カンナ
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#1 [我輩は匿名である] 10/12/11 19:48
振り返れば突き抜けるような青空が広がっていた。

#2 [我輩は匿名である]
長年会ってなかったじいちゃんの家へ向かう車の中で、俺達三人の後ろを追って来ていたのは真っ青な夏の空だけだった。
「こうちゃんはおじいちゃんに会うの何年ぶりかしらねぇ」
「おじいちゃんきっと喜ぶわぁ」
おばさんはコロコロと楽しそうに話している。俺の返事なんて何のその、だ。
「お前、じいさんの顔覚えてるかなぁ。あの頃は随分小さかっただろ」

⏰:10/12/11 19:48 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


#3 [我輩は匿名である]
記憶の中に残るじいちゃんは、白髪がふさふさして、ちょっとたれた優しい目、けどしゃべってみると案外無口で、ビクビクしながら膝に乗っていたのを覚えてる。

⏰:10/12/11 19:50 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


#4 [我輩は匿名である]
「こうちゃん?」
窓の外を流れていく景色に緑が多くなった。
「覚えてるよ」
近くの田んぼで遊ぶのが楽しくって、その中突っ切って走ったっけ。夕方なると涼しくてさ、もって遊んでたいなぁなんて思ってた。
なんて、昔の感慨に浸ってた俺だけど、車は順調に進んであの古びた家の前で止まった。

⏰:10/12/11 19:53 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


#5 [我輩は匿名である]
うん、覚えてるままだ。
赤いトタン屋根に、あの玄関の鉢植え。あとは確か犬がいたっけ。
「犬は?」
「ああ、徳兵衛?去年の夏に死んじゃったのよ。もう15歳だったんだけどね。」
荷物を引っ張って車を降りる。俺の荷物はかなり少ない。adidasのスポーツバッグがいっこだけ。まぁこんなもんだろ。

⏰:10/12/11 19:56 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


#6 [我輩は匿名である]
父さんと伯母さんは足早に家ん中入っちゃった。まぁこの暑さだもんな。
そういう俺も、もう汗が吹き出してる。

⏰:10/12/11 19:58 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


#7 [我輩は匿名である]
田舎の空気を吸い込むと、蒸せかえるような熱気が身体に充満したような気がした。


うぇっ


「なんだぁ、孝輔かぁ?」
振り返ると生け垣の向こうから顔を出してるのは麦わら帽子をかぶった、ちょっとタレ目の……じいちゃん。

⏰:10/12/11 20:01 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


#8 [我輩は匿名である]
変わんねーなぁ。ちょっと老けた?てか、俺のことよく分かったな。
なんて思いながら、実はちょっと照れてる。だって久しぶりなんだもん。

「うん。」

「でっかくなったなぁ。」
笑ったらタレ目がもっとたれちゃってる。懐かしいなぁ、この顔。


じいちゃん、よろしくね。

⏰:10/12/11 20:03 📱:W62S 🆔:JIR4vBCg


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