赤髪の王子様
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#1 [たの] 11/02/26 12:28
赤い頭巾をかぶったかわいい女の子がおばあさんのお見舞いに行って狼に食べられてしまうという、おとぎ話。

小さい頃いつもおれはこの物語をきくと、胸がきゅっとしめつけられる思いがしたものだ。

そして、その変な感覚は今もなお、変わっていない。

#29 [たの]
「おーい、ハル?
どうしたんだよ急に黙って」

「なあ、秀
おれってかわいい?」

「は?な、なんだよ急に」
上目遣いでそんなこと言ってくんなよ!
理性吹っ飛ぶわ(笑)

「んーん、なんでもない
秀、練習終わったら一緒に帰ろうよ」

「わりっ!
それなんだけどさ、おれらこのまま合宿に行くんだよね」

⏰:11/02/27 11:01 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#30 [たの]
「えーっ!
もうサッカー部ぐらいしか残ってないよー」

「ほんとごめん!
ハル、保健室の恵ちゃん先生と帰れよ
さっき保健室みたら、まだいたし」

「恵ちゃん先生かー
車で送ってくれるかな
わかった、じゃあ合宿頑張ってね」

「おう!ありがとな!
気を付けて帰れよ!」

爽やかな笑顔でそう言って、グランドに戻って行った。

(こりゃモテるわ)

⏰:11/02/27 11:12 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#31 [たの]
男のおれでもきゅんときたわ(笑)

秀のモテる要素を数えているうちに保健室に着いた。

―ガラッ

「恵ちゃん先生ーってはれ?いない」

でもドアの鍵が開いてたってことはまだ帰っていないはず。

「待っとくか
ベッドで寝とこー」

ベッドに潜り込むと、おれはすぐに眠りに落ちた。

⏰:11/02/27 11:30 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#32 [たの]
おれってかわいいのかなー。

だからモテないんだなー。

女に生まれてくればよかったのかもなー。

そしたら、男にモテまくって、ちやほやされて、さみしい思いなんてせずに人生バラ色\(^O^)/

なーんてね(笑)

「そんなの僕が許さないよ」

へ?

⏰:11/02/27 13:57 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#33 [たの]
「君は僕のものなんだから」

ちょっと!おれは物じゃないぞ!
はれ?いつも夢に出てくる人?

「君は忘れちゃったの?赤ずきん」

赤ずきん?だれだっけ?

「小林くん」

小林?だれだっけ?

⏰:11/03/02 09:31 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#34 [たの]
「小林春太くん」

コバヤシハルタ…おれだ!

―ガバッ

「あ、起きた」

恵ちゃん先生―…と八神先輩?

「ハルくん、あたしがいくら呼んでも全然起きてくれないんだから」

恵ちゃん先生が帰り支度をしながらぷんぷん言う。

どうやらおれは熟睡してしまってたらしい。

「なのに、八神さんが呼んだらすぐ起きるんだもの
やっぱりハルくんも男なのねー」

恵ちゃん先生が嫌味ったらしく言ってくる。

⏰:11/03/02 09:53 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#35 [たの]
「恵ちゃん先生もうやめてよー」

(これじゃおれが八神先輩に気があるみたいじゃん!)

八神先輩はおれたちのやり取りをにこにこしながら見ている。

「でもなんで八神先輩が?」

「彼女、保健委員長なの
だからちょっと色々手伝ってもらってたのよ」

八神先輩がうなずく。

保健委員長…なんかぴったり。
雰囲気がナースって感じだもん。

⏰:11/03/02 10:04 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#36 [たの]
「じゃあ帰るわよ!
部屋出て出て」

―ガチャ

「事務室に鍵渡してくるからちょっと待っててね、ハルくんと八神さん」

おれと八神さんはぽつんと廊下に残された。
もう外は真っ暗だ。

(沈黙がきまずい…)

なにか話題はないかと考えていると、

「小林くん、みんなからハルって呼ばれてるんだね」
八神さんから話しかけてきた。

⏰:11/03/02 10:20 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#37 [たの]
びっくりしながらも、うなずく。

「そうなんだ
春太って呼ばれたことないの?」

「みんな、ハルでしか呼んでくれないんですよね」

「それならもっとぴったりな愛称あるのにね」

「えー何ですか?」

軽い気持ちできいてみた。


「赤ずきん」

⏰:11/03/02 10:30 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#38 [たの]
―ドクン

血が逆流した。

「え?」

「だってその赤髪まるで赤頭巾をかぶっているみたいじゃない?」

先輩が【赤ずきん】という言葉を口にするほどに、おれの心臓は波打つ。

「あ、あはは…
こんな気味悪い髪で、そんなふうに言われたのは初めてです」

先輩がまっすぐおれを見る。
真剣な目で見るからに全身に緊張が走った。

「君は己を卑下してはいけない
りんごのような赤髪、精悍な瞳、豊かな表情、しぐさ…君は可愛らしくて美しい
食べてしまいたいほどに」

(た、食べ!!?///////)

⏰:11/03/03 10:21 📱:P02A 🆔:☆☆☆


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