RAINBOW～生き残るのはただ1人～

｢あなたは、誰ですか？｣

真っ白な部屋の真ん中に
真っ白な机とイスがふたつ。

その机に向かい合って座る
長い白髪に白ひげの中年男性と
ｽｷﾝﾍｯﾄﾞに白い服の男。

そして白ひげの男が、もう一度

目の前で黙って俯いたままの男に問いかけた。

｢‥‥もう一度聞きます。あなたは、誰ですか？｣

すると、ｽｷﾝﾍｯﾄﾞの男は俯いていた顔をゆっくりと上げ、

｢あたしは、田村鐙子(ﾀﾑﾗﾄｳｺ)。ただの娼婦よ。｣

真っ直ぐ前を見据えて答えた。

普通なら｢お前は男だろ？｣と思わず笑ってしまうくらい、まるで馬鹿にしているような答えだが、その瞳は真剣そのものだ。

それに、ｽｷﾝﾍｯﾄﾞの男が"決して嘘をついてる訳ではない"という事を知っている白ひげの男━━八神和彦(ﾔｶﾞﾐｶｽﾞﾋｺ)は、

笑う事も無く、むしろ真剣な表情で、なるほど‥とうんうん頷きながらメモを取る。

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｢では、田村さん。
あなたは‥人を殺しましたか？｣

その瞬間、ｽｷﾝﾍｯﾄﾞの男は
八神を思い切り睨みつけると

―――バンッ

机を思い切り叩き、立ち上がり、

｢だから、あたしはやってないって言ってんでしょ！｣

と言い放った。

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｢たしかに、あたしは体を売って稼ぐような汚い女よ。
でもっ、だからって‥人を殺したりなんか‥｣

言い終わらない内に、ｽｷﾝﾍｯﾄﾞの男はその場に崩れ落ちた。

俯いているが、嗚咽や体の震えから、泣いているのが分かる。

八神は彼にゆっくりと近付くと
｢すみませんでした、今日はもう結構ですよ｣と言い、優しく背中をさすった。

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それを合図に、
2人の警官が部屋に入って来て
啜り泣く男の両脇を抱えて無理矢理立たせ、手錠を掛けてから、
引きずるように部屋から連れ出して行った。

八神はそのﾞいつもの流れﾞを
見届けた後、

ふう、と溜め息をつきながら
イスに腰を下ろした。

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