官能迷宮
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#24 [来春]
三郎は言いたいことを母にも必要最低限なこと以外言えなくなっていた。
そんな彼も、父がまだ生きていたときはもっと活発で明るい子だった。

⏰:11/04/03 17:26 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#25 [来春]
以前に父が、「お前は生まれつき賢い子だ」

と、よく言っていたのを、ぼんやり思い出す。

でも、いまは、自分が賢いという気は全くしなかった。

⏰:11/04/03 17:28 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#26 [来春]
それどころか、本当はまるで何もできない底辺の人間なんじゃないだろうか、と思う。

カモメが暗くなってきた空を声もなく飛び交っていた。

浜辺の重苦しい静けさも、空の灰色も、まるで死を暗示しているように思われた。

⏰:11/04/03 17:31 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#27 [来春]
ぼんやりと時間の流れを漂うような状態が何日つづいたのか、ある日、古びたラブホテルを発見した。

三郎はラブホテルなんて入ったこともなかったし、興味はありまくった。

⏰:11/04/03 17:40 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#28 [来春]
だか、なんだか使われていないみたいな雰囲気だったので興奮というより少し怖かった。

結局、三郎はここに来てから初めて興味を持った出来事だったので中に入ってみた。

⏰:11/04/03 17:42 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#29 [来春]
やはり、中は薄暗く昼間でなければ怖くてたまらなかっただろう。

そのとき、奥から物音が聞こえた。

⏰:11/04/03 17:43 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#30 [来春]
ゆっくりと進み、角を曲がったところに椅子に座る人影が見えた。

ドキドキしながらも目が慣れてきた。

⏰:11/04/03 17:45 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#31 [来春]
そこにいたのは、黒人で髪の毛はちぢれ、頬にはふかいシワが刻まれていた。

だが、三郎はその黒人の色の薄い目に出会ったとき、もやもやがすっと遠退くような感じをおぼえたのだった。

⏰:11/04/03 17:48 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#32 [来春]
三郎はふたたび、いつもの自分自身に返った。

まるでその年老いた黒人から、不思議な流れが三郎のからだの中に流れこんできたかのようだった。

⏰:11/04/03 17:50 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


#33 [来春]
黒人はにっと笑うと、

「おや、どうやら友だちがきたようだ。 風に吹かれて、どこぞのエロガキが入ってきたぜ」

⏰:11/04/03 17:52 📱:SH07B 🆔:☆☆☆


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