いつも

いつも君を見てました。

見るだけでした。

ほんとは触れたいんです。

『あーバスきた』
ひとりでつぶやく。

きて欲しいけど
まだこないで欲しいバス。

あの人は一番後ろの
右側に乗る。

だからあたしは左側に座るんだ。

『発車しますご注意ください。』

アナウンスが流れ
バスが発車する。

駅まで17分。それまで一緒。
それでいいそれで充分。

チラッとあの人を見る。

イヤホンを耳につけ
少し口を寝てる。

これが毎朝の楽しみ。

『かっこいー』
ぽろっと言ってしまった。

やばっと思ったら駅に着いた。

あーあーもうついちゃった

この17分間はあたしの
毎日の中で一番短いと思う時間。

みんなが定期をだすために
バックをあさってる間に

バスを降りた

あの人の後ろ姿は
みたくないから

声かけたくなっちゃうから。

絶対声かけたら迷惑だよね

一本早いバスだから
電車くるまで時間がある。

そうだ！朝ごはん！
コンビニに寄らなきゃな

駅から歩いて２分の
コンビニまで歩く

鮭のおにぎりと野菜ジュース
朝ごはん食べ忘れたときは
いつもこれなんだ(笑)

財布さいふーっと！
ん？ない？あれ？

バスかも！
急いで棚に戻して
コンビニをでる。
まじかよーどうしよ

バス停までダッシュ！
したら『待って！』

誰よ！もう…

後ろを向く

嘘！ちょっまって！え嘘でしょ！
なんであの人が！

『君のでしょこれ？』

あたしの大好きな青色の
財布を渡される。

え…あ…はい！
ありがとうございます！

『忘れてたよ！じゃあ！』

ちょっと待って！

『お名前は！？』

『けんご！桜井けんご！
じゃあねみくちゃん！』

そう言って走って
行ってしまった。

けんごくんかあ。

名前聞けちゃったあ！
てか話せちゃったあ…

あっつくなったほっぺたを
両手で抑える。

みくちゃんて言われたし！笑
にやけとまんないー(笑)

ダッシュでコンビニに戻り
トイレにかけこみ

さっきのことを思い出す。

ん？てかなんで
あたしの名前しってんの？

え？なんでなんでなんで？

え！ちょっとまってなんで？

さっき渡された
財布を見る。

MIKUというキーホルダーが
ついていた。

あーこれか…。
ママからもらった
キーホルダーみたんだ…。

自分のこと知ってて
くれたのかもという

少し期待してた自分に
また赤面した。

あー恥ずかしい！

ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝ

今でまーす！

トイレから急いで出て
鮭のおにぎりと野菜ジュースを買う。