染白 -BL-
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#1 [苑] 10/05/23 21:51
BL小説です。
時々NLも入ります。

※BL嫌悪
※荒らし

上の二つに当て嵌まる方はご遠慮下さい。
また、この小説は所々に暴力的な表現があります。
苦手な方は注意して下さい。

#12 [苑]
「お前のじゃないって顔してるけど?」

「晄大は頭だけじゃなくて目も馬鹿になったんだね。可哀相。」


馬鹿はお前だと、静華に内心毒づきながら、左右から覗き込んでくる阿呆面の二人の顔面を平手で叩く。

ふげっとか、ぎゃっとか聞こえたけど気にしない。

⏰:10/05/25 00:52 📱:SH905i 🆔:QiJTrXNs


#13 [苑]
「ほら静華。さっさと教室戻れ。」

「えー。僕このクラスの生徒に「なれません。」…ぶー。」


静華の言葉を遮った声の主はこのクラスの担任。


「だって机空いてるよ。僕の為じゃないのー?」

「今日、転入生が来るので。」

「転入生なんて珍しいな。」

「あ、綾ちゃんが喋った!」

⏰:10/05/26 00:28 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#14 [苑]
馬鹿はほっとく。
転入生の事は気になるけど、無理矢理に頭の隅に片付けた。

(つーか、静華さっさと戻れよ。)

そんな事を考えながらぼけーっと空を眺めていたら、俺は左手に違和感を感じた。そちらに目を向けると、何故か晄大が左手を掴んでいる。


「よくも俺の顔を叩いたな!!そんな悪い事するお手々には…こうしてやる!!」

「なに…っ!?」


続く言葉はこいつの信じられない行動によって行き場をなくした。

⏰:10/05/26 00:37 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#15 [苑]
手の甲に感じる柔らかな感触の正体は晄大の唇だった。
まるで紳士のように手を取り、優しく口付ける。


「てめぇは何してんだ?」


自分でも驚くくらいの低い声が出た。いやー、びっくり。
空いている右手で晄大の頭を力の限り掴み、左手から離す。それでも奴は口を突き出しながら左手を引っ張る。
俺も負けじと左手を自分の方へと寄せるが…。

(この馬鹿力…!!)

そんな攻防を繰り返していると、先程の俺の声よりも低い声が耳を掠めた。

⏰:10/05/26 00:45 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#16 [苑]
「綾ちゃんを離せ。」

「あなたが他校へ転校しますか?そうですか。なら校長には私から伝えておきますので心置きなく逝け。」


うわ…怖…。
誰この二人。クラスのみんなが怯えてますけど…。
まぁ、怖いと思ってても止めませんがね。


「俺だって綾君好きだし。あ、友達としてね。」

「ならこれはやりすぎだな。静華。」

⏰:10/05/26 00:50 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#17 [苑]
俺が声を掛けると静華の表情は少し和らいだ。だが、機嫌が良さそうに見える表情の内に、晄大に対する怒りが隠れているのは何と無く分かる。


「何?」

「この馬鹿者はお前に任せる。」

「了解。」


そう言って晄大の髪を掴んだ。
これは流石に痛いだろう…。


「あ"ー!!髪引っ張らないでぇ!ハゲる!ハゲちゃうぅ!!」

⏰:10/05/26 00:56 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#18 [苑]
静華ちゃーん!!と、教室どころか廊下にまで響き渡る情けなく悲痛な叫び声に、俺は苦笑した。

そこで疑問が浮かぶ。


「何処に連れて行ったんだ?」


あれから静華が戻ってきた。晄大の姿はない。
静華によると、髪の毛が思いの外抜けたので屋上でふて寝するとのこと。報告を終えた静華は清々しい顔をして自分の教室へ戻って行った。

⏰:10/05/26 01:03 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#19 [苑]
転入生は学年主任との話しが終わったらしく、担任が迎えに行っている。なので、HR中なのにも関わらずクラス内は騒がしい。

―ガラッ―

ドアが開いた音に顔を上げる。
先に教室に入ってくる担任の後ろを無言で歩く転入生は、朝から脳内を支配しているあいつに似ていた。


「遊樹(ユキ)っ!!」


叫んだ声は響いて消えた。
遊樹が俺を見る。だが、遊樹だけではなくクラス中が俺を見ていた。


「綾、後で話そうね。」

⏰:10/05/26 01:11 📱:SH905i 🆔:QHjl12cA


#20 [苑]
━━━━━━━

「…で?」

「ん?」


綾が問い掛けた言葉に疑問で返す遊樹の顔には笑顔が浮かぶ。逆に、綾の眉間には皺が寄る。

今は昼休み。
4時限目が終わってすぐに中庭に来たからか、周りに人は少なかった。


「だから、今までどこにいたんだよ。いきなり消えやがって…。」

まるで、置いていかれた子どものように悲しそうな表情を浮かべ、遊樹を問い詰める。

⏰:11/03/21 02:48 📱:SH905i 🆔:pOquNAUM


#21 [苑]
空を見上げ、どこか遠くを見つめたまま遊樹は一言呟いた。


「…知らなくていいよ。」


一瞬、冷たい風が吹いた。

遊樹の言葉と共に頬を撫で消えていったその風は、綾の心をざわつかせた。背筋を走る悪寒を無視し、見つめる先には確かに遊樹がいる。だが、何故か存在が危うげに見えた。


「…あっそ。まぁいいや。飯食いに行くぞ。」

「学食とかあるの?」

「あぁ、案内する。」


背を向けた綾の額には、うっすらと冷や汗が浮かんでいた。

⏰:11/03/21 03:02 📱:SH905i 🆔:pOquNAUM


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