laugh×laugh(短編)
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#1 [杏*] 10/12/28 01:14
複数の短編を書いていこうと思います。
稚拙で面白くないかも知れませんが、よろしくお願いします。
#7 [杏*]
―またアイツが出てるし…。
私の表情が曇る。
若手コンビ「しし座流星群」のツッコミ担当の、宮部良平。
去年は全くと言っていいほど無名な存在であったのに、今年に入ってから急にテレビ出演の回数が増えた。
彼らからはあまりセンスや実力を感じない為、事務所の猛プッシュ
によるものではないかと噂されている。
お笑いが好きな私でも、彼らの芸で笑ったことは一度もない。
:10/12/28 02:16
:PC
:hQ5V0KxA
#8 [杏*]
相方の谷田はまだいいが、私は宮部の我が強くてしゃしゃり出てる感じがあまり好きではない。
それが厳しい芸能界で生き残る為の彼なりの頑張りかも知れないけど。
それと、ひ弱な私は学生時代にいじめの餌食になっていた。
そして、宮部自身もまた学生時代はいじめっ子だったらしい。
全く関係ないが、彼の顔を見てるとあの時の辛い記憶が蘇ってくる。
苛立ちが募る前に、私はテレビを消した。
:10/12/28 02:27
:PC
:hQ5V0KxA
#9 [杏*]
気晴らしに部屋を出て、隣の部屋のチャイムを鳴らす。
「未弥…?」
背の高い茶髪の男性が、中から出てきた。
中山修吾。
隣人であり、私の想い人。
上京して初めて親しくなった人物で、私はかれこれ2年彼に恋心を抱いている。
何も言わず、私は彼の大きな身体に抱きついた。
:10/12/28 02:35
:PC
:hQ5V0KxA
#10 [杏*]
部屋に上がると、彼は私の好きなホットミルクを作ってくれた。
「どうした?何かあった?」
「別に…」
ホットミルクに息を吹きかけて、冷ます私。
「そうだよな、未弥はいつもなんも用無しに訪ねてくるよな」
彼が口角を上げて笑う。
私の好きな笑顔。
「修吾の顔が見たくなったの」
誰に対してもそっけない自分も、彼の前だけは甘ったれになってしまう。
:10/12/28 02:46
:PC
:hQ5V0KxA
#11 [杏*]
少しの談笑を終えた後、私たちは身体を抱き寄せていた。
正確には、私から彼に抱きしめてと頼んだ。
「未弥…」
彼が一旦私の身体を離す。
そしてそのまま床に押し倒した。
彼の整った顔が、どんどんと近づいてくる。
全身が強張る。
:10/12/28 02:50
:PC
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#12 [杏*]
―ピリリ、ピリリ、ピリリ…
テーブルの上に置いてあった彼の携帯が鳴る。
2人の間に微妙な空気が流れる。
「会社からかも…」
慌てて電話に出る彼。
「はい、はい」「かしこまりました」などと、流暢な敬語で電話の相手と話している。
私の知らない修吾がいる。
:10/12/28 02:56
:PC
:hQ5V0KxA
#13 [杏*]
「ごめん、これから夜勤に出なきゃいけないことになった」
電話を終えた彼がばつが悪そうに言う。
「うん、私も部屋に戻る」
「ごめんな」
「ううん、こっちこそ急に押しかけてごめんね」
私たちは立ち上がり、部屋を出た。
:10/12/28 02:59
:PC
:hQ5V0KxA
#14 [杏*]
「あ、そうだ…」
玄関の前で思い出したかの様に、彼が鞄から何かを取り出す。
「これ、こないだ会社の先輩から貰ったお笑いライブのチケット。2枚あるから一緒に行こう」
白い紙切れを私に渡す。
「うん!行く行く」
私は目を輝かせた。
「じゃあ、当日は体調管理しっかりな」
私に手を振り続けながら、彼は仕事へと向かっていった。
:10/12/28 03:06
:PC
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#15 [杏*]
私と修吾は非常に親しい仲であるが、付き合っている訳ではない。
宙ぶらりんな状態が、何も進展することなく続いている。
私は修吾のことならほとんどのことは知っている。
父子家庭で育ったこと、月見そばが好きなこと、社会人になってからずっと彼女がいないこと。
でも、私のことを本当はどう思っているのかは知らない。
近くて遠い存在だった。
:10/12/28 03:13
:PC
:hQ5V0KxA
#16 [杏*]
私たちはよく抱き合っているけど、身体の関係はない。
でも一度だけキスをしたことがある。
その時私はひどく落ち込んでいて、彼の前で泣いてしまった。
彼なりの慰めだったのか、私に深いキスを落としてくれた。
これから彼とどうなりたいのかは、自分でも分からない。
時間が解決してくれるのではと思っている。
いつしか私は自分自身にも甘ったれてしまった。
:10/12/28 03:20
:PC
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