鍵〜ロック〜
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#1 [アサガオ◆dWS26Gixo2] 10/04/09 20:41
「鍵をかけたんだ」
彼の小さな声が、部屋の中に響く。
「へえ。何に?」
興味が無さそうなふりをしながら、僕は彼にそう返した。
彼は僕の問いには何も答えずに、薄く笑みを浮かべていた。
#2 [アサガオ◆dWS26Gixo2]
数分、僕と彼は何も会話を交わさずに、暗い部屋の中でそれぞれ自分勝手に行動していた。
彼は、まるで子供がおもちゃを貰う時のような表情で、何かを待っているかのように天井を見上げていた。
僕は、この暗い部屋からの脱出手段を探すべく、壁を叩いたり引っ掻いたりしていた。
:10/04/09 20:46
:P03A
:2D0cbvg6
#3 [アサガオ◆dWS26Gixo2]
「ねえ」
不意に、壁を叩いていた僕に、彼が声をかけてきた。
「何ですか?」
平静に、冷静に、つまらなさそうに僕が答える。
「そんなことをしてもね、無駄なんだよ」
「そんなこと、とは?」
「言わずもがな、出口を探そうとすることだよ」
:10/04/09 20:50
:P03A
:2D0cbvg6
#4 [アサガオ◆dWS26Gixo2]
「そうですか。なら諦めます」
そう言って、僕は壁を背に座り込んだ。
「懸命だよ」
彼は、楽しそうにそう言い、また何も喋らなくなった。
何故、僕が彼と二人でこんな部屋にいるのか。
それは一週間前に遡る。
:10/04/09 20:54
:P03A
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#5 [アサガオ◆dWS26Gixo2]
─初日─『五乃皿屋敷』
:10/04/10 23:26
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:cKcBOnfc
#6 [アサガオ◆dWS26Gixo2]
五乃皿屋敷と言えば、その無駄だと思えるほどの巨大さと、森の奥に建っているせいで不気味な雰囲気を醸し出した廃墟であることから、県内では有名な幽霊屋敷だ。
過去に連続殺人事件があったとか、殺された人が今も犯人を探しているとか、おかしな噂がいくつもたっている。
だから、五乃皿屋敷に人が引っ越してきたという話を聞いた時は、最初は冗談か、自分をからかっているのだろうとしか思えなかった。
:10/04/10 23:35
:P03A
:cKcBOnfc
#7 [アサガオ◆dWS26Gixo2]
「冗談とかじゃなくてさ、本当に見たんだよ! 引っ越し会社の車が五乃皿屋敷のある森の中に入ってくの!」
そう、興奮気味に話しているのは僕の友人の岸灘恭平。短めの金髪に、平均的な身長に平均的な体重、頭は悪い。何処に出しても恥ずかしい、典型的な馬鹿だ。
「それは本当なのか? 恭平はバカだからどうも信用ならないな」
恭平に疑わしそうな視線を向けているのは、これまた友人の兎野涼。長い黒髪に、スラッとした整ったプロポーション。おまけにかなり可愛い顔をしている。どう見ても女なのに、これで男だというのだから驚きだ。
:10/04/11 00:37
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:EkAmwFrc
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