らららんらんらら
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#1 [ぴぃ] 10/03/19 19:29
はじめて書かせていただきます。そのため文章のつたないところや更新の遅れなどあるかと思いますが、ご了承ください。


感想等あれば
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によろしくお願いします!

#17 [ぴぃ]
「ああそういえば、すっごい綺麗な子もいたなー。結構終了間際に入ってきた」

美月のことだとすぐにわかった。別に隠すほどのことでもなかったのだけれど、なんとなく、そんな人いた?と知らないふりをしてしまった。



案内係で疲れきった身体を癒すには、甘いお菓子とおいしいコーヒーをもらうに限る。

「…で、ここにいるわけなんだな」

⏰:10/03/22 18:37 📱:SH02A 🆔:IHJ3loaE


#18 [ぴぃ]
昼下がりの国語科準備室は日当たりばつぐんですごく気持ちがいい。

棚の中に隠してあったクッキーの詰め合わせをさらに一つまみ。

「嫌なのを堪えて必死に頑張ったんですよ、これじゃ安いくらい」

小言ついでに先生の口にあまり好きではないアーモンド入りのやつを突っ込む。どんな嫌味を言ってやろうかと考えていたけれどこれでチャラにしてあげる。カロリーを補充してゆとりのある心が戻ってきたようだ。

⏰:10/03/26 01:36 📱:SH02A 🆔:rsPdfj7E


#19 [ぴぃ]
ふと時計を見るともう15時を回っていた。いやだ、今日は早く帰ってゆっくりするつもりだったのに。

「どうせここでゆっくりしていたんだから同じことだろう」

わたしの微妙な表情の変化に気づいて、先生は苦笑した。

わたしの考えはなぜかいつも先生にはつつぬけ。そんなにわかりやすい態度をとっているつもりもないんだけどな。



その後、やはり特にすることもなかったので最後にまたクッキーを一つ食べて帰路についた。

⏰:10/03/29 07:57 📱:SH02A 🆔:/2/.wxrw


#20 [ぴぃ]
学校から家まで徒歩で15分という道のりでは、寄り道という寄り道もできない。当たり前のようにいつもと同じ風景の中を歩く。

ふと顔を上げると、見慣れない看板が目に入った。

「――"しゅがー"?」

sugar…その看板にはそうかいてあった。そしてわたしの嗅覚はその存在を確かに捕える。

「甘い匂い…ケーキ?パン?」

⏰:10/03/31 10:38 📱:SH02A 🆔:n24SNUqs


#21 [ぴぃ]
看板の示す方に自然と足が向く。こんな道あったんだ、と自分の家の近所のはずなのに初めて気付いた。

たどり着いた先には、かわいいレトロなレンガ作りの小さなお店があった。間違いなく、このいい匂いはその中から漂って来ていた。
甘いものに目がないゆいは、条件反射のように何も考えずその扉を開けた。



それが今後の生活を左右するとは、夢にも思っていなかったから。

⏰:10/03/31 22:29 📱:SH02A 🆔:n24SNUqs


#22 [ぴぃ]
カランカランカラン。



「うわ…あ」

そこはゆいにとって夢のような場所だった。キラキラ光る色とりどりの宝石のようなマカロンやゼリー。楽しい形のクッキーに、見ているだけでよだれが出ちゃう夢のようなケーキの山。

しばらくうっとりとショーケースに見とれていたが、急に声を掛けられてふと我に返った。

「何になさいますか?」

⏰:10/04/04 01:58 📱:SH02A 🆔:lHn0isxo


#23 [ぴぃ]
「あ、わたしはまだ見てるだけで――」

声のした方を向き返事をしたのだけれど、それは途中で区切られてしまった。

驚いた、というのが本音だった。

「ああ、やっぱり。相沢先輩…でしたよね」

それはやはり消えてしまいそうなほど繊細な笑顔で澄んだ声で…

「美月、くん」

⏰:10/04/04 02:06 📱:SH02A 🆔:lHn0isxo


#24 [ぴぃ]
あれから数分後。

私は今お洒落に紅茶を飲みながら、店内奥にあるカフェでザッハトルテを食べている。

悔しいことに今まで食べたザッハトルテの中で一番好みだ。

「…それにしてもこのお店が美月くんのお家だなんて」

驚きの再会の後、自然な流れでケーキセットをすすめられ、この場所まで案内された。

⏰:10/05/16 18:44 📱:SH02A 🆔:2MvzU032


#25 [ぴぃ]
食べかけのケーキセットを前に、改めて店内を眺める。

見ているだけで幸せになれるようなかわいいインテリアに、淡い色で統一されたお洒落な内装。

ゆったりとした時間の流れる空間だった。

「父がパティシエで、母がインテリアコーディネーターなんですよ」

向かいの席に目を向けると、美月くんが腰をかけるところだった。

⏰:10/05/16 19:44 📱:SH02A 🆔:2MvzU032


#26 [ぴぃ]
「そうなんだ。素敵なご両親なのね」

心からそう思ったのだが、美月の表情はやはりどこか淋しそうで。

「母はほとんど仕事で家にいません。父も海外で暮らしていて…」

しまった、と思ったが遅かった。何も知らないことは人を傷つけることにつながる。

謝るのもおかしい気がして、そこからは無言で食べかけのケーキを食べた。

この場に相応しくない優しい甘さが口の中に広がった。

⏰:10/05/16 21:03 📱:SH02A 🆔:2MvzU032


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