俺が好きだから──【BL】

＊不良×ノンケ平凡＊

柊朔真-ﾋｲﾗｷﾞｻｸﾏ-
×
刻塔晴弥-ﾄｷﾄｳﾊﾙﾔ-

※若干、１８禁があるかもなので

注意！

アンカー
>>2

「いや…、男の先輩…」

「へ？そっか【助けられた】だもんね。男なら、どうしてそんなに困ってんの？」

妹の言う事はもっともだ。
僕はどうしてこんなに男の先輩へのメールに緊張しているんだろう。

たぶん…先輩は不良だから。
けど、僕は不良とは感じなかった。ただ優しい先輩。

「んー、僕、人付き合い苦手たから…」

そうだ。きっとそうに違いない。

「ふ～ん…、まぁいっか。メールの文は～…」

そう言うと妹は携帯を取り上げて素早くカチカチとメールを打つ。

おおっ、と声をあげたいくらいの速さだ。

「出～来～たっ」

「ありがとうっ！」

出来上がったメール文は…

『先輩ありがとうございます。本当に助かりました！今度、お礼に何か奢ります』

……。
え？なんか余計なの入ってない！？

「あの…美晴さん…？」
「送信～～っ！！」
「えっ！！！！」

美晴さん。もとい妹は叫んだかと思うと腕を伸ばし携帯のボタンをポチリ。

「ぎゃぁぁぁああっ！ちょっ…、何してっ」

携帯を奪い取ろうと必死になるけど、すばしっこい妹は難なくヒョイと避けた。

「はい」

ニヤリとしてやったり顔の妹。
たぶん…いや、絶対、アレを送信したんだろう。

奢ります？僕が先輩を！？
いや、奢る事はいんだけど、２人で食事とか！？

ガクリと崩れ落ち、妹をジロリと憎しみを込めて睨み付けた。

「いいじゃん！お礼するのは大切な事だよ？」

「う…、それはそうだけど…」

だけど、あの先輩。
僕とあの先輩が２人で食事する図って…

想像すると、まるでパシりと不良、そのものじゃんか。

なんか嫌だ。

「あ…、晴にぃ。メール」

妹の言葉に過剰反応して携帯に飛び付いた。

そして、今までにない速度で携帯をメール画面へと変える。

差出人は【柊先輩】。

『別に気にすんな。これからは気を付けろよ。
奢ってくれんの？じゃあ、明日昼休み迎え行く』

…………。
「ぇえっ！！！？？？」

「どうしたのっ！？晴にぃっ」

先輩のメールに絶叫する。
それに驚いて妹も目を見開く。そして、落ちそうになった僕の携帯をキャッチして画面を覗いた。

「……。わぉ、積極的だね～」

ニヤニヤ笑う妹、美晴。

やめろぃっ、気にしちゃうだろ。

けど、嬉しいようなドキドキ。
先輩が迎えに来てくれる。

今日まで噂でしか知らなかった遠い存在。
近くに感じて嬉しい。

「晴にぃ、もしかしたら…」

「ん？」

嬉しさ溢れて笑顔満開な事に気付かなくて、妹が驚いているのも気付かなくて。

「いや、みなまで言うまい。妹は優しく見守ってるよ。なんせ腐女子ですから」

「へ…？」

「なんでもないよん♪」

妹がさっきよりもニヤニヤ顔で嬉しそうに笑う。

ん～、よく分からないけど。嬉しそうだし、いいか。

メールには焦ったけど、結果オーライ？
先輩とお昼っ！

明日、凄く楽しみだな。