その日が来る前に、
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#1 [愛華] 10/06/19 19:31
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって、願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人、誰かの為に生きたい。」
それが君だったらいいな って
幼い心の中で思った。
まだ17才の春。
#991 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/19 20:22 :Android :A4ZzuHng
#992 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼は洗面台に手をつき頭を垂れ、盛大にため息を吐き出す。ゆっくりと顔を上げ、目の前のやさぐれた顔の男に告げた。
:22/10/20 06:35 :Android :nvDpRiyU
#993 [○○&◆.x/9qDRof2]
「まずは誕生日おめでとう。そして、早速だが本題に入る。お前が目指してきたのは小説家だったな? もう何年もありとあらゆる賞に送りまくっている。結果は……言わなくても分かるな。散々だ。お前が他の全てにおいて無能でも今まで生きてこれたのは、ひとえに小説があったおかげだ。しかしその小説が通じないとわかった今、お前の存在価値なんてどこにもありはしない。そうだろう?……とまぁ、以上の理由から」
:22/10/20 06:35 :Android :nvDpRiyU
#994 [○○&◆.x/9qDRof2]
言葉を切り、再びため息をひとつ。
「お前の人生を失敗と認定する。おめでとう」
目の前の男はうなだれていた。今まで何となくではあるが気付いていた事を、こうして真正面からはっきりと言われたのだから、当然と言えば当然だった。彼…太郎もまた、その事を告げるのには相当に悩み苦しんだことだろう。だが、もう誤魔化すことなどできなかった。
:22/10/20 06:35 :Android :nvDpRiyU
#995 [○○&◆.x/9qDRof2]
「失敗だ。何もかも失敗だったんだよ」
目の前の男は、太郎だった。要するに太郎は洗面台で、鏡に写った自分自身に話しかけていたのだ。
「それじゃ、行くか」
:22/10/20 06:36 :Android :nvDpRiyU
#996 [○○&◆.x/9qDRof2]
一次選考落選の通知をゴミ箱に捨てて、辺りを見回す。こういう時は、身の回りの整理をすればいいのだろうか。ぼんやりと色々考えた結果、太郎は1本の万年筆だけ持っていくことにした。とある賞の一次選考通過者全員にプレゼントされた品だ。それが唯一、太郎が一次選考を通過できた賞だった。
:22/10/20 06:36 :Android :nvDpRiyU
#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
安っぽい作りだが、太郎にとっては宝物だった。それをポケットに入れて、財布を持って家を出る。家の鍵はもう要らないし、かける必要もない。家を出ると、季節外れの涼しい風が顔を撫で上げた。半袖では少し肌寒いが、気にする程でもないし気にする必要もなかった。どこを見ても灰色しかない、コンクリートに塗り固められた住宅街に1歩踏み出す。
:22/10/20 06:36 :Android :nvDpRiyU
#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
足がやけに重く感じた。周囲の家を見渡すと、どこか物悲しくなった。カラッとよく晴れた過ごしやすい天気だったが、太郎の胸はコンクリートを詰め込んだように重かった。
「この風景も見納めか…」
:22/10/20 06:36 :Android :nvDpRiyU
#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
向かった先は、ショッピングモールにあるスポーツ用品店。
入ってすぐに、愛想のよい女性店員が笑顔を見せた。
「いらっしゃいませ」
「ロッククライミングをするんだ。命綱になるロープはあるかい?」
「それでしたらこちらに。何メーターほどご入用なさいますか?」
:22/10/20 06:36 :Android :nvDpRiyU
#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/20 06:37 :Android :nvDpRiyU
#1001 [我輩は匿名である]
このスレッドは 1000 を超えました。
もう書けないので新しいスレッドを建ててください。
:22/10/20 06:37 : :Thread}
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