知らない〇〇くん！【BL】

理玖目線
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あれから3日
一度も宇佐美先輩を‥見てない

｢リクどこ行くき｣

ガシッと掴まれた腕を辿るとせーやんがいた

｢‥あ、やまりに？｣

｢だーかーらー｣

ああ、まただ

｢行かなくていいって！お前襲われたんだよ？襲われた相手がただ偶然、宇佐美先輩ってだけで、違う奴に襲われてても謝り行くのかよ｣

これの繰り返し何回したかな
確かにそうなんだけど
変な話かもしれないけど

襲われた相手に謝りに行く。なんて

‥会いたいんだ、せーやん。
顔が見たい
声が聞きたい
ただ、ただ‥会いたい

｢‥屋上｣

｢は？｣

｢屋上行く、次‥サボる｣

｢分かった｣

ポンッと背中を押してヒラヒラと手を振るせーやん

｢ありがと｣

教室から理玖の姿が消えるとポツリと声が落ちた

｢リクのあほ。｣
(―‥泣いて帰ってくんなよ)

ゆっくりと屋上のドアノブを回す
屋上の空は3日前と変わらない良い天気だった
なのに俺の心はあの日のようにモヤモヤは薄れてくれない

静かな屋上には俺の足音だけが騒音に聞こえた

いない‥か

くるっと反対側までまわってみる

視界に入ったのは探していた人で
ぎゅっと胸が締め付けられる

｢‥‥‥いた｣

サラサラと綺麗な髪が風で揺れている
一定のはやさで上下する肩

ソッと近づき、先輩の隣にしゃがむ
寝顔可愛い

｢‥宇佐美先輩、こんなとこで寝ちゃダメです｣

でも、もう少しだけ目を覚まさないで
まだ先輩が足りないから
もう少しだけ見てたいから

―‥なんだろう

――‥このにおい

｢‥ん｣

薄く目を開くと視界には宇佐美先輩の姿

―‥あれ、先輩がいる

――‥ああ、煙草か。先輩が吸ってる煙草のにおいなんだ

夢の中で先輩に会える俺ってかなり痛い
痛いけど、いいや
すっげえ嬉しい

こっち向いて先輩‥宇佐美先輩

あ‥先輩こっち見てくれた
夢の中って俺の思い通りにいくんだね
嬉しくて頬が緩む
じゃあねー‥次のリクエストは
先輩、笑って

｢‥‥‥‥‥っ、ゴホッ！ゴホッゴホッ！｣

‥あれ？
‥‥あれっ？！
目がぱっちり開いてしまった

｢‥っ！(宇佐美先輩っ？！)｣

ガバッと起き上がる

｢‥ケホッ｣

あれっ？！なんでっ？！

てかっ！

｢宇佐美先輩大丈夫ですかっ？！｣

｢‥‥‥｣

｢‥あ｣

｢‥‥‥｣

｢えっと‥あの‥｣

頭がさえてきた
そうだ、あのあとちょっとだけとか思って先輩の隣に‥寝ちゃってた
カーッと顔が熱くなる

｢‥‥何｣

｢‥‥‥‥へ？｣

｢なんでいんの｣

｢な‥んで？｣

何で？
先輩の言葉はそのまま俺の心に落ちる

何でお前が俺の隣にいるの

落ちて落ちて‥‥
ああ、いちゃダメなんだなって

｢‥‥えっと｣

｢‥はあ｣

｢‥‥‥｣

｢あー、めんどくせえ｣

‥あ

｢俺、あの日以来お前に構ってないよね？てか嫌いなやつのとこ来てんのはお前だから、またビービー泣くなよ｣

｢あれはっ‥先輩が‥！｣

｢俺ヤル相手に困ってない、てかもういいしお前。(色々めんど)｣

｢っ！俺はよくないっ！｣

｢は？｣

｢謝って下さいっ！｣

｢は？｣

は？
俺何て言った今？