【統合】ﾌｧﾝﾀｼﾞｰなおしりＨ

続けてもう一人の幹部、デュークが言った。

「それでセリスはどこにいるのだ？」

「はい！セリスは戦士・ティナを捕獲した場所の付近で発見されたとのことです！」

「ほほぅ…ならば一気に攻めるか？」

また幹部の一人、ダビラスが提案した。

そして幹部の事実上のトップ、ベドムが口を開いた。

「いや…それは得策とは言えませぬな。」

それにメルーザが聞き返した。

「どういうことだ？ベドム。」

「はい、アミーラ王国の騎士・セリスは人間の勇者の中でも特に危険な存在であり、我々にとっては最も厄介な敵であるということが言えます。いくらエイミーやティナが側に居ないとは言え、奴の戦闘能力はあなどれません。真正面から突っ込んだのでは例え百体の兵士でも敵わないでしょう。」

メルーザは更に聞いた。

「ではベドム。このセリスを倒す策はあるのか？」

ベドムに視線が集まる。

「それは………。まだ検討中でございます。」

ベドムの言葉に一同は力が抜けた。

「せっかく居場所がわかったのなら討たない手はない。」

デュークが言った。

「だがしかし、ベドムの言う通り、策も立てずに闘うのは危険ではないのか？」

メルーザが言った。

そして少しの間、沈黙が続いた。

「よし…。私が直接向かおう。」

沈黙を破るようにグレンが口を開いた。

「何だと？グレン殿一人でか？」

ダビラスが言った。

「デューク殿の言った通り、この期を逃す手はない。そして…私は策略に陥れるというやり方がどうも性に合わない。正々堂々、己の力のみで闘いたい。……メルーザ様、どうか御承諾下さい。」

メルーザは悩んだ顔をしている。

「私もグレン殿と同意見だ。グレン殿、私も力をお貸ししますぞ。」

幹部会の中でも武闘派のグレンとデュークは気が合い、メルーザを差し置いて話しを進め始めた。

「デューク殿、お気持ちは嬉しいが私は強い敵と戦い、今の自分自身の力を試したいのだ。よって、私一人で行かせていただきたい｡」

「そうか。グレン殿の考えは私にも十分伝わった。メルーザ様、どうかグレン殿を行かせてやっては頂けませんか？このデュークからもお願い申し上げます。」

ベドムはシラけた雰囲気で黙っている。

そしてメルーザが重い口を開いた。

「………グレン。お前の意思を尊重しよう。出撃を許可する。」

「ありがとうございます！」

グレンは立ち上がり、メルーザに頭を下げた。

「しかしグレン…お前は私の優秀な部下の一人。条件として何があろうと必ず帰ると約束しなさい。」

メルーザは少し笑顔を見せた。

「ははっ!!」

グレンは気合いのこもった返事を返す｡

しかしベドムだけは無表情で口を開けようとはしなかった。

そしてそのまま会議は終わり、ベドムは何も言わずに部屋を去った。

『フッ…全くバカな奴らだ…。だがまぁ、余計な輩を排除するには良い機会か…フッフッフ…。』

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