明日の生き方。
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#1 [名前の無い雨。] 10/09/04 00:40
あらすじ
名門私立で担任を受け持っている新米女教師、凛【リン】はある日彼女とのキスを生徒に見られてしまう。
同性愛者だと知られたら社会的地位と教師の座が危ない!
凛はどうにかして生徒の口封じを行おうするが…。
教師vs優等生中学生、勝敗の行方は果たして。
#12 [名前の無い雨。]
「や、遠慮しと」
その先を唇で塞がれる。
優しく、柔らかく。
「ちょ…まずいよ。人に見られたら」
肩を引き剥がしパンツの中に手を突っ込もうとしている円香に待ったをかける。
「大丈夫だよ誰も見てない」
いやいやいやいや。
あなた目が据わってますよ。
そしてそんなキャラじゃないでしょう。
自分より円香の方が酔ってる事に気付いた。
「とりあえず家に帰ろう?」
「凛ちゃん愛してる」
会話が噛み合わない。
:10/09/05 03:46 :N904i :I94p0k.c
#13 [名前の無い雨。]
暴走する小動物を何とか抑え、肩を担ぐ事に成功した凛は、すっかり醒めた頭で辺りを見回した。
(お兄ちゃん達居なくなってる…)
なんとなくがっかりしてしまう。
自分は内心刺激を求めて居たのだろうか。
この毎日から逃げ出したかったのだろうか。
(よくわからないや)
「凛ちゃん大好きだからずっと一緒に居ようね」
横でうとうとしながら円香が呟く。
:10/09/05 03:50 :N904i :I94p0k.c
#14 [名前の無い雨。]
それには応えず先程の円香の行動を思い出す。
(何だろう、気持ち悪い…)
何故あんなことを。
もう少しでお兄ちゃん達とどこかに行けたかもしれないのにって円香と付き合ってる訳だからそんなこと考える私は最低なのかもしれないけど。
(ってゆーか)
正気の頭は回転を始める。
(円香とキスしたの初めてだ…)
女の人と、キス。
(……………気持ち悪!)
凛を吐き気が襲う。
それが酒の飲み過ぎか、同性愛を本能が拒絶しているものなのかはわからなかった。
:10/09/05 03:59 :N904i :I94p0k.c
#15 [名前の無い雨。]
円香と知り合ったのは大学のサークル。
学部が同じという事もありよく一緒に行動していた。
小柄で可愛らしい顔立ち、華やかな印象を持つ円香は学校内外問わず人気があって、いつも男女の取り巻きの中心にいた。
いわゆる小悪魔キャラというやつで、これまで多数の男を泣かせて来たのを凛は見てきている。
一見控えめな性格に思える振る舞いをするのだが、内心では、欲しいものは全て手に入れないと気が済まないという何世紀かの貴族顔負けのわがままさを持ち合わせており、それに周りが振り回されるのだ。
凛とてその例外ではない。
:10/09/05 22:07 :N904i :I94p0k.c
#16 [名前の無い雨。]
「凛ちゃん、好き。付き合って」三ヶ月前、彼氏をふった円香は凛の住むマンションの玄関に来た。
大きなスーツケースを持って。
「付き合ってくれなかったら、死ぬから」
冗談でしょう、と言う凛をよそにずかずかを上がり込んで、はや三ヶ月だ。
:10/09/08 00:52 :N904i :09EiJWyk
#17 [名前の無い雨。]
凛は円香が嫌いでは無かった。
可愛いは正義だ。
しかし恋愛対象としては見れず、かと言って追い出して死なれでもした日には後味が悪いので、なんとなく、一緒に暮らしている。
円香は繊細だ。
下手なことを言った日には何をしでかすかわからないから怖い。
(先のこと考えたくないなあ…面倒くさい)
9月の空は凛の心に反して青々と晴れ渡っていた。
月曜日。
今日からまた学校だ。
:10/09/08 01:05 :N904i :09EiJWyk
#18 [我輩は匿名である]
結論から言うと、小林は学校に来ていなかった。
体調不良と母親からの電話を受け、取り敢えず顔を合わせなくていいと言うことに一先ず胸を撫で下ろす。
(―「どこ」が体調不良になってんだか…)
担任を受けもっているクラスはいつも通り平和で、凛を穏やかな気持ちにさせた。
:11/04/14 22:29 :N904i :XCfxrgVE
#19 [我輩は匿名である]
「先生って女の子が好きなんだね」
笑みを含んだ声色。
背筋が一瞬にして、春のあたたかい夕日を忘れたかの様に凍り付く。
放課後生徒達と談笑していて、一人また一人と帰っていき、最後に残った生徒と二人っきりになった矢先に言われた言葉だった。
動揺を悟られないよう、目の前に居る、潤也(じゅんや)の精悍な顔を見、声に出して笑う。
「女の子も好きよ、男の子と同じくらいにね」
曖昧にして返す。
こういう時の過剰反応は墓穴を掘るだけだと知っているから。
:11/04/17 03:28 :N904i :6UTzQ/86
#20 [我輩は匿名である]
潤也は凛の受け持つクラスの生徒で、整った顔立ちと柔らかな雰囲気で女子から「王子」と絶大な指示を得ている。
凛は聡明なのに素直な部分も垣間見える潤也を気に入っていて、向こうもよく懐いてくれている、と言った印象を持っていた。
それが内申点を上げるための計算かどうかは知らなかったが。
「女の子とキス出来るくらいには好きなんだよね?」
尋問?見られた?このあいだの深夜のアレを?
心臓の脈うちがはやくなる。
偶然居合わせるなんてこと、あり得ない。まさか。
:11/04/17 03:44 :N904i :6UTzQ/86
#21 [我輩は匿名である]
「女の子とは流石にキスは出来ないかな」
あくまで冗談っぽく言ってみるがこれは本心でもある。
酔った勢いで女同士でキスをする友人もちらほら居るが凛はそういうのは好きじゃない。
机一つを挟んで向かい合って座っている状態。
距離は近いが潤也の言わんとしている事が、わからない。
「見ちゃった、って言ったら?」
:11/04/17 03:58 :N904i :6UTzQ/86
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