【統合】ﾌｧﾝﾀｼﾞｰなおしりＨ

「オラだって！パックン君には絶対負げねぇぞ！」

「どっちが先に勇者を捕まえて来れるか勝負ザンス！ｸｯｸｯｸ…」

二人の間に火花が散る。

僕は自分の無力さにしょんぼりした。

「ハァ…二人は良いなぁ。勇者と戦える力があって。僕なんか…ハァ

…。」

そんな僕に、呆れた表情のパックン君が言った。

「何言ってるザンスか。お前さんの方がよっぽどうらやましいザンスよ。メルーザ様に気に入られて毎日メルーザ様とイイこと出来るなんて…あー！うらやましっ！」

「んだ！んだ！ホイミン君はうらやましいだ！」

「でも僕だって…」

確かに僕はメルーザ様が大好きだ。

強くて、頭が良くて、キレイで優しくて、おっぱいもお尻も大きくて

ずっとそばにいたいんだ。

僕もいつか強くなってメルーザ様を勇者達から守ってあげるんだ

『

…。』
自分が強くなった妄想をしてニヤける僕を冷ややかな目で見る二人。

「コイツまたメルーザ様のこと考えてよだれ垂らしてるザンスよ。やれやれザンスね

」

「んだなぁ。ホイミン君は強くなる必要なんてないだぁよ。今のままが一番幸せだぁ。」

「そうザンス。ユーはメルーザ様との関係を大事にするザンス。」

「うん…。」

そしてまた二人は戦いの顔ツキに戻った。

「まぁいいザンス。ミーは明日の朝旅立つザンス。準備があるからミーはこれで失礼するザンスよ。…ナメナメ…健闘を祈るザンス。」

「パックン君…絶対勇者にヤラれるでねぇぞ！…よーし、オラも準備しねぇどパックン君に先越されでまう。んだらな！ホイミン君。」

二人はそう言って家に帰ってしまった。

「二人とも！…行っちゃった。」

僕は二人のやり取りに強い憧れを覚えた。

そして益々、強くなりたいという気持ちが大きくなった…。

次の日の朝。

人間討伐に向かうモンスター達が集会所に集められた。

命を懸けて戦うモンスター達に、メルーザ様は直々に激励の言葉を掛ける。

「皆の者、今回、危険な戦いに自ら志願してくれた事、感謝する。お前達、必ず…必ず生きて戻って来なさい！」

『はは～っ!!!』
みんなの士気が高まる。

お城の門が開かれると、みんなは一斉に飛び出した。

その中にはナメナメ君とパックン君の姿も…。

みんなの姿はドンドン小さくなり、やがては見えなくなった。

僕は寂しくなってメルーザ様に体をすり寄せた。

メルーザ様も悲しそうな顔をしている。

「メルーザ様…。」

「私が自ら奴等を倒しに行ければ…。」

いつ人間達に襲撃を受けるかもわからないこの城を、メルーザ様は離れる訳にはいかない。

昔は魔族も人間もモンスターも、みんな仲良く暮らしていた。

何の力も持たない人間を魔族が守ってあげていたんだ…。

ところがある日、人間は神様の掟を破り、知識の木の実を食べてしまった。

知恵を付けた人間達は山を崩し、川や海を汚し、空気さえも犯し、僕たちの住みかを奪っていった。