もう一度…
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#1 [north] 10/10/03 03:34
街を歩く。
それだけなのに、ひどく懐かしく感じられる事がある。
それは、自分が大人になったっていう、ちょっとした証。
思い出なんかがあると、フラッシュバックして、しばらくは自分の世界に浸ってしまう。
それだけでいい。
その場所に対して、それ以上のものは求めたりしない。
あんな事もあったなー…って思える位にとどめておくのが、ちょうどいいのである。
#2 [north]
それ以上のものを求めてしまう人間…
それが俺だった。
誰々と一緒にこの場所に来て、ロマンチックなキスをしたから、もう一度…
誰々と一緒に、この素敵な夜景を見て、とろけるような時間を過ごした。だから、もう一度あの人とここに来たい。
実際は、無理な話である。
あの時だったからこそ、何らかの色んな条件が重なって、あの時間を過ごせたのである。
:10/10/03 03:43
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#3 [north]
二度目となると、あの時の、あの瞬間を味わえる事なんてないのだ。
下手すれば、『素敵な思い出』を塗り替えられて、まったく違ったものが残ってしまうのである。
俺は、思い出の中に生きていた。
現実を受け入れようとせず、目をそらして、逃げていた。
過去を振り返り、何かいいものを見た!という余韻に浸り、それがもう現実のものじゃないって分かると、一気にどん底に落とされる。
:10/10/03 03:51
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#4 [north]
「ま〜た難しい顔してるな、お前」
同じS大学に通う、柏 雄大(かしわ ゆうだい)が俺の顔を覗き込んだ。
雄大とは、中学から高校、大学までずっと同じ道を歩んできた。
いわゆる腐れ縁っていうやつだろう。
クラスはずっと別々、部活までもまったく違ったのに、なぜか昔から仲が良いのだ。
「どうした?課題解いてくるの忘れたのか?それとも、腹でも減ってんのか?」
:10/10/03 04:03
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#5 [north]
「それはお前だろ。今日の講義でも、腹グーグー鳴ってたじゃん。隣の女の子から俺が睨まれちゃったよ」
俺の代わりに、雄大の問いかけに返事をしたのは、山本 翔太(やまもと しょうた)。
いつもiPodで音楽を聴いているから、人の話に関心がないと思いきや、誰よりも人の話に耳を傾けてくれる。
雄大がしょうもないギャグを連発して、場の空気がシラケてしまっても、この翔太だけは、ギャグを拾ってくれるのである。
:10/10/03 04:12
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#6 [north]
雄大、翔太、そして俺。この3人は、いつも一緒だった。
周りから見れば、1つの仲良しグループとでも見られていただろう。
仲良しグループなら仲良しグループで、別にいい。
暇さえあれば自然と集まって、話をしたり、どこかにふらっと遊びに行ったりできるメンバーで、居心地がいい。
それぞれ、超がつくほどの個性的人間だけど、変に気を遣わなくていいメンバーだから、バランスがいいのだ。
:10/10/03 04:29
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#7 [north]
「とりあえず、学食行こう。俺も腹減った」
三浦 拓郎(みうら たくろう)は、雄大と中学から高校、大学までずっと一緒の道を歩んできた。
…つまり、『俺』である。
雄大からは、『タク』、翔太からは『タクロー』って呼ばれてる。
俺の一言で、学食行きは決定した。
翔太はイヤホンを耳から外し、iPodの電源をOFFにした。
:10/10/03 04:41
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#8 [north]
ちょうど昼時…
キャンパス内は、いつにも増して賑やかだった。講義を終えた学生達は、いそいそと教室を出て、学食に行くか、門を出て行くかのどちらかだった。
今日は金曜日なのだ。
土・日曜日には予定があるのだろう。
その休み2日間を目の前にして、嫌な顔する奴なんて、ほとんどいないだろう。
その休み2日間が終わってしまえば、また授業だのテストだの課題だのに追われる生活になるのだ。
嫌とまではいかなくても、しんどいのは確かだろう。
:10/10/03 04:51
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