*- エロチュウ -*
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#302 [亜夢]
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「―…」
龍紀は言い返せなかった。
確かにあたしは人を好きになることが出来た…でも同時に相手に対する嫉妬心や不安で押しつぶされそうになった…
と…
「…あっ皐月くん!!! 今電話しようとおもったところだったのよ。 時間がないから急いでっ!!!」
はやくはやく、とスタイリストの女の子が呼ぶ。
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:10/06/21 23:52
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#303 [亜夢]
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龍紀は聞こえないように舌打ちすると素早くスタジオへと走る。
「―…」
あたしと裕也の間で沈黙という重い空気が流れる。
「…亜夢…」
裕也はゆっくりあたしの肩に触れようとする。
「やだっ…」
あたしはその手を振り払う。
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:10/06/21 23:56
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#304 [亜夢]
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あたしが龍紀を信じればこんなことにはならなかった。 あたしが、裕也の優しさに甘えたから、こんなことになったんだ…
「―…」
あたしは何も言えなかった。
裕也との今までの関係が音をたてて崩れていった。
あたしを想ってしてくれたことかもしれない。 でも、あたしのことを考えずに自分の気持ちを優先したんだ、裕也は―…
あたしは何も言わず店に戻った。
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:10/06/21 23:59
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#305 [亜夢]
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休憩時間なんて一瞬で終わったように思えた。 龍紀が隣のブースで撮影しているとおもうと胸がバクバクいった。
外をちらっとみると裕也の後ろ姿が見える。 あと数時間あるのに、待ってるつもりなんだろう。
「お疲れさまです―…じゃあ髪の毛お願いします。」
担当がたまたまあたしがアシストしてる人だった。
「お願いします。」
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:10/06/22 00:02
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#306 [亜夢]
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龍紀があたしの目の前でセットされている―…
視線はあたし、携帯の行き来をしてた。
あたしは赤の他人なんかじゃない。 龍紀は初めての恋人…すべて一緒にしてきた。
異性とのはじめての…
嬉しい気持ち、楽しい気持ち、もどかしい気持ち、切ない気持ち、恥ずかしい気持ち、いやな気持ち、不安な気持ち…
たくさん、たくさん…
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:10/06/22 02:41
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#307 [亜夢]
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「こないだ雑誌読みましたよー皐月さん。」
担当の西川さんが【響皐月】に声をかける。 それはどうも、と愛想笑いする龍紀。
「なんか…恋愛のおはなし…切なくなりました。」
「ああ…お客さんにはうまいこと話作ったね、て言われたけどね…」
くすくす笑って龍紀が言った。
「私も正直…作り話かと思いましたけど…あたしが過去にあった体験と似てたので。」
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:10/06/22 02:45
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#308 [亜夢]
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「そのときの彼氏が置き手紙して、さよなら…とだけと、鍵がテーブルの上にあったこと…今でも忘れられないです……」
西川さんが苦笑いをして言った。
それ…あたし?
「俺は1ヶ月くらい…なにも喉に通らなくて、やっと吹っ切れそうになって…過食症ですよ。 だから少し太りましたけど。」
でも…と龍紀が続ける。
「彼女が今おれを必要とするなら……すぐにでも連れさらいたい……」
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:10/06/22 02:48
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#309 [亜夢]
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「彼女にほかの男がいても?」
「…そのときに彼女が幸せなら、俺はなにもいいませんよ…」
切なそうにあたしを見て微笑んだ。
「あたしっ……」
「亜夢、いま幸せか?」
龍紀がそっと言う。
西川さんは驚いた顔であたしを見る。 また【響皐月】をみて、え?て表情をつくる。
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:10/06/22 02:51
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#310 [亜夢]
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「……」
沈黙が広がる。
「今お前は裕也といて幸せなら…それでいいんだ。 たとえ、故意に俺たちの別れがあったとしても……おまえが、"今"幸せなら俺はいいんだよ。」
幸いほかのお客さんは店内にいなかった。
ただ、流れる音楽だけが耳にはいった。
外にみえる裕也の背中。
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:10/06/22 02:54
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#311 [亜夢]
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「あたしは―…」
裕也がいいの?
龍紀と戻りたいの?
ううん…違う。 あたしは裕也を龍紀の代わりにしてたの?
龍紀に会って、すぐに裕也への感情がなくなってしまったの?
「―…」
答えなんてすぐでなかった。
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:10/06/22 02:55
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