【統合】ﾌｧﾝﾀｼﾞｰなおしりＨ

しかし、仙術の修得は容易なものではなかった。

日に日に進む妖怪の侵略に気は焦るばかり。

自分の無力さを恨みさえした。

それから数十年…。

雲憲の努力は実を結び、彼はとうとう仙術を身に付けることに成功した。

その時既に雲憲は７０歳を越えていた。

仙術を修得し仙人となった雲憲は、妖怪の大将に戦いを挑んだ。

その戦いは壮絶を極め、大地を揺るがした。

長い戦いの末、雲憲は勝利を収めた。

妖怪の残党は一斉に逃げ出し、チャイニー共和国に害を及ぼすこともなくなった。

雲憲は国中でもてはやされた。

酒に女に金品財宝…。

雲憲も元は１人の人間。

いつのまにかそんな優雅な生活にどっぷり浸かり込んでしまっていた。

それから数十年…。

当時の戦いを知る者は年老い、そして死んでいった。

しかし、仙人となった雲憲は年をとることもなく生き続けた。

世代が代わるにつれて雲憲に対する敬意が薄れていった。

絶えず酒や若い娘を要求する雲憲に国民はむしろ嫌気が差していた。

やがて雲憲へ貢ぎ物を出す者もいなくなり、死にもしない雲憲を気味悪がって国民は彼を避けて生活するようになった。

更には心無い人々から迫害を受け、雲憲は人が寄り付かない天昇山に追いやられた。

雲憲はそこで悟った。

人間も妖怪も所詮は同じ。

我欲を満たす為だけに生きている。

そこには善も悪も存在しない。

生きることに答などない…。

それから数十年に一度程度、雲憲の伝説を聞いて教えを請いに来る者がいた。

雲憲は、それが男なら追い返し、女なら鈴々の様に犯した。

雲憲は他人に仙術を教えることはせず、自分の気の向くままに生きることを選んだのだった。

…………………。

「貴様の下らん昔話に付き合っている暇はない。」

ベドムがそう言って“ﾊﾟﾁﾝ”と指を鳴らすと、ベドムの背後から部下が現れた。

「この女を城へ連れて行け。」

「はっ。」

ベドムが指示すると部下は手早く鈴々を連れてその場を去った。

「なんじゃ、もう連れて行ってしまうんかい。もう少し楽しむつもりじゃったのに。」

「フッフッフ…。どうだ？我が魔族軍に全面的に協力すればお前好みの女を好き放題にさせてやってもいいぞ…。」

「う～む…、断る。…ワシはここでひっそりと暮らしとるほうがええ。」

「フッ…、喰えん男だ。」

ベドムは立ち去ろうと後ろを振り返った。

「それにしてもおぬし、ずいぶんと変わったもんじゃのう。この前、話を持ち掛けに来た時には誰だかさっぱりわからんかったぞい。」

「………。」

ベドムは無言で立ち止まった。

「いったいどうやってそんな強力な力を手にいれたんじゃ？」

「貴様がそれを知る必要はない。」

「ほほぅ。おぬしが初めてここに迷い込んだ時にはもっとこう…プリプリッ

として…むほほっ

」

「黙れ下衆ジジイ。それ以上言ったら貴様の頭を吹き飛ばすぞ。」

「わかった、わかった。そう怒るなて…。」

「貴様は不老不病だろうが不死ではない。私は貴様を殺す事など造作もない。」

「お～、怖い怖い。ワシャまだ死にとうないわい。またいつピチピチギャルが来るともわからんからのう

」

「フン…クズめ。」

そう言ってベドムはスーッと姿を消した。