【統合】ﾌｧﾝﾀｼﾞｰなおしりＨ

広間は安堵の空気が流れた。

デルは話を続けた。

「しかし、バリアの範囲は城の周囲３㎞程度までしか覆いきれませんのでそれより外側は核兵器の威力にもよりますが被害が発生するでしょう。」

メルーザの脳裏にとっさにホイミンのことが浮かび上がった。

「何!?では…」

皆の前なのでメルーザはそれ以上は口に出すことができなかった。

デルはバリアの説明を続けた。

「さらにこのバリアは魔気をエネルギーとして作動します。魔気の強さが強度と直結しますので我々幹部全員で魔気を集束機に注入する必要があります。」

そんな中ベドムがメルーザの曇った表情に気付き、そっとメルーザに耳打ちした。

「メルーザ様、ホイミンなら心配いりません。ホイミンとクレアは現在、運良くエルフの森に迷い込んでいる模様です。エルフの森は異空間でありますので核の被害からは免れるでしょう。」

「そ、それは本当か？」

「ええ。それゆえご心配なさらずに…。」

「しかし…他の者は…」

メルーザは少しホッとしてしまった自分に憤りを覚えた。

そしてベドムは少し声を張上げていった。

「この犠牲は避けることは不可能です。この危機的状況を我々魔族が一致団結して乗りきり、更に人間に勝利して犠牲となった者を弔おうではありませんか！」

ベドムの熱弁にメルーザ含め幹部達は胸を熱くし、決意を固めた。

「ベドム様のおっしゃるとおりだ！」

「人間などに好きにさせてたまるものか！」

しかし、ベドムの腹は違っていた。
『フッフッフ…安い奴らよ…』

デルの指示に従い、幹部達は魔気の集束機を囲むように並んだ。

「それでは始めます。」

デルが合図を出すと、幹部達は掌を集束機に向け、魔気を注入し始めた。

エネルギーを計測するメーターがずつ上がっていく。

「ミサイルの到達まで時間がありません！注入を急ぎましょう！」

デルも自らの魔気を全力で注入した。

「はぁぁあ!!」

時間ギリギリのところでメーターがフルに到達した。

「よし！バリア発動!!」

デルがレバーを引くと巨大なエネルギーの膜が城とその周囲を包み込んだ。

その直後、空の彼方から核を搭載したミサイルが正確無比に飛来し、そのバリアに直撃した。

(ドッゴォォォォォォン

)

強烈な閃光と共にバリアの外側が一瞬で焼け野原と化した。

その付近を徘徊するモンスターの生存は絶望的だった。

爆破が収束した後、デルは偵察機で周囲を検測した。

「こ、これは…」

デルはその数値に驚いた。

「どうした？デル殿。」

一緒に調査を任されたベドムがデルの驚きの訳を聞いた。

「はい、何故か放射線及び放射性物質がほとんど検知されません。しかし、付近の死んだ動植物のDNAの破壊度からして、強力な放射線がそこに存在したことは間違いありません。」

「人間が後々まで害を伴う核を上手く使いこなしたということか…。」

「まさか…我々の科学力を上回ると言うのか…。」

デルが悔しそうに肩を下ろす。

「そう悔しがるなデル殿。そなたの作ったバリアは見事に被害を防いだではないか。」

「ミサイルの飛来した方角、そしてその科学力からしてハーバーズ王国から来たと見て間違いないでしょう。そしてミサイルを開発した張本人はやはり、手配中のレイコしかおりません。」

「デル殿の言う通りでしょうな。私も人間を少し甘く見ていたようだ。危険因子はなるべく早く排除したほうがいい。」

「しかしベドム殿、ハーバーズ王国の防衛網は容易くありませぬぞ。」

「うむ…。」