雨上がリの路地 <短編>
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#1 [ハルジ] 10/07/28 19:04
 

    雨上がリの路地
   そこにはかならず
   「あなた」がいて

   わたしはどうか

   この降り注ぐ雨とともに

   胸に秘めたこの淡い想いまでも

共に流してくれたら。と祈るばかリ…

 

#5 [ハルジ]
 

ヒナコ「実はね…サユには秘密にしてたけど…私、好きな人がいるんだっ!」



サユ「……えっ?本当にっ?全く気づかなかったよ」


…ウソ。本当は、随分前からヒナコに好きな人とがいることは知っていた。もちろん相手の名前も。



ヒナコ「うん。言ってなくて、ごめんね。」



サユ「いいよ。気にしなくて!…で、相手は誰?もしかして…雪村君?」



本当は聞きたくなんかなかった。…だけど、私はいつも演技が行き過ぎる。

 

⏰:10/07/28 19:42 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#6 [ハルジ]
 

ヒナコ「な、何でわかったの〜!?サユ、スゴい!!」


本気で言ってるのか?
ヒナコはそう言い、全身の血が顔に集結するほど赤面した。


そしてここ1ヶ月の彼女との会話を思い返してみる。すると、朝の「おはよう」から帰リの「ばいばい」までの時間、彼女は何度“雪村”という名前を口にした事だろう。


それにつけ加え…彼女の言う“雪村 晴紀”は文句の付けどころの無い、学校一の美男子だ。

しかも顔が良いだけじゃない、性格も成績も素晴らしいときた。もうここまで来ると恐ろしい。

 

⏰:10/07/28 20:00 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#7 [ハルジ]
 

だが、残念…。
きっとヒナコは振られるだろう。

…って、私は何て思いやリの無い人間なのだ。自分で思って失笑した。

友人の懸命な告白をいとも簡単に切り捨てる。私は、底辺だな。

だが、現に彼…「雪村君」に告白をして夢が叶った奴など一人もいない。これは偽りのない事実なのだ。

 

⏰:10/07/28 20:12 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#8 [ハルジ]
 

いくら誰もが羨む麗しい美女でも、ヒナコみたくあいらしい小動物系の可愛い子ちゃんでも、彼は問答無用に必ず振る。


そして何故私がここまで冷静にこの出来事に対して対応しているのかというと…理由は1つ。


“私も彼女たちと同じく夢敗れた1人なのだからだ”

⏰:10/07/28 20:20 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#9 [ハルジ]
 

まぁそんな淡い恋心は雨に流される事なく今もまだ、完全燃焼しきれずにいるけど…一応建て前として友人であるヒナコに一言くらい応援の言葉でもかけてあげないとな。そう思い、

 

サユ「敵は多いけど頑張んな♪ヒナコ、あんた可愛いんだから自信持ちなよ♪」


そう言ってストレートな私の髪と違い、ふわふわと猫の毛みたいな彼女の髪をくしゃくしゃにして笑った。ヒナコも同じく満面な笑みで「ありがとう」と呟き、そのまま足早に部活に向かった。


そして相変わらず、ゆるい生活を送る帰宅部の私は、それから何もすることが無く、そのままいつもの路地を歩いて帰る。
 

⏰:10/07/28 20:34 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#10 [ハルジ]
 

だけど、この時間が私にとって一番幸せな瞬間。

雨、雨、ふれ、ふれ、もっとふれ。


本当は昔っから雨は嫌いだった。濡れて気持ち悪いし、じめじめしてて気分が落ちる。

だけど、今は雨が好き。ずっと、ずっと、雨が続けばいいのに。そう思うくらいに。

 

 

だって……………

雨が降ればあなたに

また近付けるから。

 

⏰:10/07/28 20:44 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#11 [ハルジ]
 

赤いレンガの邸宅を右に曲がるとそこには細い道が続いている。人が1人通れたらいいくらいの細い道。

その横にはどこの誰が植えたか分からない美しい紫陽花が水滴を弾きながら向こう側まで咲いている。

私はこの道を誰よリも愛している。いや、正確に言えば、この道を通る「あなた」を誰よリも愛している。

 

⏰:10/07/28 20:59 📱:W61CA 🆔:VZoWvgX.


#12 [ハルジ]
 

噂をすれば…ほら。
私が曲がった角の一つ先で彼はこの道に入ってくる。10メートルくらいの距離。私はこの距離をずっと保っている。

彼は振り向いてなどくれないだろう。それでもいい。今この場所には、私とあなたの2人だけ。

でも、何故雨の日だけ彼はこの道を通るのだろう?それはまだ分からない。ただ、彼がこの道を歩いてある時は必ず雨が降っている。

⏰:10/07/29 00:24 📱:W61CA 🆔:hXw5qXMM


#13 [ハルジ]
 

 届かない想い。

 踏み込めない距離。

 私たちを遮る雨。

 

それでも視界にぼやける彼はやはリ格好よくて…。私は昼間のヒナコのように頬を赤らめる。



雨上がリの路地なんて、必要ない。ずっと滴る道を歩いていきたい。私は彼が好きなのだ。

一度でいい…振り向いて欲しかった。私は彼がこの道を通る限リ、彼を忘れられないのだろう。ずっと…ずっと…永遠に。
 

 

雨、雨、ふれ、ふれ、もっと降れ。

 

第一章 あなた <完>

⏰:10/07/29 00:32 📱:W61CA 🆔:hXw5qXMM


#14 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age

⏰:22/11/02 18:21 📱:Android 🆔:v6aTTZj2


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