夫』とだけ言って席についた。

窓際の席で、校庭がよく見える…

あぁ…見なきゃ良かった。

そこにはまぁ君と愛美が堂々と手を繋いで歩いてる姿があった。

まだちゃんと別れてないのに…そう思うと苦しくなって、あたしは保健室に逃げ込んだ。

保健室の先生は優しくて、些細な話でも真剣に聞いてくれる。

何より、生徒の気持ちになって考えてくれる。
一緒に泣いたり怒ったり笑ったり。

だから休み時間の保健室は大人気だし、あたしも先生が大好きだった。

まだホームルームもまだの時間なのに、先生は快く保健室に入れてくれた。

先生『どうしたの？そんな泣きそうな顔して』

光『せんせー…』

苦しくて上手く喋れず、泣いてしまった。

途切れ途切れの言葉をしっかり聞いてくれて、抱き締めてくれた。

抱き締められた途端、糸が切れたかの様に呼吸が荒くなった。

過呼吸…

普通に呼吸が出来ない。
ハァハァと胸呼吸を繰り返して、止めたくても止まらない。

ただ先生にしがみつくのが精一杯で、死ぬんじゃないかって怖くなった。

頭がボーっとして、手が痺れる…

先生は紙袋を持ってきて、あたしの口に当ててくれた。

紙袋の中で何度も胸呼吸を繰り返し、段々と落ち着いていった。

光『せんせ…ありがと…』

いいのよと言ってあたしをベットまで運び、少し寝なさいと言われ、言われるままにあたしは眠りについた。

先生に起こされ目を覚ますともう昼休みで、いつの間にかクラスメートが鞄を持ってきてくれてたらしい。

保健室で先生と一緒にご飯を食べて他愛のない話をしてたら、ドアがガラッと開いた。

『せんせー、転けて怪我し…た』

その声の主とあたしは目が合うと、固まった。

声の主はまぁ君だった。

胸が苦しくなる…

先生は事情を知ってるから急いであたしの前に立ち、まぁ君を誘導して手当てを始めた。

保健室に重い空気が流れる。