【統合】ﾌｧﾝﾀｼﾞｰなおしりＨ

「皆の者、今回、危険な戦いに自ら志願してくれた事、感謝する。お前達、必ず…必ず生きて戻って来なさい！」

『はは～っ!!!』
みんなの士気が高まる。

お城の門が開かれると、みんなは一斉に飛び出した。

その中にはナメナメ君とパックン君の姿も…。

みんなの姿はドンドン小さくなり、やがては見えなくなった。

僕は寂しくなってメルーザ様に体をすり寄せた。

メルーザ様も悲しそうな顔をしている。

「メルーザ様…。」

「私が自ら奴等を倒しに行ければ…。」

いつ人間達に襲撃を受けるかもわからないこの城を、メルーザ様は離れる訳にはいかない。

昔は魔族も人間もモンスターも、みんな仲良く暮らしていた。

何の力も持たない人間を魔族が守ってあげていたんだ…。

ところがある日、人間は神様の掟を破り、知識の木の実を食べてしまった。

知恵を付けた人間達は山を崩し、川や海を汚し、空気さえも犯し、僕たちの住みかを奪っていった。

さらに人間達は、これまで守ってもらっていたはずの魔族にさえ反旗を翻し、侵略を開始した。

人間達の勢いは強く、あっという間に魔族はその領土を奪われていった。

そんな人間達を魔族のみんなは怒り、最強の力を持つメルーザ様が立ち上がった。

みんなが平和に暮らせるように…。

だけど、知恵を付けたと同時に色々な力を付けていった人間はそう簡単に倒せるものではなかった。

人間もまた、急に牙を剥いて襲ってきた魔族に対抗し、中でも力の強い人間は勇者となり、メルーザ様の命を狙って来た。

そんな世界を見た神様は悲しみ、争いをやめさせようと地上に天使を向かわせた。

しかし、魔族の戦士は勢い余ってその天使を撃ち殺し、神様を怒らせてしまった。

魔族は、一番敵にまわしてはいけない相手を敵にしてしまった。

僕達が平和に暮らせる日はやってくるのだろうか………。

ナメナメ君、パックン君、絶対生きて戻ってきてね。

そしてまた、一緒に遊ぼうね…。

ここで、僕達が住むこの世界のことを少し説明するね

この世界はすべて神様によって創られたものなんだ。

元々この世界には大きく分けて、魔族、人間、エルフ、その他の生き物達がそれぞれ均衡を守って暮らしていたんだ。

そこに、悪戯好きの天使が舞い降りた。

その天使の名前はギルエルといい、悪戯ばかりするこのギルエルに神様はほとほと手を焼かされていた。

ある日ギルエルは、神様が大事にしまっておいた『生命のしずく』をこっそり持ち出した。

『生命のしずく』とは、すべての生命を創る源で、この世界の生き物の祖先はすべてこの『生命のしずく』によって生を受けた。

そしてギルエルは、なんとその『生命のしずく』を面白半分で地上にばらまいてしまった。

『生命のしずく』に触れた物にはすべて命が宿り、僕達モンスターが誕生した。

それを知った神様は激怒し、ギルエルを醜く弱いゴブリンの姿に変えて地上に放り投げた。

その後の彼を知る者は誰もいない。

多分もう生きてはいないだろう。