*- エロチュウ -*
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#369 [亜夢]
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あたしはその後なにを話したかなんて覚えない。 ごめん、としか言わない龍紀に泣きじゃくってあたしはもういい、と確か電話を切ったはず…
内容なんて覚えない…
たぶんただのこじつけ。
「亜夢…」
後ろから夏川くんが手を肩に置いた。
今あたし多分ひどい顔してる。 あたしは両手で顔を押さえた。 みられたくない。 やだ、やだ、やだ…
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:10/07/14 22:33
:F02B
:u5edCtoU
#370 [亜夢]
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「亜夢は笑顔のほうが素敵だよ?」
夏川くんは昔と変わらない綺麗な笑顔であたしに言った。 急に涙が止まる。 満面の笑みがあたしのなかであふれてくる。
「ふ…ふふっ……」
あたしはなぜか笑えた。
「ちょ…/// カッコつけて言ったんだから笑うなよ〜!!!!」
夏川くんがアタフタしながら言った。
その挙動不審な彼にまた笑えてきてあたしは涙を拭きながら笑い続けた。
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:10/07/14 22:37
:F02B
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#371 [亜夢]
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夏川くんの友達は気づけば帰ってた。 ふたりでコンビニの前でだらだらしながらしょうもないことを話した。
夏川くんは電話の内容とか、あたしが泣いてた理由とか聞かなかった。
安心する―…この空気…
「はあ、笑い疲れてきちゃったあ…」
あたしは貸してもらったうちわでパタパタさせながら言った。 涙はとっくの前に蒸発して消えてってた。
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:10/07/14 22:41
:F02B
:u5edCtoU
#372 [亜夢]
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「純江いく?」
懐かしい名前。 純江(すみえ)とはあたしたちの地元にある海の場所を言う。
「…行きたい…!!!!」
夏川くんはわかった、と言うと止めてあったバイクにまたがってエンジンをかけた。
「しっかり掴まって。」
後ろからぎゅっと夏川くんの腰から腹に手を回すと何故だか涙がでた。
人の温もりは時に悲しくもさせる……
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:10/07/15 03:35
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:rTWU1lSc
#373 [亜夢]
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龍紀が来ていたあの席。
龍紀がカラカラと指で氷をまわす夏っぽい音。
龍紀がくるくると鍵を回す仕草。
龍紀が寝ぼけてあたしを離してくれない時。
龍紀が嬉しそうにあたしの髪の毛をなでる顔。
龍紀と飲んだあのシャンパンの味。
龍紀としたこの恋……
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:10/07/15 03:38
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#374 [亜夢]
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バイクにのって数十分あたしは思い出のなかを駆けめぐった。 楽しかったことや悲しかったこと…
エンジンの音が消えたときには、あたしの涙は消え去っていた。
「懐かしの純江だぞ〜…て俺はよく来るけどなっ…」
ヘルメットをはずして片手に持つとあたしたちは波際まで足を進める。
ふわふわの白い砂。
月の光でほんのりきらきらしている深い色の海。
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:10/07/15 03:41
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#375 [亜夢]
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ふたりでお尻をつけて、じい―っと海を眺めた。
静かにはいってくる波の音と、時折聞こえるチャポンという音。
サアーサアー…
「……はあ。」
ふたりで同時にため息をついたので、夏川くんもあたしも目を丸くして向き合った。
「すごいね…いまのタイミング。」
「だね。」
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:10/07/15 03:43
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#376 [亜夢]
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「実はさ〜…俺3日前に彼女に振られちゃったんだよね〜…」
苦笑いしながら夏川くんが言った。
それから彼は彼と彼女の恋愛話を淡々としてくれた。
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:10/07/15 03:45
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#377 [亜夢]
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「り〜きっ!!!!」
可愛くてキラキラした笑顔で俺の名前を呼ぶのは佳織(かおり)。
出会いは親友の開いた飲み会でたまたま居た子だ。
すぐ仲良くなり何度か遊んでるうちに俺たちは彼氏と彼女になった。
わがままの彼女の言うことをきいてあげるのは苦痛ではなかった。 優しいと言われるのがいいことだとおもった。
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:10/07/15 03:49
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#378 [亜夢]
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居酒屋でアルバイトしてた佳織はいつのまにか水商売に興味を持つようになった。
それからすぐにキャバクラに勤務するようになり、数ヶ月後には、十分なお給料をもらって新しい鞄や靴、洋服に囲まれてた。
「…あ、りき〜…あたし今からお客さんとご飯いかなきゃ!!! またね〜♪」
一緒にいてもそんなことが多くなった。
俺は迎えにきてと言われたら店まで迎えにいった。 泊まっていっても起きたら佳織はいないことが多かった。
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:10/07/15 03:52
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