【　合鍵アイロニー！！　】

　
のろま更新ですが
よろしくお願いします´･ω･｀)

誤字脱字気をつけますが
あったらごめんなさい×

>>2 ｱﾝｶｰ

｢んあ‥やばっ｣

ポケットから携帯を取り出すと"着信アリ７件"

｢‥あぁ忘れてたぁっ！！
ごめんっ！店番やらなきゃお父さんに締められるから‥またね！気をつけて帰ってね！｣

彼１人残して先に帰るのは凄く心配だったけど‥それよりあたしの命が危うい‥！

真夏の太陽が照りつけるなか必死に駆け抜けた。締められる前に干からびそう‥

うちは農家で野菜の直売店をやってるの。夏休みの夕方はお客さんいつもより多いから、あたしが店番を手伝う約束になっている。

うちのお父さんはドラマに出てくるような頑固親父。亭主関白。普段は優しいしおもしろいけど‥娘だからって容赦はしない。げんこつは頭がかち割れそうになる

結局その日はダッシュでギリギリ間に合って、頭は割られずに済んだのだけど。

あぁ‥あの時の少年かぁ

――――‥

｢‥おっきくなったねぇー！｣

あの日しか彼を見ていないけど、何となくその成長に感激。
近所のおばちゃんとか‥親戚のおばちゃんの気持ちがわかるような気がした

｢あ、でもそれって‥コレと関係あるの？｣

｢‥ありありありありです！｣

図々しくも勝手に自分で麦茶を注ぎ、身を乗り出してきやがった‥

｢俺、施設育ちなんです。‥元々体も丈夫じゃなくて、友達も少なくて‥いじめられた事もありました。｣

あの無邪気な笑顔から一転、その表情は曇り、声質も暗くなった

｢男らしくないから‥同年代の女の子とも仲良くしてもらえないし‥、話しかけてくれる人はみんな、俺のことを可哀想な目で見てた気がしたんです。｣

こういう話は、テレビや漫画の中の話だと思ってた。これが現実か‥あたしは幸せ者なんだ

｢あの日、施設の友達と喧嘩したんです。お前は男らしくない。オカマだって言われて‥悔しくて逃げ出してきました。｣

どうして彼は、こんなあたしに全てを語ってくれるのだろうか。なんであたしに打ち明けてくれるのだろうか。

｢そしたら、あさちゃんと出会えて‥あさちゃんはずっと笑顔だった。凄く眩しくて、こんな俺の心配してくれて‥。
なんかあの時、別の世界を見てるようでした｣

あんなにも些細な事で、間宮くんの支えになれたの？なんだか‥不思議な感覚。

｢救われたんです‥あさちゃんに｣

言葉が見つからなかった。こんなこと言われたの初めてだし‥

｢とりあえず、そんな感じです！｣

｢なるほど‥って、あんまり話まとまってないけど？｣

｢その辺は後々話しましょう。｣

｢あぁ‥うん。わかった｣

これを聞いたらなんとなく、追い返すのも気が引ける。だけどあたしは‥彼の思うような女神的要素は一切ないしなぁ

｢あさちゃんをもっと‥知りたいんです。｣

真剣な眼差し。不覚にも少しときめいてしまった。‥あたしもまだまだ乙女だ

｢んん‥わかった。同居、しましょう。｣

喉がカラっとしていた。声が上擦ったような気がする。

｢でも！今から言うルールは絶対守って！守れなかったら‥出て行ってもらうから｣

｢‥はいっ！｣

ほぼ赤の他人といきなりの同居生活。こんなの、うまく行くはずもない‥。そのうち彼の方から嫌気がさすだろう