スーパーマンに恋をして。
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#1 [華] 10/03/07 02:05
君は私のスーパーマン。
ピンチの時には、すぐに飛んできて
大きな腕と優しい笑顔
泣いてる私を助けては

『もう泣かないで』

そんな言葉を残し
あっという間に飛び立って遥か彼方に消えて行く。

突然舞い降りたそんな
私のスーパーマン―…

#92 [華]
「知らないね。何も」

「馬鹿にしてんの?」

大人びて笑う山内ゆうとは睨みつける私の目を静かに見た。その目にどきんと胸が鳴る。少し微笑む目は、この海と同じで、どこまでも続く深い闇があって、強くて優しくて、だけど寂しそうに見えた。

「やめてよ。そんな目で見ないで。」

引き込まれてしまいそうな、その目に、自分が目をそらす。

「どんな目だよ。」

笑う山内ゆうとに、何も言えなくなった。

⏰:10/04/06 21:08 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#93 [華]
「ほらね。君はやっぱり素直な子だよ。」

「あっそう。」

ふははと笑い出す、山内ゆうとに何も言い返せない。
あの夜から山内ゆうとの目は、私の中の何かを狂わせる。何も見なかった事にして、再び深い闇の向こう側を見つめた。
再び蘇った静かな時間。
波の音だけが聞こえた。
五分…いや、十分そんな時間を過ごしただろうか。


「ねぇ。俺って、どんな目してる?」

寂しそうに、山内ゆうとが呟いた。

⏰:10/04/06 21:17 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#94 [華]
「さぁ。」

「あの日の夜もそんな事言ったよね。」

「そうだっけ。忘れた。」

「君が初めてだよ。そんな事言ったの。」

「そう?私もね貴方に言われた事、今まで言われた事なかったよ。」


静かな会話。
浜辺では、奈々子と太郎が、バカップル丸出しで、はしゃいでいる。
遠くの防波堤で、私達二人、まるで異次元にいるかのような、静かな会話だった。

⏰:10/04/06 21:21 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#95 [華]
「…寂しそうな目かな。」

「寂しそう?」

「笑ってないの。貴方の目の奥が。」

「なるほど」

くくくと笑う、山内ゆうと。

「あ、でも今日はちゃんと笑ってたと思う。」

「そう?」

「うん。」

私もつい微笑んだ。

「あ、君も今はちゃんと笑ってる。」

妙な会話に二人で、ぷっと吹き出し、声を出して笑った。

⏰:10/04/06 21:30 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#96 [華]
私達の間には言葉の繋ぎ合わせは必要としなかった。
やはり、山内ゆうとは、私と同じ人種であり、山内ゆうとも又、私を同じ人種だと再認識したに違いない。
だからと言って、交わした会話の理由も、寂しそうな目の理由も。
そこには踏み込まない。
私達は、容易にそれを理解できたし、又、それこそが、この人種の特徴とも言える。今、目の前にいる山内ゆうとは、楽しそうに笑っているし、私も今は楽しくて笑っている。今はそれでいいような気がした。

⏰:10/04/06 21:57 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#97 [華]
「貴方の目は、魚の死んだような目だよね!」

「なら君も同じだよな。」

「失礼!私はそんな目してないよ」

「どっちがだよ!」

静かな闇に、私達の笑い声が響く。その笑い声に釣られて、奈々子と太郎が息を切らして戻ってきた。
きゃあきゃあと騒ぐ奈々子の話を、私は微笑みながら聞いた。太郎は、山内ゆうとの肩を掴み、奈々子の愚痴を話て、山内ゆうとは、それを、にこにこと聞いていた。

私達はまた、いつもの私達に戻っていた。

⏰:10/04/06 22:13 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#98 [華]
「で?お前らは、ここで何してたの?」

太郎が防波堤に座り、煙草に火を点けながら言った。
山内ゆうとも、にこやかに煙草をふかす。

「ん?とくに。中身のない会話をしながらお前らを馬鹿だなぁと見てた。」

そう言って、私を見る。
その目は、悪戯に満ちていて少年のようだった。

「うん。バカップルだよねって。そんな話してたかな」

私も悪戯な顔をして返す。
奈々子は、ぷうっと膨れっ面をし、それは太郎ちゃんが馬鹿だからと不満げ。
太郎は、おいおいと笑って、だけど、二人とても幸せそうだった。

⏰:10/04/07 00:50 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#99 [華]
「そろそろ帰るかっ。」

太郎が私達を見渡す。四人で肩を並んで砂浜を歩いた。今時、珍しいくらいの綺麗な砂浜に、静かな波音、潮風のいい匂いがして、とても心地良かった。横を歩く奈々子にそう伝えると、奈々子は満足げに微笑んだ。
また遊ぼうね。そんな約束を交わし、二人で前を見つめる。
奈々子の視線には、楽しそうに笑いながら山内ゆうとと並んで歩く、太郎の背中が映っているんだろう。
私の視線には。
太郎と肩を並べ楽しそうに笑いながら歩く、山内ゆうとの背中がやっぱり映っていた。

⏰:10/04/07 01:18 📱:W64S 🆔:☆☆☆


#100 [我輩は匿名である]


⏰:10/04/07 04:08 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#101 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/27 23:32 📱:Android 🆔:☆☆☆


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