Supernova〜超新星〜
最新 最初 🆕
#1 [Mr.RabbIts!]
 
僕はただ見つめるだけ。
彼女と話すきっかけが無いわけじゃない。
 
つまりは、僕は臆病者だ。
 
第一章
“彼女は誰のもの?”
 

⏰:10/05/28 00:23 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#2 [Mr.RabbIts!]
 
「三木(みき)!」
「んー?」
 
五月の下旬、入学したてはパリパリだったこの制服も少し馴染んできた頃、俺は自分のクラスの教室で日向ぼっこをしていた。
 

⏰:10/05/28 00:26 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#3 [Mr.RabbIts!]
 
「次、移動授業だぞ!」
 
そう親切に教えてくれるのは同じクラスの谷垣(たにがき)。
この四月に初めて顔を合わせたのだが、何しろ地元の高校に進んだためある程度は名前を聞いたことがある奴らばかりだった。
 

⏰:10/05/28 00:28 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#4 [Mr.RabbIts!]
 
谷垣は陸上のスポーツ推薦で入ったらしく、県大会でも名前を聞いたことがある分、親しみやすかった。
共通の友人も居たため、すぐに仲良くなった。
 
「あー…教科書用意しねえと」
 
どうやら次の授業はパソコン教室に移動するらしい。
 

⏰:10/05/28 00:32 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#5 [Mr.RabbIts!]
 
しばらく自分のロッカーをあさってみたが目的の教科書が見当たらない。
 
「あれー?おっかしいな…」
 
机の中は空だし、家に持って帰るわけも無い。
残りの可能性は…
 

⏰:10/05/28 00:34 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#6 [Mr.RabbIts!]
 
「ちょっと、ごめん」
 
考え事をしていると背後から声をかけられた。
 
「え、あ…悪い」
 
振り向いて声の主を確かめ、少し焦る。
 

⏰:10/05/28 00:37 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#7 [Mr.RabbIts!]
 
「ありがとう」
 
そう言って彼女が手を伸ばすロッカーは俺のロッカーの下。
 
―宮本あんな
 

⏰:10/05/28 00:40 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#8 [Mr.RabbIts!]
 
体を退けながらしゃがんだ彼女のうなじを見つめる。
綺麗な黒い髪の合間から、真っ白な肌が覗く。
 
思わず見とれていると予鈴が鳴り、はっとする。
 

⏰:10/05/28 00:46 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#9 [Mr.RabbIts!]
 
「おいー三木。まだかよー?」
 
谷垣が廊下から急かす。
宮本あんなが顔を上げる。
 
「ごめん。私が後から来たのに…」
 
彼女はそう言って立ち上がると素早くそこを退いた。
 

⏰:10/05/28 00:49 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#10 [Mr.RabbIts!]
 
いや、探したんだけど教科書がロッカー無くて。
たぶん三組の奴に貸したまま返ってきてないと思うんだ。
中池って奴なんだけど、ほら、そこの谷垣とも仲良くて…
 
たくさんの言葉が一瞬にして浮かび上がったが、彼女の手に握られている教科書を見て全て飲み込んだ。
 

⏰:10/05/28 00:53 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#11 [Mr.RabbIts!]
 
訂正
>>10
 
いや、探したんだけど教科書がロッカー無くて。
 
→いや、探したんだけど教科書がロッカーに無くて。
 

⏰:10/05/28 13:20 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#12 [Mr.RabbIts!]
 
「べつに…いいよ」
 
彼女の表情が曇る。
冷たい奴だと思われたかもしれない。
 
「おい、三木ー!」
「あー。今行くわ」
 
べつに…いいよ。
宮本が教科書見つけれたんなら。
 
続く言葉を飲み込んだまま、俺は急かす谷垣の元へと手ぶらで向かった。
 

⏰:10/05/28 13:26 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#13 [Mr.RabbIts!]
 
「悪い。行こう」
「別にいいけど…手ぶらかよ」
 
教科書は?と問いかけてくる谷垣を歩くように促す。
 
「あー…たぶん中池から返ってきてない」
「まじかよ?三組まで行く時間ねえぞ」
 
携帯電話のディスプレイに映し出された時間を見て、俺もうなずく。
 

⏰:10/05/28 13:30 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#14 [Mr.RabbIts!]
 
「どーすんの?」
「そんまま通す」
 
パソコンの授業担当の教師って誰だっけなんて考えていると、谷垣がぼそっと「山口」と呟いた。
 
「げっ」
 
顔をしかめる俺に谷垣は困った笑いを返してきた。
 

⏰:10/05/28 13:38 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#15 [Mr.RabbIts!]
 
「三木」
 
授業のあたまに指名された俺は、観念して席から立ち上がった。
 
「はい」
「教科書は?」
「…忘れました」
 
まだ入学して一ヶ月、あんま仲良く無い子達からの視線が痛い。
 

⏰:10/05/28 13:42 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#16 [Mr.RabbIts!]
 
「忘れたって、教室にか?」
「あー…はい」
 
そうです。なんて答えたけど、若干ずれてる感じがする。
 
「じゃあ、今すぐ取りに行け!」
「いやあー…それが」
 
返答に困り首に手をやる。
教室ったって、三組だし。
授業やってるだろうし。
 

⏰:10/05/28 13:45 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#17 [Mr.RabbIts!]
 
つーか、この会話邪魔くさいなー。
みんなだって気まずいだろうに。
山口はその空気に気づかないのか、はっきりしない俺にイライラしているのか声を荒げた。
 
「取りに行ってこいと言ってるんだ!!」
「いや、だから…」
 
何て説明しようか考えていると、半笑いの谷垣と目が合った。
 

⏰:10/05/28 13:50 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#18 [Mr.RabbIts!]
 
くそー
あいつ楽しんでやがる。
 
「三木!お前なめてるだろ!?たらたらしゃべりやがって」
 
谷垣を睨んでいた目で山口を見る。
 
「何だよ、その目は!」
 
俺の態度に興奮した山口は授業をする気など無くなり、俺を説教することに決めたかのように見えた。
 

⏰:10/05/28 13:56 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#19 [Mr.RabbIts!]
 
もう、素直に教室取りに行くふりしてサボれば良かった。
そんな考えが頭の端に浮かぶ。
 
「授業を受ける気が無いなら、出て行け!!」
 
凄い剣幕でまくし立てる山口に不思議なくらい、心が冷めていく。
 

⏰:10/05/28 14:00 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#20 [Mr.RabbIts!]
 
このまま言う通りに出て行くのも、黙って突っ立ってるのも嫌だな。
何か、突拍子も無いことをすれば山口もクールダウンするだろうか。
 
「先生」
 
静まり返っていた生徒の中から、ハッキリとしたよく通る声が聞こえた。
 

⏰:10/05/28 14:04 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#21 [Mr.RabbIts!]
 
山口や俺も含め、全員がそちらを向く。
 
「今日は席決めでしょう?教科書はそんなに使わないんじゃないですか」
 
スラスラとそんなことを言ってのけるのは、佐倉という男子生徒だった。
山口が顧問であるラグビー部の部員である佐倉は、他の生徒が身構えるほど山口に距離を置いていないようだ。
 

⏰:10/05/28 14:10 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#22 [Mr.RabbIts!]
 
佐倉の発言にまたピリッとした空気が流れるのかと思えば、山口は少し表情をゆるめた。
 
「…まあ、いい。次からは毎回必要だから、忘れるなよ」
 
戦意喪失。
教師相手に敵意むき出しってのも格好悪いけど、それでも教師って好きになれない。
 

⏰:10/05/28 14:14 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#23 [Mr.RabbIts!]
 
「佐倉、助かった」
 
席決めでザワザワしている連中に混じって佐倉に礼を言いに行くと、本人は驚いた表情をしてから微笑んだ。
 
「助かった?三木まじお疲れー」
 
皮肉混じりの言葉に佐倉って案外おもしろいな、なんて感じる。
 

⏰:10/05/28 14:18 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#24 [Mr.RabbIts!]
 
「部活でも、あんな感じなのか?」
「うん。まあーな」
 
そう答える佐倉には憂鬱な様子も無い。
山口に佐倉って相性良いのかもな。
 
「俺だったら毎日怒鳴らせてるだろうな」
「ははっ。たしかに」
 

⏰:10/05/28 14:20 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#25 [Mr.RabbIts!]
 
なんて感じに談笑していると、席決めも終わったらしい。
パソコンの画面に映し出されるらしい席順にみんな注目している。
 
「これってどうやって決めるんだ?」
 
ポツリと疑問を口にすると同時に画面が切り替わる。
 

⏰:10/05/28 16:47 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#26 [Mr.RabbIts!]
 
真っ黒だったディスプレイにクラスの奴らの名前が浮かぶ。
四角く区切られた空白の中に、黒い文字でフルネームが載っていた。
 
「ああ、先生が機械的に割り振ったって言ってたぞ」
 
せっかく佐倉が疑問に答えてくれたのに、俺はディスプレイに釘付けであまりよく聞き取れなかった。
 

⏰:10/05/28 16:50 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#27 [Mr.RabbIts!]
 
「うーわー…一番前じゃん、三木。まじどんまい」
 
佐倉の言葉に「最悪」と返してみたものの、あながち嫌な席でも無い。
 
「機械的に割り振ったとか言いながら、目ぇ付けられてんじゃん?三木」
 
そこに谷垣までもが哀れみの言葉を投げに来た。
 

⏰:10/05/28 21:03 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#28 [Mr.RabbIts!]
 
「…そんなん言ってるお前も一番前だけど」
「は!?まじかよ!」
 
まじだよ。
俺の名前の隣の隣に谷垣って映ってますけど。
落ち込む谷垣を無視して、佐倉の名前を探す。
 
「佐倉はどこ?」
「おれ?俺は後ろの一番端っこ」
 

⏰:10/05/28 21:09 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#29 [Mr.RabbIts!]
 
俺と佐倉の会話を聞いた谷垣は、また「山口の陰謀だ!」とか嘆いていたけど俺達は席を移動し始めた。
 
まあ、谷垣が言うように山口の陰謀だとしても、俺にとっては良い方向に転がったわけで。
 

⏰:10/05/28 21:17 📱:P906i 🆔:yAA1s8y2


#30 [Mr.RabbIts!]
 
「谷垣、騒いでねえで行くぞ」
「はあ。まあ近くに三木居るだけマシか」
 
そう言って肩をあげる谷垣に適当に返事をして、新しい自分の席につく。
 
「?俺らの間って誰だあ」
 
俺と谷垣の間の空席に谷垣が疑問の声をあげた。
 

⏰:11/06/08 21:41 📱:P906i 🆔:53cnDasM


#31 [Mr.RabbIts!]
 
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3210/
 
感想待ってます。( o^_^)o♪
 

⏰:11/06/09 11:41 📱:P906i 🆔:HVKEreug


#32 [Mr.RabbIts!]
 
「……さあ」
 
本当は知ってる。
少しドキドキしながら谷垣と談笑していると、背後から小さな声がした。
 
「ごめん。ちょっと、通らせて?」
「あ…どーぞ」
 
宮本あんなは教科書を抱えて遠慮がちに俺と谷垣の間の席に腰かける。
 

⏰:11/11/23 12:59 📱:P906i 🆔:LZ4p.UU6


#33 [Mr.RabbIts!]
 
「宮本かー!俺らうるさくするだろうから、ごめんな?」
「ううん。全然、気にしないで」
 
谷垣が声をかけると、宮本は微かに笑って明るい声で返す。
 
…俺ももっと愛想よく出来ないのかねー。
 

⏰:11/11/23 13:02 📱:P906i 🆔:LZ4p.UU6


#34 [Mr.RabbIts!]
 
「あの、三木くん」
 
びっくりした。
自分の名前を呼ばれて宮本を見ると、彼女は申し訳なさそうに俺を見ていた。
 
「教科書、私のせいなのに」
「え?……あー」
 
働かない脳をフル回転させ、思い出す。
そういえば山口に怒られたんだっけ。
 

⏰:11/11/23 21:50 📱:P906i 🆔:LZ4p.UU6


#35 [Mr.RabbIts!]
 
「宮本のせいじゃ、ないよ」
「え?」
 
首を傾げる宮本は俺が気をつかっていると勘違いしているようだ。
 
「教科書、机にもロッカーにも無かったから」
「?そうなんだ」
「違うクラスの奴に貸したんだよなー」
 

⏰:11/11/23 21:52 📱:P906i 🆔:LZ4p.UU6


#36 [Mr.RabbIts!]
 
ぎこちない宮本との会話に、谷垣が交ざる。
宮本はやっと納得のいった顔をした。
 
「あ、そうなんだ?山口に言えばよかったのに」
 
ニコリ、と微笑む宮本から目を反らす。
 
「…まあ、うん」
 
不自然だったかな。
 

⏰:11/11/23 21:55 📱:P906i 🆔:LZ4p.UU6


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194